神山まりあエッセイ③「さかなくん」

VERYモデル神山まりあさんによるエッセイ「笑うママには福来る。」。2019年2月号からスタートした連載がウェブでも読めるようになりました!

息子・ディーンは魚が大好き。
特にサメが好き。
タコの絵本を見ると大喜びし、お気に入りのズボンはもちろん魚柄。

日に日にエスカレートしていく魚への愛情。
彼の最高のご馳走はしらすご飯。
愛が強すぎて、しらす一つ一つに名前をつけながら食べるという
なんともシュールな光景を夕飯時に見ることができます。

「ハッピーフィッシュ
(頭からガブッ)
「アングリーフィッシュ
(ちぎってガブッ)
「サッドフィッシュ
(撫でてからガブッ)

しらすご飯を食べ終わるのにどれだけ時間がかかることか。
でもこんなにも幸せそうに魚を食べてくれるのだから、
少々残酷でもまあ良しとしましょ。

いつか頭に魚の人形を乗せて「ギョギョッ」とか
言いだしたらどうしようと思いつつ、魚への愛が募る息子が微笑ましい。

ある日、ディーンの通っているプリスクールから一通のメールがきました。
「今週の木曜日、漁師さんが学校に来てくださり、
サバの解体ショーを生徒さんの前でやってくださいます!」

!!!!!!!!!!!!

これは!

危険!!!!!!!!!

 わかっているんです。
今の時代、魚の切り身が海を泳いでいると勘違いしている子がいるってことを。

魚がどのような姿で泳いでいて、そこからどういう風にさばかれ、
スーパーで売られ、料理し,食卓まで運ばれてくるのかを
教えることがどんなに大切か・・・・・・・・わかっているんです。

でも、無邪気に魚を愛でている我が子の目の前で
ツヤツヤのサバちゃんが笑顔で漁師さんにグサッとされるのを見た時、
どれだけのショックを受けるのでしょう。
すでに蒸してある小さなしらすとは違ったスケールの
〝グサッ〞を見て、お目目をまん丸にしてショックを受ける
ディーンの顔を想像しただけで切なくなってしまいました。。。

うん、今はまだ早いね、あと少しだけ大きくなったら食育始めよう。
そしたらお魚さんに対する感謝がもっと、もっとわかるはず。

サバの解体ショーの日、先生に事情を話して、
グサッとするシーンだけ違う部屋で遊ばせてもらいました。
2歳児クラスはやっぱり同じことを考えたお母さん方が多かったみたいで、
チビ達は決定的なシーンはほぼ見なかった模様。
大きなお魚さんが教室にやってきて、
気づいたときには美味しい切り身となって出てきたそうな。

でも、こんな貴重な機会を作ってくださった学校には本当に感謝しています。
これがたくさんの子供の食育のきっかけになったんだろうなあ、と。

お迎えの時間。
フィッシュかわいかった??と、聞いてみたら、

「フィッシュ、ハッピー!!ディンディン、ハッピーーーーーーー!!!」
満面の笑みで答えてくれました。

ディーン君、そのハッピーな魚はすでに君のお腹の中にいるんだよ。

そんなこと口が裂けても言えない母でした。
マイペースに、食育始めていこうと思います。

【PROFILE】かみやま・まりあ 1987年2月17日生まれ。2011年ミス・ユニバース ジャパングランプリ。2015年結婚、2016年男児出産。インスタグラム@mariakamiyamaも大人気。2018年9月に初めての書籍『神山まりあのガハハ育児語録』(光文社)を刊行。

撮影/イマキイレカオリ ヘア・メーク/TOMIE〈nude.〉 イラスト/natsu yamaguchi デザイン/橋本綾子 編集/湯本紘子

※VERY2019年4月号「神山まりあの笑うママには福来る。」より。
※掲載の内容は発売当時のものです。