堀田茜さん&福本敦子さん対談「親との別れのことって、考えたほうがいいのに逃げたくなる話」
堀田茜が「30歳になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載7回目。この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!
本当はとても感謝しているのに、いまだに親に愛情を伝えるのは照れくさいです
今回のゲストは...福本敦子さん
【今月の茜のモヤモヤ案件】
半年くらい実家に帰れないこともあって、ひさしぶりに両親に会うと老いを感じるのが切ないし、何もできない自分がもどかしいし、いつか必ず訪れる別れを想うと怖いです。本当はとても感謝しているのに、いまだに思春期みたいな態度も取ってしまう…今から考えておけること、できることって何ですか?
「ひとりで抱えない。孤独にならないのが一番大事です」(福本)
福本:日本だと特に「悲しんでいないと不謹慎」というような風潮が強いところはありますよね。でも私が経験して言えるのは、何言も抱えないことが大事。母の闘病中、父の気持ちのモヤモヤなど私が共感できないことは全部男友達に聞いてもらっていたんですね。父のことだから男性に聞いてもらったほうがわかってくれると思ったので。そうやって中和剤になってくれる人と話す時間を作ったり、イキイキとした人が集まる場所に足を運んだりということは意識的にやっていました。母が亡くなった日やその後の辛かった時も自分の癒しも忘れませんでした。
茜:それ以外のことをしたらいけない、悲しみと対峙するときという勝手なイメージがありますけど、良くないですよね。
福本:そう。「孤独にならない。活気を養う。ためこまない」この3つが私には重要でした。
茜:こういうお話が聞けるとより一層、今を大事にしようと思えます。とはいえ照れくささが勝っちゃって、わざわざ両親に会いに実家へ帰るのも腰が重いんですよね。いまだに思春期みたいなぶっきらぼうな対応をしちゃったり。
福本:堀田さんがご両親にそういう対応をしてしまうの意外です(笑)。
茜:そういう自分がまた恥ずかしいんですよ。忙しさを言い訳に母の日や誕生日に何もしてあげられないことも多いし。
福本:そう考えてるだけで偉いですよ。特別な何かをすることが親孝行ということではない。どう思ってるかですから。この連載の内容をそのまま読んでもらえばいいじゃないですか(笑)。感謝してるけど言えない、恥ずいって。あと、お母さんって娘のことをすごくよく見てるから。
茜:ですよね。すごく疲れてるときにTVに出たら、お惣菜を作って持ってきてくれたこともありました。「たまたま作ったから」って言われたんですけど、絶対たまたまじゃないやつ。
福本:堀田さんのぶっきらぼうはお母さん譲りですね(笑)。私もお母さんとベタベタしていたわけじゃないし、子供のころに「育てづらい」って言われたこともあるくらいだし、お盆や年末年始に実家に戻っても24時間と滞在せず自分の家に帰ってたんです。でも母の生前、実家のiPadに私のYouTubeチャンネルを見た履歴があって、見てくれて嬉しかった。親って、子供がいてくれるだけでうれしいんじゃないですかね。
茜:家族のことってこうあるべきだと正解を思い描いてしまうけど、色んな形がありますね。それに、家族ってずっと一緒にいた人だから、家族に抱く感情を言葉にしづらい気もします。だからそのままにしておいてしまいがちなのかも。
福本:本当に自分の家族のことって言葉にするのも難しいですよね。でもリスペクトする気持ちさえあればいいんだと思うし、家庭によって答えは違うから、むずかしく考えず、想っているだけで十分ですよ。
茜:人に話したことがなかったので、今日はお話しできてすっきりしました。
\茜の取材ノート/
親との別れのことって、考えたほうがいいのに逃げたくなる話。だから今回の対談も恐る恐るでお話をはじめましたが、疑問や悩みを言葉にして福本さんに助言いただくことで、ぼんやりした不安が整理されたし、しっかり向き合ういい機会になりました。今、親との関係にモヤモヤを抱えている人ってすごく多いと思うし私も思い悩むことは多々あるんですけど、30歳という節目に改めて親の今後について向き合い、考え直せて良かったです。
美容コラムニスト/福本敦子さん
コスメキッチンに14年勤務後、独立。独自の感性と切り口でオーガニックコスメを紹介する「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と大反響を呼ぶ。近年はコラボコスメのプロデュースや、podcastのパーソナリティなど活動は多岐にわたる。著書に『今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by 敦子スメ』のほか、森田敦子さんとの共著『気持ちいいがきほん』(ともに光文社)が好評発売中。
【茜】オールインワン¥36,300(カデュネ/カデュネプレスルーム)ピアス¥29,700(ete)リング¥28,600(LOHME)
撮影/杉本大希 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc