神山まりあエッセイ⑤「ママ旅が教えてくれたこと」

VERYモデル神山まりあさんによるエッセイ「笑うママには福来る。」。2019年2月号からスタートした連載がウェブでも読めるようになりました!

先日、3回目のママ旅に出かけました。行き先は石垣島。

旅の相手は、ママ友とディーンと1カ月違いの男の子。
大学時代からの仲良しで、二人して酒豪。
当時レインボーカラーのドレッドヘアーで片手にワンカップを持っいた彼女は、
もう黒髪の一本縛りで息子とママバッグを抱えてる。
そんな昔と今とのギャップを楽しみながら、ママになってからも遊ぶ。
それが私たちの楽しみなんです。

ママ旅は大変で最高。
どちらかというといつもは大変な思い出の方が大きい。
でも、今回はとてもスムーズだったんです。
1年前の子供たちは、飛行機の中でも座っていられずにグズったり
走り回ったりしていました。
今ではすっかり座ってキッズ二人でビデオなんか見ちゃってさ。
到着してからも仲良しで遊んで走り回り、
おしゃべりしておもちゃをシェアしてる。
その様子を見てて、改めて子供の成長を感じることができました。
いつもは家や学校で生活をするわけだけど、こうやって違う環境下で
息子の成長を客観的に見られること、それってママ旅だからこそできる気がする。

こうやってママと二人で旅してくれるのはいつまでなんだろう?
お友達と遊ぶ方が楽しい日が来るのかな。そんなことを考えると、
楽になりつつも切ないのが親心。

平和なママ旅。
でも最終日にディーンが大泣き、大暴れしました。理由は、

「お風呂にパジャマで入りたい」

まじかー。
ママ友も息子ちゃんもびっくりするほどの大泣きっぷり。
ていうかもはや叫んでる。

びしょびしょになったパジャマを脱がせようとすると、ここでまた大泣き。
このまま寝たいんだ、と頑固一徹。
そりゃ風邪ひいちゃうよー!と説得するも、大泣きはヒートアップ。

もーーーーーーー嫌。

勘弁してくれ。
風邪ひいちゃうんだからね。
そんなに泣き続けないでよ。

そこで、

母は諦めてみました。

濡れたパジャマでいる息子にタオルをかけ、放置してみました。
君がこれを望んだんだ。

しばらくすると、ディーンが自分から着替えさせろと言ってきたんです。
多分寒かったんだろうな。

すると、すごーーーく罪悪感が湧いてきて。
無理やりあったかいパジャマに替えてあげればよかった。
ディーンは機嫌が悪いだけで、何にも悪くないのに。
泣いてるからって諦めるなんて、

もう母失格だ。

でも、子供たちが寝た後、ママ友がそっと言ってきたんです。

「さっきのマリアの対応は母としてパーフェクトだったね」って。

「ディーンはわがまま言って、自分で過ちに気づいて、自分で納得したんだよ。
すごく成長しただろうね、今の瞬間で」

私はあの時、自分は母失格だと思った、と伝えました。すると、

子供が納得するまで辛抱して待ってたじゃん。見捨てたんじゃない、見守ってたじゃん」

いつもだったら風邪をひかせないように、泣き叫ぶ息子を無理やり着替えさせてた。
でもそうか、ディーンは濡れたパジャマを着続けたらどうなるか知らないから
「着ていたい」という理由だけでわがままを言っていたんだ。

その夜、ディーンはあったかいパジャマに自分から着替えて
スヤスヤ寝ました。
それ以来パジャマでお風呂に入りたいなんて言いません。

ママ友がいないと知れなかったこと。

自分の育児を客観的に見られないから不安になったり
母失格だって思ったりする。
子供は守ればいいってもんじゃないんだね、
自分で判断できるように育てなければいけないんだ。

 

私もディーンも一つ成長した、そんなママ旅でした。
ママ友に感謝。彼女の母としてのたくましさに
昔のドレッドヘアーが重なって見えたよ。

さあ、次はいつ行けるかな。

【PROFILE】かみやま・まりあ 1987年2月17日生まれ。2011年ミス・ユニバース ジャパングランプリ。2015年結婚、2016年男児出産。インスタグラム@mariakamiyamaも大人気。2018年9月に初めての書籍『神山まりあのガハハ育児語録』(光文社)を刊行。

撮影/イマキイレカオリ ヘア・メーク/TOMIE〈nude.〉 イラスト/natsu yamaguchi 編集/湯本紘子

※VERY2019年6月号「神山まりあの笑うママには福来る。」より。
※掲載の内容は発売当時のものです。