記憶力・読解力・集中力は“眼”で鍛えられる!おうち「メンタルビジョントレーニング」
「机に座ってもすぐに飽きる」「どうも国語が苦手」「スマホゲームばかり」「最近感情的になりやすい」「落ち着きがない」と、子どもに対して思い当たる方は要注意! それ、眼の働きの低下かも。実は、関係するのは視力だけではなく、眼の働きが悪くなると頭も心も疲労するんです。そこで、家で簡単にできて、楽しく続けられる4つのトレーニングをご紹介します。
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教えていただいたのは・・・
国際メンタルビジョントレーニング協会代表 臨床心理士 松島雅美先生
プロ野球やプロサッカー、フェンシング、テニス選手など、日本を代表する有名アスリートをはじめ、子どもや受験生、社会人にいたるまで幅広くパーソナルトレーニングや講演会を催行。
国際メンタルビジョントレーニング協会(体験講座)
公式アプリ「みるチャレMVT」
メンタルビジョントレーニングとは・・・
「集中力がない、集中力さえあれば……」というのはよく聞く悩みのフレーズですが、集中力に関して誤解されやすいポイントがあります。それは、集中力は“長く維持できると良い”と思われがちだということ。そうではなく、“必要なことをやっている間、しっかり集中できる”力をつけることが大切なのです。
保護者の方からよく相談を受ける内容としては、子どもが「落ち着いて座っていられない」「漢字や図形が苦手」「ボール運動が苦手」「周りの様子に気づけない」「感情がおさまらない」などが挙げられますが、実は、眼のトレーニングで理解力や身体能力、感情のコントロールを改善できるんです。
人間は五感で情報をインプットしており、その8割は眼から入ってきます。そして眼の機能とは「眼の使い方、見え方→判断→反応」の一連の流れを言い、バランス、学習・記憶、運動のベースになります。つまり、眼は脳の一部が外に突出しているものと考えるとわかりやすく、眼に映った物を脳が判断しはじめて「見えた」ということになります。
昔と比べて現代の子どもたちはスマホの小さい画面で動画を観たりゲームをするのが当たり前。眼を圧倒的に動かさなくなったことで、考える力や感情のコントロールに関係する脳の「前頭前野」がしっかり働いていない子どもが増えていると言えるでしょう。脳の一部である眼をトレーニングをして、前頭前野を活性化させることでメンタルを安定させ、記憶力・読解力・集中力をUPさせましょう。
トレーニングに挑戦してくれたのは・・・
太田綾希さん(Ouitote KOBE代表)42歳、長女の初香ちゃん 8歳
娘の性格は明るく素直で朗らか。成長に伴って国語の読解や、早さを求められる計算問題などが苦手になってきていると感じます。動作がゆっくりで丁寧な分、テストで時間が足りなくて困ることも。自宅で動画を見る時間も増えており、液晶画面を見る時間が増えていることが気になります。
①記憶力UPの「瞬間視」トレーニング
~ボールの文字を読み取る~
人が不安になる時に共通しているのは、「わからない」時。この「わからない」状態を放っておくと、いつまでたっても不安は軽減されません。わからないまま不安な感情を【気持ちのもちよう】で変えることは難しく、適切な「行動」が必要です。その一つが、情報収集の力。そのためのトレーニングの1つが瞬間視のトレーニング。記憶力UPにも効果的ですよ。
最初は1~2個しか言えなくても、繰り返している間により多くの文字が見えてきます。
最初に普通に投げてみたら親子ともども全く見えず……転がすところからスタートしました。次に、回転をかけると全く見えないのでゆっくり回転をかけずに投げるようにして取り組みました。だらだらしがちな夏休みに、学習への動機づけになってすごく良かったです。動いてからだと机に向かいやすいようで、その後すぐに宿題に取り組んでくれました。
②読解力UPのトレーニング
~文字をかたまりで捉える、言葉あつめ~
読むのが苦手な子どもは、文字をかたまりで捉えるのが苦手なのです。本を読んでいても、教科書を読んでいても、その内容が頭に入ってきません。一字一字は読めても、それを文章としてかたまりで捉えられないため、読解につながらないのです。だからまず、言葉をイメージして組み立てるトレーニングから始めましょう。
はじめは元のお菓子の名前に戻すトレーニングから。できるようになったら、新しい言葉を作ってみるのも良いでしょう。できるだけ広い範囲に散らばらせると、前頭前野を活性化させる「眼球運動」にもなります。
準備段階から一番楽しんでいました。「よーい、どん!」で何分でできるかやってみたところ、早くできたら綴りが間違っていたり、綴りが合っていたら時間がかかっていたりしていて、かなり楽しんでいました。短い時間に集中して取り組むので、集中力が上がりそうです。文字を切っただけだと飛んでいってしまって、娘が紙に貼り付けたらいいんじゃない? と提案してくれて、一緒に切りはりして作ったのも楽しかったです。慣れてきたらもっと数を増やして、言葉を自分で作れるところまでやってみたいです。
③体と感情のバランスを整えるトレーニング
~体とアタマのバランスを整える~
眼をしっかり動かすことで、メンタルの強さに関係する『前頭前野』が活性化されます。また、眼のストレッチで体の歪みが整いバランス能力がUPします。このように『目で追う眼球運動』を行なうことで、体だけでなく感情のコントロールができやすくなり、本や文章を読みながら理解する力も向上します。
ぬいぐるみなどをもってやるのもOK。一方から正面に戻すのにかける時間は4秒くらい。ゆっくりとやるのがポイントです。左右3往復、上下3往復くらいをめどに。
家族で一緒にやってみました。スマホを見過ぎの大人や長男は、目だけを動かすのが案外難しく、顔も一緒に動いてしまって数回するだけでもいい運動になりました。眼球を動かした後は焦点が合いやすくなったように思いましたし、すごく気持ちよかったです。
④集中力がUP!「周辺視」のトレーニング
~お手玉キャッチ~
周りに意識を向け、広い範囲の情報を把握するための力を鍛えます。生活やスポーツにおいてとても重要な機能で、視野を広く持てる人は周りの状況に合わせた判断ができるため、社会適応力とも関係します。周辺視を鍛えると、集中力がUPしミスが減ります。集団生活の中では、空気や状況が読めるようになり、冷静に状況判断することも可能に。
手やボールは見ず、視線はまっすぐ前を見たままで行うことがポイント。上手くできるようになったら、ゆっくり走りながらやってみるのも効果的です。
手を伸ばしてするとなかなかキャッチできなかったので、最初は手を縮めて低い位置で投げるところから始めました。ちょっとずつ手を伸ばしていきましたが、やっぱりまだまだ失敗が多くて、でも楽しんで取り組んでいました。視野が広がることで思い込みが減ったり、ミスが減ると聞いたので、小6で中学受験を控えている次男にも試してみるつもりです。
やる気のスイッチは「わかる」こと
「集中しなさい!」「自信を持ちなさい!」「やる気を出しなさい」などと叫んでも、子どもたちは、どうやったら集中できるのか、自信を持つためにどうしたらいいのか、やる気ってなに……? 勉強時間と気持ちでカバーしようとしても結果はついてきません。子どもたちが不安になったり、やる気をなくす時は、「わからない」ときです。わからないことが重なると「あきらめ」てしまいます。逆に言えば、わかることやできることが増えると、やる気が出てくるのです。
理解の仕方にも個性はありますが、一つだけみんな共通していることがあります。それは、学習や運動のスタートを担うのが、脳の一部であり情報の8割を取り入れている「眼」であるということ。眼をトレーニングすることで、記憶力、判断力、反応スピード、周辺視、バランス感覚を鍛えられます。楽しい夏休みを有意義に過ごすために、メンタルビジョントレーニング、オススメです。
取材/八尾美奈子
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