【真琴つばさ×姿月あさとスペシャル対談】宝塚トップスターを務めた2人が考える〝ウェルビーイングなこと〟
寺井尚子カルテット×宝塚OGという魅力的なコラボレーションの『ALL THAT ZZJA/ALL THAT ZZKA』。9月からの公演を前にお届けしている真琴つばささん×姿月あさとさんスペシャル対談後編では、お二人にとっての〝ウェルビーイングなこと〟についてお聞きしました。
――CLASSY.ではウェルビーイングなライフスタイルを発信しています。考え方や人への接し方など、メンタル面で意識している〝ウェルビーイングなこと〟を教えてください。
真琴 去年から、「丁寧に生きること」が私の目標です。たとえば、グラスに水を入れて机に置くとします。今までは水を入れたあたりから意識が他のことに移ってしまっていましたが、机にグラスを置く最後までしっかりと向き合うようにしているんです。そのためには、余白を作っておくことが大切だなと感じています。ずんちゃん(姿月さんの愛称)は昔から丁寧よね。
姿月 ゆっくり、ってことですか(笑)?
真琴 ゆっくりもしているけど(笑)、やり方が丁寧。丁寧な人って無駄がないのよ。
姿月 ありがとうございます。真琴さんこそ、昔から丁寧な印象です。
真琴 うん、よく言われる(笑)。きれい好きで片づけるのが好きだから、きちんと片づけられるように汚くなるまで待ったりしています(笑)。
姿月 手際よく片づけそうです(笑)。先ほどの余白を作る大切さを、もう少し詳しく教えていただけますか?
真琴 またグラスでたとえますけど、グラスに水をいっぱい入れていたらちょっとしたことでこぼれてしまうでしょ? でも少し余白を作っておくとこぼれる心配がないし、レモン味にすることもイチゴ味にすることもできるの。昔は毎回120%の水を入れようとしていましたが、今は80%にしておいて余白の20%を毎回楽しみたいなって思っています。でも、120%入れる癖はなかなか直らないんですけどね(笑)。ずんちゃんのウェルビーイングは?
姿月 何よりも自分の心と体が元気でいることですね! 人と会うのはパワーがいるので、いつでも大切な人に会えるように心と体を整えておこうと思っています。この2、3年は人に会いたくても会えませんでしたから、実際に人と会うことや巡り合せてくれたご縁、「またね」という言葉の重さを改めて感じました。なので、大好きな人に会えたときは思いっきり楽しんでいます。思いもかけないことが起こる時代ですので、悔いのないように生きたいです。デジタルは便利ですけど、私はアナログが好きですね。直接会って話したほうが本当の気持ちが伝わってくると思うので。昔は電車に乗るときは切符を駅員さんに渡して切ってもらっていましたよね。その時、お互いに「ありがとう」と言うのが当たり前でしたが、今は〝ピッ〟ですから。「ありがとう」と言わないことが増えているんだろうなと思うので、より人と直接会うことを大事にしたいと思うようになりました。
――お二人は元トップスターで今も舞台で活躍されていますが、お互いに変わらないなと思うところがありましたら教えてください。
真琴 私とずんちゃんが〝気遣いシスターズ〟なのは変わらないよね? 自分のことより周りのことが気になってしまうの。
姿月 トップになったからこそ、なのかもしれないですね。一番前に立ってはいますが、周りの組子や私達を支えてくださっているスタッフの方がいてこその自分だと知っているので。
真琴 お客様からは見えないけれど、スタッフの方の多さはすごいですからね。
姿月 トップの私を輝かせるために皆が頑張ってくれているので、私も皆のことを気遣わないと!と常に思っていました。今でも座長になるときもありますし、そうでないときもこの考えは変わらないと思います。
真琴 トップの時の私を「ついて来いよ!」と皆を引っ張るタイプだと思っている方が多いようですが、実は皆に助けてもらっていたんです。宝塚時代の仲間は私のことをよく理解してくれていたので、安心して頼ることができました。私はもともと気遣われるより気遣うほうが性に合っているので、そこは変わらないと思います。
――「これがあればハッピー! 頑張れる!」というものはありますか?
真琴 猫の動画は私を幸せにしてくれます! 声を出して笑うことはあまりないんですが、夜中に猫の動画を観て一人で声出して笑っています。ずんちゃんは何で笑うの?
姿月 私もあまり声を出して笑わないです (笑)。常にLOWです。本人は楽しんでいるんですけどね。
真琴 省エネなんですよね、体が。
姿月 やるときはやります! でも、それ以外のときは結構OFFになっています。
真琴 私もOFFにしていること多いです。OFFの時の声が怖いみたい(笑)。いつもより低くなっているだけだと思うけど。
姿月 OFFのときに可愛い高い声は出ないですよ (笑)。真琴さんはLINEとかで「♡」などの絵文字は使いますか?
真琴 LINEでは「はい」「了解」、以上です。心は喜んでいるんですけど (笑)。「はい♡」のほうがいいかしら?
姿月 文章って難しいですよね。きつく見えてしまうこともありますから。私は「ー」より「~」を付けたほうが柔らかい感じになるかな?と思って使っています。「はーい」ではなくて「は~い」みたいにしていますが、これが正解なのかわからないです (笑)。
真琴 相手のことをよく知っていたらどんな文章でも相手の声が聞こえてきますけどね。
姿月 そんなに親しくない場合は「は~い♡」にしてみましょうか(笑)?
真琴 逆に驚かれるでしょうね(笑)。ずんちゃんのハッピーになることは何?
姿月 観劇やライブを観に行くとハッピーになります。劇場という空間が好きなんだと思います。
真琴 私は家が好き。ずんちゃんも家が好きでしょ?
姿月 家、好きです! 海とか山には行かないですね。
――なるほど。お二人は自分にごほうびをあげるタイプですか?
真琴 しょっちゅうあげているかも。今日も帰りに寄り道してデリでも買おうかなって思っています。
姿月 私はすぐに家に帰りたいです。
真琴 ほら、やっぱり家が好きじゃない(笑)! 家で飲むワインでも買って帰ったら?
姿月 シャンパンでも買おうかな? 今日のごほうびということで。
真琴 食べ物に限らず何かと理由をつけて、常に買っている気がします。
姿月 スタイリストやヘアメイクも自分でやらないといけないことがあるので仕事でもあるんですが、買うことがごほうびにもなっているのかもしれませんね。
真琴 ファンの皆さまに楽しんでいただけるように、目を肥やしておくことも大切だと思っています。なので、美術館巡りを始めたんですよ。先日は『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展に行きましたが、圧巻でした。デザイナーのディオールさんも、飾られたドレスも、観に来た皆も、すべてが幸せを感じている空間でした。私も、こういう仕事がしたいと思いましたね。
姿月 『ALL THAT ZZJA/ALL THAT ZZKA』が、そうなりますよ! ジャズも、演者も、お客様も、すべてが幸せを感じるコンサートに!
真琴 そうですね、皆で楽しみましょう!
『ALL THAT ZZJA /ALL THAT ZZKA』
〝ジャズ・ヴァイオリンの女王〟寺井尚子と宝塚歌劇元トップスターたちの夢のコラボレーションが決定! スタンダードナンバーから宝塚歌劇楽曲まで、寺井尚子カルテットによるジャズの醍醐味である即興演奏、宝塚歌劇OGたちによる洗練された華麗なるパフォーマンスでお届けします。企画・原案 寺井尚子/構成・演出 菅野こうめい/音楽監督 北島直樹/演奏 寺井尚子カルテット/出演 真琴つばさ 姿月あさと 湖月わたる 風花舞 彩乃かなみ 天寿光希 晴音アキ 加賀谷真聡 高橋伊久磨 9月22日(金)~24日(日)日本青年館ホール 9月29日(金)~10月1日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
真琴つばさ
‘85年宝塚歌劇団に71期として入団。花組に配属。’97年月組トップスターに就任。’01年退団。退団後も舞台を中心に活動しつつ、バラエティ番組などの映像でも活躍している。
姿月あさと
‘87年宝塚歌劇団に73期として入団。花組に配属。’98年宙組の初代トップスターに就任。’00年退団。退団後も歌唱力を活かして、コンサートなどの舞台を中心に活躍。
撮影/木村 敦 取材/よしだなお 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)