「将来の夢がない我が子」に悩む親がすべき6つのこと【メンタルコーチ監修】
親はいつでも子どもの幸せを一番に願うもの。我が子が夢に向かって一生懸命頑張っていたら、親は全力で応援するはずです。でも、もし夢や目標を何も持っていなかったら、なんでだろうと不安になりませんか? 将来の夢がない子どもに、一体どんな声がけをしたらいいのか、夢を持っていなくても大丈夫なのか。2人の娘を持つライターが、メンタルコーチの飯山晄朗(いいやまじろう)先生にお話を伺いました。
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メンタルコーチ、人財教育家。銀座コーチングスクール認定プロフェッショナルコーチ。JADA(日本能力開発分析)協会認定SBTマスターコーチ。中小企業の人材教育に携わるほか、オリンピック選手や高校野球部を始めとするアスリートたちのメンタルサポートを行っている。主な著書に『こどものやり抜く力と自己肯定感を一気に高める 超メンタルコーチングBOOK』(KADOKAWA)『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』(秀和システム)など。
なぜ夢を持たない子どもが増えている?
幼い頃は、将来の夢を元気よく答えてくれていたのに、中学・高校と年齢を重ねるにつれ、だんだんとその夢を「無理だ」と諦め、自分の夢は「特にない」と答える子どもが増えているようです。その原因は、何なのでしょうか。
「最近の子どもはあまりチャレンジをしなくなりました。それは『失敗したくない』『人から何か言われたくない』という理由が多いのですが、今はSNSの発達で情報過多になり、他人とよくも悪くも安易に比べられる時代になってきたのも大きな原因です。
チャレンジをする前から『夢なんて到底叶えられない』と自信を持てなくなってしまうのは、“今”を起点に考えているから。『今の自分』ではなく、まずは『将来自分がどうなりたいか』というゴールだけを考えてみると、意外と今自分がやるべきことがわかってくるものです。思い描くのは自由だし、なりたいものには何だってなれるんです」(飯山先生、以下同)
夢を持つのはいいこと?
親目線だと、夢を持っている子どもの方が、夢を持っていない子どもよりも生き生きとしているような気がするのですが、やっぱり夢はあった方がいいんでしょうか。
「もちろん、将来の夢はあった方が、やる気も出るのでいいことだとは思います。でも、将来の夢がないのがダメということではありません。今は、まだ考える時期なんだと思います。いっぱい迷ってもいい。失敗したっていい。まずは子どもが夢について話してくれるときを待ってみましょう」
親がするべき6つのこと
夢を持っていない子どもに、ついあれこれ言ってしまいがちですが、焦る前にまず親がするべき行動を、挙げてもらいました。
1. 親自身が夢をもつ
「子どもに将来の夢を持ってほしいと願うなら、まずは親自身が夢を持つことです。『子どもが将来こうなることが夢』というのはNG。それは押し付けになってしまいます。子どもに聞かれたときに、しっかりと自分がこれからやってみたいことを答えられるよう、ご自身も考えてみてください。子どもは思いのほか、親の背中を見ているものです」
2. どんなことができたら嬉しいか、どんなふうになりたいかを聞く
「まずは、子どもが“夢”そのものをどう感じているか聞いてみてください。夢なんて大それたもの、と思わないで、将来こんなふうになっていたら嬉しいとか、どんなことができたら楽しいかなど、漠然とした話から始めてみてください。『お金持ちになりたい』などでもOK。子どもと対話をすることで、本人の気づきがあるかもしれません。口に出して言うことはとても大事です」
3. 聞いた答えを全力で肯定する
「親がやりがちなのが、いざ夢を聞いたときに『無理じゃない?』などの、否定するような反応。これは絶対NGです。『え?』と聞き返すような反応も、子どもは心を閉ざして、それ以上話してくれなくなります。『YouTuberになりたい』『アイドルになりたい』などと言われると、つい『大変だよ』などと言いたくなるかもしれません。親心として、大変な部分を知らせてあげたい気持ちも分かりますが、どんな仕事だって大変な部分はあるもの。あえて否定をするような言葉は言うべきではありません。それよりも、子どもが話す夢をまずはいったん受け止め、応援してあげてください」
4. 漠然とした夢は掘り下げてあげる
「子どもが少しでも『なりたい自分』を語ってくれたら、なぜそう思うのかを聞いてみてください。例えば、『YouTuberになりたい』という子どもがいたら、YouTuberみたいにみんなに注目されたいのか、映像を作る方に興味があるのか、みんなを楽しませたいのか、正しい知識をみんなに伝えたいのかなど、YouTuberのどの部分が好きなのかを詳しく掘り下げてみると、子ども自身も気づいていなかった部分に気づかせてあげられるかもしれません。同じ夢でも、その子によって興味があることは違うんです」
5. 「夢はない」と言われたら「見つけたら教えてね」
「それでも子どもから『夢はない』と言われたら、深掘りせずに『今はないのか』と受け止めてください。いくら親が夢を持ちなさいと言ったところで、子どもは変わりません。夢が見つかったら教えてほしいことを明るく伝え、子どもを信じてください。そして、もし夢が見つかったら一緒にお祝いしてあげましょう!」
6.他人の子どもと比較しない
「今は、親が子どものことを必要以上に考える時間が増え、過干渉になっている家庭も多いです。我が子のことを考えるが故に、他の子どもと比較して、焦ってしまうという人もいると思います。他人と比較され、怒られて嬉しい子どもはいません。夢を持たない子どもにやきもきする前に、まずは自分の子どもだけをしっかりと見てあげて、我が子の過去と比べて成長した部分をぜひ褒めてあげてください」
お話を聞いて
私自身、高校生と大学生の娘がいて、2人ともまさに将来の夢がありません。勉強面や生活面で気になることはないのですが、「将来の夢は何?」と聞いても、「特にやりたいことがない」というばかり。夢がないせいか、何に対してもやる気が感じられず、親としてはやきもきしてしまっていました。
でも、今回飯山先生からお話を聞いて、夢ではなく、将来どうなっていたいかを子どもたちに聞いてみたら、長女は「海外で生活したい」、次女は「バリバリ働きながらお母さんをやりたい」という返答が。確かに、長女は語学や旅行が好きで、次女は料理と赤ちゃんが好きなので、その答えに納得でした。まずはその答えから話を広げて、子どもが考えていることを聞けたらと思います。
子どもの反抗期についても先生に伺うと、「そんな時期は今しかないんだから、反抗してる子供も可愛いと思って楽しんで」とのこと。反抗期を可愛いと思ったことがなかったので、目からウロコでした。これからは、もうちょっと自分の心に余裕を持って子育てを楽しみたいです。
子育ては正解がないし、同じ屋根の下で育った兄弟姉妹でも性格は全然違います。でも、子どものことを一番分かってあげられるのは、やっぱり親なので、いつでも子どもの一番の理解者になれるよう、見守っていきたいと思います。(ライター沢)
取材/沢亜希子