【東京アートパトロール】ヨックモックミュージアム 「ピカソ コート・ダジュールの生活」

昨年秋、青山骨董通りを少し入ったところにオープンした「ヨックモックミュージアム」。名前のとおり、シガールを代表商品とする「ヨックモック」の会長である藤縄利康氏が、館長として手がけたプライベートミュージアムです。

 展示内容は、500点以上のピカソのセラミック作品が中心。「ヨックモック」の創業者である藤縄則一氏の「菓子は想像するもの」という想いを受け継ぎ、ヨックモックグループとして30年以上かけて収集した作品たちだそうです。

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建築設計と展示計画を担当したのは、隈研吾建築都市設計事務所出身の栗田祥弘氏。

 

ピカソがセラミック制作を本格的にはじめたきっかけは、第二次世界大戦直後に南フランスの町ヴァローリスを訪れで陶芸家ラミエ夫妻と出会ったこと。

それまでは難解な作品で知られていたピカソが南仏の温暖な世界観を享受しながら、職人たちとのふれあいを通じ、優しく柔らかな風合いのセラミック制作を始めるようになります。

展覧会では、第二次世界大戦前後の激動の時代背景とピカソの制作活動をリンクさせながら判りやすく紹介されています。

版権の関係などもあり実際に展示してある作品を、この記事上で紹介できないのは残念なのですが、ピカソらしい力強さを感じさせつつ、柔らかく、自由で、愛と光に満ち、希望を感じさせる作品ばかり。見応え十分でした。

 

私がいちばん心に残ったのは「お菓子」という1937年に描かれた小さな油彩作品。

お皿の上に乗ったクッキーやチョコレート、砂糖菓子が描かれているのですが、あの「ゲルニカ」をパリ万国博覧会に出品したのと同時期の作品なのです。

戦争の悲惨さを伝えた「ゲルニカ」と日常の何気ない食卓の風景を切り取った「お菓子」。このふたつの対比は狂気と平穏、戦争と平和、すべて紙一重であることを教えてくれました。

 

ミュージアムの1階にはカフェのみの利用も可能な「カフェ ヴァローリス」を併設。ピカソがセラミック制作に挑戦した町にちなんで名付けられたこのカフェでは、ヨックモックグループ内のハイエンドブランド「UN GRAIN(アン グラン)」のミニャルディーズが楽しめます。

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また、子どもから高齢者まで楽しみながら創造性を伸ばし、感性を育み、脳の活性化やストレス解消の機会を共有する独自のアートプログラム「アートセッション」といったイベンントなども随時開催しているそう。

 

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いつでも気軽にアート制作体験ができる、アートキットメニュー「art for café」 1,650円(税込)はテイクアウトも可能。リフレッシュにもなりそうです。

「世界で1つだけのコースターをつくろう」

内容:アートキット(無地コースター、透明フィルター、色鉛筆6色、作り方記載のカラー台紙)、プティ シガール、ドリンク(コーヒーまたは紅茶またはジュース)*透明フィルター:作品を保護する透明のカバーシール

 

大人のための表参道の新名所の誕生です。

 

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【DATA】

ヨックモックミュージアム
東京都港区南青山6-15-1
展示期間/〜2021年9月26日(日)
開館時間/10時〜17時 ​(現在時短開館中:11時~16時)
※入館は閉館の30分前まで
※カフェL.O.は閉店の1時間前まで、月曜休館(ただし月曜日が祝日の場合は翌火曜日休館)

入館料/一般¥1,200

yokumokumuseum.com

 

 

 

 

text:安西繁美

女性誌やカタログで主にファッション、食関係、アートの企画を担当する編集・ライター。流行には程よく流されるタイプで、食いしん坊、ワインと旅行好き。東京日本橋出身、よって下町気質。家族や友人に美大出身が多いのに私は画力ゼロ。描けないけど書けるようになれたらいいなと。石岡瑛子展であまりの仕事っぷりの激しさに自分を省み、軽く落ち込みましたが。で、帰りに同時期(〜2021125日)有楽町阪急MEN’S TOKYO タグボートで開催されている「ヘタうま展 ヒロ杉山キュレーション」へ。こちらは80年代のサブカル視点の展示。一気に気分が中和されて、家路につきました。