これまでも数多くのお子さんたちに、料理を通じて食の大切さを伝えてきた台所文化伝承家/食育・受験フードアドバイザーの中原麻衣子さんの、誌面版親子料理教室。第2回目は、「炊飯編」。「ご飯さえあれば」の言葉通り、炊いた白米は日本の食卓の中で中心となる存在。ぜひトライしてみてくださいね。
ご飯を炊くのに必要なものはこちら
用意するものは、①お米 ②お米を研ぐボウルまたは炊飯器の内釜 ③米用軽量カップ ④水 ⑤炊飯器。
お米を計量しよう!「すりきり」ってわかるかな?
お米の量を表す時、「合」という単位が使われています。1合を炊くと、だいたい大人用のお茶椀だと2杯分少し、子供用お茶碗だと3杯分のご飯ができます。今日は2合分炊いてみましょう。
米用軽量カップでお米をすりきり1杯が1合なので、2回分入れてボウルもしくは炊飯器の内釜に入れます。ここで質問!「すりきり」ってどんな状態かわかりますか?
粉や粒のものを量るとき、平らな物を容器の縁に当ててすべらせ、縁と同じ高さにならすこと。菜箸などを使う事もありますが、今回は写真のように、お米を山のようにカップですくったら、まっすぐに伸びした指をカップの横からすーっと滑らせましょう。余分なお米はこぼれ落ちます。
すりきり2杯分のお米をボウルまたは内釜に入れたら、次にお水を入れましょう。1回目のお水はお米にとってとても大切な存在。乾いた表面からきゅっと中に水が入っていきます。
お米を研ぐときは「やさしく押す」イメージで
最初に入れた水を捨てたら(すべての水を捨てようとするとお米も流れてしまうので、残っていても大丈夫)、お米を研ぎます。米の周りについている汚れを落として、おいしいお米に炊き上げるためです。最初の水はできるだけ早く捨てます。
「研ぐ」ってどんな感じかわかりますか?
いろいろなやり方があると思うのですが、「お米をやさしくつかんで押す」「そして離す」を繰り返すこととお伝えしています。だいたいでかまいませんが、30秒くらい繰り返します。1から30まで数えながらやるのも楽しい!
ぎゅっと握り過ぎず、やさしくやさしく。
研いだ水を捨て、またお水を入れて研ぐを繰り返します。水が透明になるまでだとやりすぎで、少し白っぽい状態がふっくら炊けておススメですよ。
このくらいがちょうどいいかな? お米の種類にもよりますが、だいたい3回くらい水を替えた状態です。
この後は炊飯機にセットして、炊飯のボタンを押せばOK!
炊きあがったご飯は ほかほかで美味しいですよね。日本に生まれてよかった!と思う瞬間かもしれません。
見守る大人の“寄り添い方”がポイントに
① 言葉の意味も教えていきましょう
「すりきり」や「研ぐ」など、台所以外ではなかなか出てこない言葉なので、知らないお子さんたちも多いかもしれませんね。お台所で知る・お手伝いで学ぶことができる言葉です。粉をすりきるなど別のお料理にも応用できます。受験フードマイスターの観点からすると、実はこういった「すりきり」「研ぐ」などの言葉は試験問題長文問題の中に出てくることも。知らない言葉だとそこで「?」となってしまいます。学力と生活力は結びついていると言えそうです。
② 「きっちり」を求めすぎない
お米を研いで水を流すなど、小さな手なのでお米をこぼしてしまうなどうまくいかないこともあるはず。でも当然、初めてですもの! こぼしてしまうことを失敗とするのではなく、「お手伝いしてくれてありがとう!」などと声かけしてあげましょう。1回目より2回目のが必ず上手になっていきますし、おうちの方に感謝されることはお子さんの自己肯定感や信頼関係築く重要なポイントになります。
また、下記は親子料理教室で実際によく聞かれる質問です。クイズ形式なので、お子さんとどちらか考えながら読んでみてくださいね!
①お米を洗う時、どんな水で洗っていますか?
A.浄水 B.水道水
正解:A.浄水
1回目が重要です。水を思いっきり吸いますので1回目だけ浄水。2回目以降何度も洗い流す分は、水道水でOK!
②お米はどんな状態で保管していますか?
A.常温 B.冷凍庫 C.冷蔵庫
正解:C.冷蔵庫
理由は保存袋に入れて冷蔵庫に入れておくと米粒が縮まるので、水で洗ったとき米粒の汚れが取れやすくなるそうです!
③炊く前に浸水していますか?
A.している B.しない
正解:B.しない。
理由⇒今の炊飯器は性能が良く、炊飯器の設定に含まれているから。土鍋などの方は、蒸らし時間必要です。
④炊きあがった後、蒸らしていますか?
A.蒸らす B.蒸らさない
正解:B.蒸らさない
理由⇒③と同様に、炊飯器の設定に含まれているから。土鍋などの方は、蒸らし時間必要です。
⑤炊いたあと、どうする?
A.食べる時間まで放置し、食べるときにほぐす B.炊きあがったらすぐにほぐしておく。
正解:B炊きあがったらすぐにほぐしておく。
炊いた後、十字にしゃもじを入れて、ひっくり返しほぐす。そのまま保温していても炊きあがりのふんわりが残りますよ。
⑥炊いたご飯はどのように冷凍保存しますか?
A.温かいまま B.冷ましてから
正解:A.温かいまま
炊き立ての状態を即冷凍してあげてください。
⑦ラップで包むとき
A.しっかり包む B.ふんわり/ふわっと包む
正解:B.ふわっと包む
温かいままふわっと包んでおくと、チンしたときに炊きたての柔らかさを取り戻してくれますよ。
以上、クイズでした!
皆さんもぜひ、実践してみてくださいね!
次回は〈3:味噌汁編〉です
中原麻衣子さん
台所文化伝承家/食育・受験フードアドバイザー
つながるキッチン 代表
https://tsunagaru.kitchen/
「身体は食べたもので作られる」を信条に、2012年に食育・料理研究家として事業をスタート。今まで2,000人以上の子供たちやその家族と食を通じて向き合っている。
※内容は小学校低学年以上のお子さんをイメージしていますが、もっと小さいお子さんは大人がさらに補助を、大きなお子さんなら、見守りつつ出来ることはどしどしやってもらいましょう。
取材・文/新里陽子
【こちらの記事もおすすめ】
子どもが夕食をつくれるようになる!食育のプロが教える「親子料理講座」〈1:道具編〉