【漢字】地元の人しか読めない!?「地方の市町村名」7選【関東編】
日本全国に792ある市の中から、地元の人なら難なく読めても、そこに縁のない人にとっては読めない市名を、47都道府県から一つずつ選んで出題する「日本難読市名に挑戦」、今回は「関東」編です。日本の全人口のうち、関東地方の占める割合は3割超ですが、関東にお住まいの方でも読めない市名があるのでは?
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1.「神栖市」(茨城県)
県名「茨城」は「いばらぎ」ではなく、「いばらき」です。さて、「神栖」の読みですが、「栖」が常用漢字外ですので、これをどう読むかがポイントです。
「すむ・すみか」を意味するこの字は「す」と読み、「かみす」が正解です。佐賀県にも同じ読み方をする「鳥栖(とす)」があります。神栖市は、茨城県東南部の鹿島地域に位置し、南は利根川をはさんで千葉県銚子市と接しています。平成17年に、神栖町と波崎町との市町村合併により誕生しました。
2.「真岡市」(栃木県)
栃木県からは「真岡」です。「真」は常用漢字ですが、示された訓読みは「ま」ですので、「まおか」と読んだ方が多いのではないでしょうか。
現在は「もおか」と読むのが正式名称ですので、これが正解ですが、実は歴史をさかのぼると、「まおか」と読んでいたこともあったようです。真岡市は、栃木県の南東部に位置し、昭和29年に真岡町と近隣の村との合併により誕生しました。市内には旧国鉄線である真岡鉄道の中心、真岡駅があり、週末にはSLが走ることで知られています。
3.「桐生市」(群馬県)
群馬県は「桐生」です。「生」の字は常用漢字ですが、常用漢字表に示された音訓以外だけでなく、100以上の読みが存在すると言われていますが、その多くは固有名詞、特に地名の読みになります。今回もこの「桐生」と、東京都の「福生」で登場します。
こちら「桐生」の正解は「きりゅう」です。地名の由来としては、「桐の木の生えるところ」や「切り開かれた土地」などの諸説があるようです。桐生市は、群馬県の東南部に位置し、伝統産業である絹織物の産地として知られます。
4.「蕨市」(埼玉県)
埼玉県の市の数は40で全国最多。どこを選ぶか悩みましたが、漢字1文字の「蕨」にしました。関東の人ではないと読めないでしょう。「蕨」は常用漢字ではありません。
山草でその若葉が食用となる「わらび」を表わす漢字で、市名もそのまま「蕨(わらび)」と読むのが正解です。地名の由来としては、この「わらび」が自生していた他に、「藁火(わらを燃やした火)」説があるようです。蕨市は、埼玉県南部に位置する、かつての「中山道(なかせんどう)」の宿場町ですが、全国の市の中で最も面積が狭く、かつ人口密度が最も高い市であることでも知られます。
5.「匝瑳市」(千葉県)
千葉はやはり「匝瑳」でしょう。全国的にもトップクラスの難読地名ではないでしょうか。「匝」も「瑳」も常用漢字外であり、この地名以外ではお目にかからない字です。
これで、「そうさ」と読むのが正解です。「匝」は「めぐる・めぐらす」、「瑳」は「あざやかで美しい」の意味をそれぞれ持ちます。匝瑳市は、千葉県北東部に位置し、九十九里浜に面する市ですが、平成18年に、八日市場(ようかいちば)市と匝瑳郡野栄(のさか)町が合併した際、この両市町の旧郡名でもある「匝瑳」をそのまま取って市名が付けられました。その由来には、「美しい麻の取れる土地」などの説があるそうです。
6.「福生市」(東京都)
東京都には23区以外に26の市がありますが、ここからは「福生」を選びました。群馬県で出題した「桐生」のところでも触れましたが、「生」の読みがポイントです「ふくせい」「ふくお」ではありません。
正解は「ふっさ」です。福生市は、東京都西部に位置する市で、昭和45年にそれまで福生町が福生市となったものですが、歴史的に見ると、「(北方からの敵を)防ぐ」という意味の「ふたぐ」が発音変化を重ねて「ふっさ」という地名となり、やがて「福・生」という縁起の良い漢字をあてたと考えられているそうです。
7.「大和市」(神奈川県)
いわゆる「難読」にはあたらないかもしれませんが、「大和」を取り上げました。市名はここだけですが、町・村名などの固有名詞としてはあちこちにあり、「やまと」「だいわ」「おおわ」なのか迷います。
正解はもちろん「やまと」。読みは違っても、古代の日本全体をも指した「大和」から、あるいは「大きく和する(広く仲良く)」というイメージによる命名ものが多いのではないかと思われますが、大和市もそのような経緯があったようです。大和市は、神奈川県のほぼ中央に位置し、同県横浜市や藤沢市などの他、東京都町田市とも接する南北に細長い市です。
以上、「関東」編はいかがでしたか? 各問の解説文作成にあたり、今回も該当各市のHPも閲覧させていただきました。次回は「中部」編をお届けします。
《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「旅に出たくなる地図 日本」(帝国書院)
文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室