【中学受験⑮】学校が1枚岩かを確認するために、先生に話しかけてみよう
皆さん、こんにちは。教育ジャーナリストの鳥居りんこです。「子育てを目一杯、楽しもう!実は楽しい【中学受験】」。
前回は「学校トップの話に注目してみよう!」でした。
どの組織であろうとトップは大事。特に学校のトップが語る「生徒たちのための未来の夢と希望」に注目せよ!との話をしました。
今回は「先生」にフォーカスしてみましょう。学校も集団で動いておりますので、校長先生(あるいは理事長先生)だけではなく、これら偉い先生方を支えている一般の先生方にも目を向けることで、その学校となりがより鮮明に見えてきます。
良い学校というものは教師陣が「一枚岩」で、更にとても「風通しが良い」ものなのです。
この一枚岩かどうかを知る方法があります。
学校で先生と思しき人を見かけたら、思い切って話しかけてみるという方法です。
何とお答えになるかで大体の空気が伝わって来ます。
私個人の昔話で恐縮ですが、今でも大人気校の学校説明会に、中学受験の一保護者として出向いたことがありました。
20年ほど前の私は、皆さんと同じように「中学受験ビギナー母」。正直、右も左も分かりませんでした。
しかし、その学校の校長先生のお話は予想通り素晴らしく、心打たれるものがありまして、満足して帰路につこうと校庭脇の小道を通っていた時のことです。
偶然、その学校の先生と思しきお人とすれ違うことになったのです。大好きな学校ですので、私はどうにかお近づきになりたくて、話しかけようとしました。しかし、初対面、更には通りすがり。何をどう話しかけていいやらも分かりません。でも、早くしないと先生は行ってしまいます。
フト先生の足元が目に入りました。そこには昔懐かし“便所サンダル”。
そこで、私はあろうことか、こんなことを口走ってしまったのです。
「あの~、先生?それは外履きですか?」
「やっちまった・・・」とは思いました。自分でも、話しかけるに相応しいトピックには思えなかったからです。
しかし、足を止められた先生は、この失礼な質問にも、嫌な顔をするどころか、むしろ、楽しそうに、悪戯っ子のごとく、私にこうおっしゃったのです。
「これはね、内外(うちそと)兼用です。でも、お母さん、このことは内緒ですよ!(笑)」
些末なことに囚われず、幹を見て、大らかな教育をすることに定評がある学校です。
校長先生からもそのような主旨のお話を聞いた直後だったので、「なるほどなぁ!」と腑に落ちたという思い出があります。
結局、この先生と、その場で少し立ち話をさせていただく機会になりました。
「今から顧問をしている部活を指導しに行くこと」「子どもたちが可愛くて仕方ないこと」
「この学校で校長を信頼していない教員はいないと思うこと」「何故なら、学校トップ陣が自分たち一般教員を信用して好きにやらせてくれるから」「だからこそ、自分も子どもたちの力を信じて“待てる”こと」などを教えて頂いた思い出があります。
私立中高一貫校は教育理念の元、預かった生徒を責任もって育て上げるという使命感を持たないといけないと思っております。
しかし、これには教職員が一枚岩であることが必要なのです。できれば、それがあるかどうかを事前に体感できるといいですよね。
私のように、突然「便所サンダル」について質問するようなママは極々、少数派でしょうが、中高一貫校の先生方は沢山のゲストに慣れておられるので、どんな質問にも真摯に答えてくださいます。せっかく出向いている“出会いの場”ですから、躊躇せずに、その機会を活かしてみることをお勧めします。
(大丈夫!数多くの先生たちの証言によれば、先生方は沢山のママたちに接していますので、あなたがハリウッドがため息をつくほどの美人でない限り、そのルックスは記憶には残らないそうです。なので身バレの心配はご無用です(笑))
意外と「突飛な質問」から、思わぬ本音が見えてくることも沢山あるってことを併せて、お伝えしておきますね。
もし、あなたが説明会の席上でただ立っているだけに見えるお役目の先生を見つけたら、それはその学校を知るチャンスになり得ます。
その先生が、校長が熱く語ったであろう教育方針と同じことを同じような熱さで語ってくれたとしたら、その学校は間違いないです。
これをめんどうがらずに、いろいろな年齢層の先生で試してみてください。
もし、それが実行できたなら、あなたが校門を出る頃には、その学校があなたのご家庭の教育方針に合っているかどうかという重要な判断を下すことができているでしょう。
次回は8月15日にお目にかかりましょう。
鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト
2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。
その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。
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構成/加藤景子 イラスト/村澤綾香