思春期、新たな世界ができつつある子供とどう接する?|小野千恵子さん、娘達と向き合ってきた15年③

子育て期間の中でも、子供が思春期を迎えた時は親としてどう接するか迷うときではないでしょうか。STORYモデル小野千恵子さんは、高校生と中学生の娘さんのママ。結婚当初から子育てについてお話を伺ってきて、最終の第3回は、そんな彼女がいま子育てについて心がけていること、お子さんたちのこれから、そしてご自身のこれからについて、です。

STORYモデル小野千恵子さん
撮影/小川健太郎
小野千恵子さん 41歳。学生時代にJJモデルを経験後、サッカー選手の小野伸二さんと結婚。17年間の主婦生活を経て、2019年にSTORYモデルとして復帰。15歳と13歳の女の子ママ。  
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真っすぐな性格の長女。とはいえ、思春期を迎え変化もでてきました。

10年以上、長女のすべてだったフラですが、中学生になり学校生活も忙しくなってきて自然と視野が広がってきたこと、優勝をいただいてやりきった感もあり、目標をちょっぴり失っていたのもあったのでしょう。次女のミュージカルレッスンに参加したのがきっかけで「もっと歌の勉強がしてみたい」と言ってきました。このままずっとフラを極めていくだろうと思っていたので、想像していた道から急カーブしたなと。正直、「あんなに頑張ってきたのにもったいない」「精魂込めて指導してくださった先生に申し訳ない」という気持ちがよぎり、どうしよう……。と思いました。
フラの先生はよく、「踊りを見れば、日常生活から考えていることまで何でも透けて見えてますよ」とおっしゃっていました。長女はその言葉にとても納得していて、レッスン以外のときも、普段の生活もきちんとしよう。周りの人に常に感謝の気持ちを持とう。いつも全力で努力しよう。と心がけていたようです。私から見ても、純粋に頑張りたい!と思っている踊りと、迷いがある踊りでは明らかに違うなと思っていました。
でも、長女にはずっと「自分がやりたいならやればいいし、やりたくなければやめればいい」と言い続けてきたので、「今ちょっとお休みしたい」という娘の気持ちを止める権利はないのかな。と。自分の意志でもっと違うことにもチャレンジしていきたい」という長女の気持ちは、母として応援していかなくてはいけないと思い、熱心に指導してくださった先生に相談に行きました。

 

    • 現在は、姉妹でミュージカル教室に通っていて、去年の夏にはブロードウェイのサマースクールにも参加しました。
      「ミュージカル教育」を謳っている姉妹の通うお教室は、「歌や踊りが上手になることも大切だけど、最も大事なのは仲間とのチームワークや自分自身の成長」という理念。
      長女のフラの先生も次女のミュージカルの先生も子育ての恩師です。幼い頃から娘たちを諭し、母として私も一緒に育ててもらった感じ。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

JC&JK、年ごろの娘たち。距離を作らないように自分からグイグイ行きます(笑)

我が家は夫が単身赴任なので、家では女3人でキャッキャ楽しくやっています。
高校1年生の長女はファッションやメークにとても興味があって。やっぱり最近の子は、ビューティ世代なんですかね。私のメークアイテムは最小限なのに、娘はものすごくたくさんコレクションしていて、私から見れば同じ色のリップも、「これとこれは全然違う!」と、こだわりが半端ない。やっぱり若い子はSNSでの情報量がすごくて。到底、追いつけないから私が教えてもらっています。
子供たちは、普段は学校、部活、お稽古と忙しいので、自粛要請期間中、普段できないようなことをたくさんしました。お菓子作り、ZOOMでキックボクシング(2週間チャレンジ!)、TikTokや子供たちのダンスの練習に入れてもらったり。2人が楽しそうにしていると「ママも入れて」って嫌がられようが、グイグイいきます(笑)。子供たちにも成長と共に自分たちの世界ができてきて、どんどん距離感ができてしまうから
もちろん、叱ることもたくさん!パパが家にいないので、父親的な役割もありますし。私はガツンと叱るより、じわじわいくタイプ。「今、ママ、怒ってるんだな」というテンションにしておいて、何が悪かったか、どうしたら良かったか、を自分で考えさせてるようにしています。とにかく「ママを怒らせたらめちゃくちゃ怖い」とナメられないように(笑)

「好き」を見つけて、人生を楽しめる子であってほしい

学校や友人関係、進学や将来に対する不安など、思春期の子供っていろいろありますよね。
娘が何か問題を抱えているな。と思うときは、話したくなったら話してくるかな。と無理に聞こうとせず、詮索しないようにしています。
ただ、なるべく家の中で楽しいことやホッとすることがあれば少しでも気が紛れるかなと思うから、笑顔でなるべく普段通り接する。相談してきたくれたら、本人が悪いと思っても、「それはダメよ」と頭ごなしに言わず、まずは味方になってあげてから話を聞いてあげる。そして一緒に解決策を見つけるようにしています。
あと、大人もですが人って自分の居場所が一つしかないと、折れたときに本当にしんどいですよね。学校で嫌なことがあっても家庭やお稽古など、信頼できる人や頼れる仲間がいるって救われると思うんです。そういった面でも、ミュージカルの先生や仲間には本当に助けられています。

長女は高校生になり、進路や将来の夢を話すことも良くありますが「将来〇〇になりたいけど、私なんて無理だよね」と言うことがあるんです。そんな時、「まずは自分が信じなければなれるものもなれないよ」「無理って言ったら終わりだよ」「チャレンジしてみてから考えよう」と、応援するようにしています。
でも、最近は娘たちも成長してきて、肯定ばかりしていたら「ママは親だからすぐ褒めるけど、周りの人は違うよ」とか、言うようになってきたんですけどね(笑)。
でも「なれるかなれないか」。ではなくて、自分の見つけた夢を目指したり、努力し続けることが一番大事なのかな。って思います。結果ではなく過程を楽しめる人生。結果は後からついてきたご褒美くらいに思えるような人生であってほしいなと。

将来、娘たちには、今のまま「好きなものは好き」と言えて、それに向かって真っ直ぐに進んでいける子に育ってほしいですね。これから成長と共に、好きなことが変わっていくかもしれないし、人生のほとんどをサッカーに捧げている夫のように変わらないかもしれない。でも、好きだから誰よりも上手くなりたくて努力するし、好きだからこそ大変なことも苦にならず、何よりも楽しいのかもしれません。そうやって目標に向かって努力し続けることが本人にとって一番の幸せであって、人からも輝いて見えると思うんです。もちろん「特に今は何もなく、休みたい」。と思う時期があったら、先を急がず、休めば良いし。
でも結果的に、自分の将来の道は「仕方ないからこれでいいか」ではなくて「これがやりたい」と、選択する人生であってほしい。それが結果的に上手くいかなくとも、自分で選んだものなら後悔も無駄もないと思うんです。

なんだか偉そうにいろいろ語らせていただき恐縮ですが、ここまで読んでいただきありがとうございました!
私も昨年、18年ぶりにモデル復帰させていただくことになり、撮影では毎回、プロフェッショナルな人に囲まれて背筋の伸びる日々です。もちろん上手く出来なくてへこむこともたくさんありますが、失敗したら次に活かせばいい。与えてもらったチャンスに感謝して全力で頑張る。私が子育てを通じて教わったことかもしれません。

先日、長女があるテレビのインタビューで「お父さんの頑張っている姿を見て私も頑張ろうと思った」と言っていたんです。シンプルなことですがすごく嬉しかった。
夫、私、娘たち。と家族それぞれが自分のステージで全力で努力しながら、お互いを高め合っていける存在でいられたらなと。もちろん誰かが悩んでいる時は支え合って。
この先、娘たちが突然グレるかもしれないし、(笑)子育ての悩みは尽きません。
でも皆さんと同じように試行錯誤しながら、仕事と子育ての両立、頑張っていきたいと思います。
これからもよろしくお願いいたします!


画像提供/小野千恵子 取材/石川 恵

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