【漢字】「捗捗しい=???」読めそうで実は読めない漢字3選|CLASSY.

相変わらず、暑い日が続きますね

相変わらず、暑い日が続きますね。今回も読みにくい(と思われる)形容詞を紹介します。形容詞とは、「赤い」「暑い」「悲しい」のように、現代語では言い切りの形が「い」で終わり、「性質・状態・感情」などを表す言葉のことです。前回は、すべて常用漢字の音訓表に記載されているもの、つまり、高校卒業までにその読み方を学習するものに限って出題しましたが、今回はその限りではありません。

1.「夥しい」

最初の問題は「夥しい」です。例

最初の問題は「夥しい」です。例文は「連休の最終日、行楽地は夥しい人出となった」。何と読むでしょうか?

正解は「おびただしい」でした。「夥」は常用漢字外です。音読みでは「カ」と読み、熟語では「夥多(カタ)=数が多い」などがありますが、ほとんど見ることはないでしょう。「顆粒状の風邪薬」の「顆」と音が同じで字形も似ていますが、別の字です。
なお、この言葉は、古典の中でも「おびたたし」の形で登場する歴史のある言葉です。現代のように「数が多い」という意味だけでなく、「程度・規模がはなはだしい」の意味を表していました。これが、江戸時代以降、「おびただし」となっていきます。

2.「捗捗しい」

次は、同じ漢字を繰り返す「捗捗

次は、同じ漢字を繰り返す「捗捗しい」です。例文は「交渉が捗捗しい進展を見せない」。なお、同じ漢字を繰り返しますので、繰り返し符号「々」を使って、「捗々しい」と書くこともあります。さて、この「捗捗しい(捗々しい)」は何と読むでしょうか?

正解は「はかばかしい」でした。「物事が順調に進んでいく」状態を表します。今では常用漢字にも入っているこの「捗」の字の音読みは「チョク」で、熟語であれば「進捗(シンチョク)=物事がはかどること」で使います。訓読みは表外読みですが、「捗(はかど)る」と読みます。「捗捗(はかばか)しい」も「はかどる」にも共通する「はか」は、「仕事のはか(分・量)がいく」と同じで、「分量・進み具合」を表しているわけです。
なお、この「捗」の字。「手へん」の右側の部分ですが、「歩(く)」(これは八画)という字に似ていますが、実は「一画」足らない七画です。気が付いていましたか?

3.「悍ましい」

最後は、今回一番の難問「悍まし

最後は、今回一番の難問「悍ましい」です。ヒントがわりの例文は「そんなことを考えただけでも悍ましい」。さて、何と読むでしょうか?

正解は「おぞましい」でした。「ぞっとするほど嫌な感じがする」様子を表す言葉ですね。この「悍」は常用漢字外の漢字です。音読みは「カン」ですが、「精悍な顔つきの男」などと使う、「精悍(セイカン)」という熟語を見たことがあるでしょう。この「悍」で、「あらい・あらあらしい」の意味を持ちます。
こちらも、古典の中に登場する「悍(おぞ)し」「悍(おぞ)まし」という言葉の歴史を受け継いでいます。古語としては「気が強い・強情だ」という意味のほうが主でしたが、現代の「悍ましい」には、そこかくくる「恐ろしい・恐い」の意味が強く出ていますね。

では、今回はこのへんで。 また、難易度を上げた続編をやります。

《参考文献》
「広辞苑 第六版」(岩波書店)/「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)/「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)/「古語林」(大修館書店)/「難読漢字辞典」(三省堂)/「できる大人の漢字語彙力1500」(リベラル文庫)/「1秒で読む漢字」(青春出版社)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)