元宝塚トップスターの朝夏まなとさんと花乃まりあさんが、まもなく初日を迎える『SHINE SHOW!（シャイン・ショウ！）』で退団後、初共演！　夏のカラオケ大会のバックステージを巡る、たくさん笑えて最後には心がほっこりするハートフルコメディです。今回の舞台のお話はもちろん、今だから話せる宝塚時代のバックステージのお話や二人にとっての〝ウェルビーイングなこと〟まで、2回にわたり対談をお届けします

――今回の舞台『SHINE SHOW!』のオファーが来たときの気持ちはいかがでしたか？
朝夏　最近はミュージカルのお仕事が多かったんです。今回の『SHINE SHOW!』もきらびやかなタイトルなのでミュージカル？と思ったのですが、違いましたね(笑)。私が演じるのは日本人でさらに会社員ということでびっくり続きでした！(笑)
花乃　日本人なのに、日本人を演じることが少ないですからね(笑)。私は、何よりまぁ様（朝夏まなとさんの愛称）とご一緒できることが嬉しかったです。まぁ様が主演なのでミュージカルだと思っていたのですが、台本を読んだら想像していたものとは違っていたので(笑)、私も驚きました。
朝夏　私もかのちゃん（花乃さんの愛称）が一緒なのがとっても嬉しかったです。退団後、初共演だよね？
花乃　そうです。ガラコンサートのお稽古でお会いしたくらいです。
朝夏　お稽古でいろんな組合せをやったので一回だけ組みましたけど、本番では組まなかったから。今回がっつり組むのが新鮮！
花乃　私も新鮮ですし嬉しいです!!

――台本を読まれての印象や稽古場の雰囲気はいかがでしょうか？
朝夏　読んだだけでもすごく面白かったです！　ボケとツッコミが最初から最後まで詰まっているなって思いました。登場するキャラクターも全員濃いんですよ！　私が演じるキャラの薄い真面目な会社員の鈴本が皆をさばいていっている感じです。かのちゃんも会社員役だけど、相当キャラ濃いよね(笑)。
花乃　私が演じる琴浦も会社員ですけど自己顕示欲の強い元アイドルなので…濃いです。でも、私はまぁ様が演じる鈴本こそ実は一番濃いのでは？と思っています(笑)。
朝夏　そうね、最後にね。全員がキャラ濃いってことか(笑)。濃いキャラ勢揃いだからお稽古場で常に大爆笑！
花乃　こんなに笑うお稽古場ってある？っていうくらいです！
朝夏　年齢層に幅があるのと、出身がミュージカル・映像・劇団の方といろいろ揃っているからバランスいいよね。そして、とにかく皆さんがいい人！
花乃　座長のまぁ様のお人柄あってこそ、楽しくて幸せなカンパニーの雰囲気になったんだと思いますよ。
朝夏　え、そうかな？
花乃　スケジュールの都合で顔合わせがなく、いきなり立ち稽古でしたよね。初日は「どんな感じになるんだろう？」という雰囲気になるものなのですが、まぁ様の元気な一言が緊張感を一瞬で打破してくださいました！
朝夏　「では皆さん、やりましょう(笑)！」みたいな感じで始まったよね(笑)
花乃　皆さんも「はい、やりましょう！」となり、始まってすぐにお稽古場に笑い声が響いていました！
朝夏　今回、台詞の量が多くて必死なのですが(笑)。皆さんが盛り上げてくださるので助かっています。
花乃　台詞をノートに書いていらっしゃいますよね。
朝夏　すごい量の時は書かないと覚えられないの、カンペです。
花乃　カンペといっても、見れるわけではないですから。
朝夏　心のカンペ。久しぶりに書きましたけど、すごい量でした(笑)

――今作では表舞台だけでなくバックステージで起きるドラマが描かれていますが、二人が思い出す宝塚時代のバックステージでの思い出はありますか？
花乃　バックステージと聞くと相手役さんと一緒に舞台に対して考えた時間のことを思い出します。私にとっては舞台にいる時間と同じくらい尊いものでした。相手役さんからご指摘いただいたことは付箋に書いて化粧前の鏡に貼っていたのですが、鏡が課題の付箋で埋まるくらいになっていましたね(笑)。課題に気を付けながら舞台に立ち、回数を重ねて「どうでしたか？」とお聞きしたときに「よくなったね！」と言っていただけたら、課題の付箋を「やったー！」と剥がすんです。あの達成感は忘れられません！
朝夏　バックステージで思い出すのは、宝塚舞台のスタッフさんです。何もわかっていない研１の私に舞台のことをすべて教えてくださいましたから。たとえば、舞台には道具を出し入れするための絶対に立ってはいけない場所があること、舞台裏のホリゾントは必ず右側通行すれば早変わりで走ってもぶつからないこと、などです。舞台裏で信頼関係を築き、年月を経てトップになったときに「おめでとう！」と言っていただいたときはとても嬉しかったです。
花乃　表に出る生徒だけでなく、スタッフさんも身内ですよね。
朝夏　スタッフさんとの一番の思い出は、宙組全国ツアー公演『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』の千秋楽です。いつものようにアントワネットとボートに乗ったら、ボートの内側に「千秋楽、おめでとう！」とスタッフさんからの寄せ書きが貼ってあったんです！
花乃　すごい！　スタッフさんから愛されている！
朝夏　「頑張ったね！　楽しかったよ！」なども書いてあって読みたいけど、本番中だから読めない！みたいになりました(笑)。終演後にしっかり読ませていただきましたよ。そんな絆がスタッフさんとはありましたね！　舞台裏も温かいんです。
花乃　私も同じ演目に出たので、思い出してしまったのですが…。花組台湾公演で同じボートに乗ったとき、大きな虫も一緒に乗っていたんです！
朝夏　えっ?!
花乃　フェルゼンとアントワネットがボートに乗ってスタンバイするじゃないですか、そのとき大きな虫もスタンバイしていて!!　相手役さんは気づいたそうなんですけど、私が動揺しないように隠してくださっていたそうで…。終演後に聞いて「ギャーーー！」でした。
朝夏　本番中に「ギャーーー！」って言ってしまったら、話が変わっちゃうから(笑)。すごいトラブルだけど、相手役さんの愛を感じるね！
花乃　そうなんです、すごいトラブルでしたが今ではいい思い出です。いや、相手役さんの愛は感じましたが、いい思い出ではないです(笑)。
朝夏　そりゃそうだ(笑)！

――たくさんの芸達者の方々が登場する舞台ですが、「タカラジェンヌは余興がすごい！」と噂で聞きます。ご自身の自慢の余興でもいいですし、印象に残っている余興があれば教えてください。
朝夏　ご自慢の余興はないです(笑)。下級生時代も端のほうの役に逃げていました。かのちゃんは意外とはっちゃけていそうだよね？
花乃　恥ずかしながら〝余興の期〟と呼ばれた96期で育ちましたので、毎回全力で挑んでいました。余興のお稽古で「それで笑ってもらえると思うの？」という熱い指導の言葉が飛び交っている感じです(笑)。
朝夏　一番印象に残っているのは私の退団公演のときの組旅行。その時の余興で、私の初舞台から退団までの全公演の曲を宝塚の作曲家の太田 健先生がメドレーにしてくださったんです！　８分くらいの超大作だったんですが、それを有志の下級生が歌ってくれて！
花乃　泣いちゃう！そんな素敵な余興、見たことないです！
朝夏　泣いちゃいました！　本当に感動しましたね。タカラジェンヌは笑える余興も感動する余興も全力ですから(笑)！

――カラオケ大会が舞台のお話ですが、お二人がカラオケで歌う曲は？
花乃　まぁ様はカラオケに行くんですか？
朝夏　歌の練習で行くことが多いかな。練習に疲れた時は山口百恵さんの『プレイバックpart2』とかを歌います。今回の舞台でこの曲が出てくるので、歌いたかったのもあるんですけど(笑)
花乃　今回の舞台でも一日くらい、まぁ様バージョンでやってほしいですね(笑)。私は松田聖子さんが好きなのでいろいろ歌います。でも、最終的に宝塚の曲になりますね。『EXCITER!!』とか本人映像が流れると、歌うというより見ちゃうんですけど(笑)。
朝夏　バチバチバチってされたら、見ちゃうよね(笑)

――最後に、今回の舞台を楽しみにしている皆さんへ一言お願いします。
朝夏　「どういうお話なんですか？」とよく聞かれるのですが、まったく想像がつかないですよね。でも、何も考えなくていいので来てさえいただければ大丈夫です。そうすれば大笑いできて最後には心が元気になっていると思います。絶対に後悔させないように笑いを追求していきますので(笑)、是非観にいらしてください！
花乃　登場人物のキャラは全員濃いんですけど、「私の会社にいる！」と思える人やご自身を投影できる人達が織り成す物語です。日常生活の延長線上にあるようなお話だからこそ、共感して笑えるんだと思います。まぁ様がおっしゃったように、何も気張らずにただ笑いに来ていただけたら嬉しいです！
朝夏　かのちゃんのアイドル姿が見られますよー(笑)
花乃　コメディのアイドル姿ですけど(笑)。

【着用衣装】＜朝夏さん＞ニットベスト￥75,900スカート￥75,900ともに(CO|TE／IZA 0120-135-015)ネックレス￥55,000ピアス￥14,300ブレスレット￥36,300（すべてスワロフスキー・ジュエリー／スワロフスキー・ジャパン0120-10-8700)＜花乃さん＞ブラウス￥18,920(ハッシュニュアンス／オンワード樫山お客様相談室 03-5476-5811)スカート￥29,700(アナイ 03-5739-3032)イヤーカフ￥19,800(エル•エー•エイチ／ヴァンドームヤマダ 03-3470-4061)ピアス￥19,800(ジュエッテ 0120-10-6616)リング￥15,400(プラス ヴァンドーム https://vendome.jp/plus_vendome)
撮影／杉本大希　ヘアメーク／根津しずえ＜朝夏さん＞、田中宏典＜花乃さん＞　スタイリング／加藤万紀子＜朝夏さん＞、槇佳菜絵＜花乃さん＞　取材／よしだなお　構成／中畑有理（CLASSY.編集室）