3歳から養子に。川嶋あいさん「血のつながりより、過ごした時と愛情が大切」

「ママ似? パパ似?」…日本では血縁を重んじる文化があり、親子の血縁関係があることを前提とした会話がなされることも多くあります。しかし、血縁があっても関係が良好でない場合もあり、逆に血の繫がりがなくても深い信頼関係を築く親子もいます。

幸せな親子とは何でしょう? さまざまなカタチの親子関係は、悩みや葛藤を抱えるSTORY世代にとって、道しるべになるかもしれません。

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川嶋あいさん 38歳 東京都在住
シンガーソングライター

3歳から養子に

血の繫がりより過ごした時と愛情が大切
育ての親が教えてくれました

生後すぐ乳児院に預けられた川嶋あいさん。その後3歳から過ごしていた福岡の児童養護施設で、育ての両親と出会います。「週に何度か両親が施設に会いに来てくれた記憶があります。この人たちがお父さんとお母さんなんだろうな、早く家に行きたいなと思っていました」。

間もなくして、養子として引き取られることとなった川嶋さん。明るく豪快な両親のもと、何不自由のない生活を送っていましたが、中学1年生のときに出生の事実を知ることとなります。たまたま出生に関する書類を見つけてしまった川嶋さん。当時すでに父親は他界しており、母親に問い詰めました。

「『愛(本名)は本当の両親とは別れてしまって、施設にいたんだよ。その施設で笑顔が一番可愛かったから、家族になりたいと思ったんだよ』という話をしてくれました。色々な感情が溢れ、頭が混乱してしまい、聞きたいことがたくさんあったはずなのに、ほとんど聞けないままその日は終わってしまいました」。

翌日、何事もなかったかのようにいつもどおり接する母親の姿を見た川嶋さんは、これ以上詮索するのは無意味なことなのでは、と感じました。「ただ、大好きな両親と血縁関係がないという事実に、悲しみとショックでいっぱいでした」。

しかしその感情も、忙しい生活の中で徐々に消えていったそう。それは音楽のおかげだったといいます。「小さい頃から、歌手になる夢を母と2人で追いかけていました。そのためにレッスンをしたり、地元でライブをしながら忙しく過ごしていました。どうやって夢を叶えようかということに集中していたので、あまり深く考える時間がなかったのかもしれません」。

一番大きかったのは、母親がずっと変わらず川嶋さんに愛情を注いでくれたことだといいます。「今までどれだけ愛情と時間をかけてくれていたのか、どれだけ私の夢を応援してくれているのか、一番近くにいた私がよく知っています。血縁関係どうこうではなく、愛情があれば、一緒に過ごした時間があれば十分だと思えるようになりました」。

自身の体験から、施設で生活する子どもたちには施設外にも安らげる環境を作ってあげたいと話す川嶋さん。施設では一人の先生が何人もの子どもたちをみていて忙しいことを知っているので、なかなか相談できない子どもがいるといいます。「施設の外で向き合ってくれる大人がいることで、少しでも本音が言えるといいですよね。実子とか施設の子とか関係なく、子どもにとって大切なことは、小さいときにどれだけ目の前に自分を守ってくれて愛してくれる人がいるか。それが一番重要だと身にしみて感じるんです」。

2003年にI WiSHのaiとして人気番組の主題歌「明日への扉」でデビュー。「旅立ちの日に…」は卒業ソングの定番曲に。4月27日にデジタルシングル「絆」をリリース。

「上京してから母は毎日何度も電話をくれました。誕生日にはぬいぐるみと一緒に電報をくれることも。大切な宝物です」。

<編集後記> 両親の惜しみない愛情が、夢を叶えるパワーの源に

両親がいつ「真実告知」をしようと思っていたのか、どうして養子を迎えようと思ったのか、真相を確認できないままお母様も16歳のときに亡くなってしまったそう。それでも惜しみない愛情があったからこそ、疑うことなく前を向き、歌手という夢を実現させ多くの方に感動を届けているという話に感動しました。(ライター 星 花絵)

撮影/BOCO 取材/星 花絵 ※情報は2024年6月号掲載時のものです。

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