【柳楽優弥さん×有村架純さん】“戦争を知らない世代”が『映画 太陽の子』に込めた思い
主演・柳楽優弥、有村架純、三浦春馬という豪華共演。“日本の原爆研究”を背景に、時代に翻弄され葛藤しながらも、ひたむきに青春の日々を生きた若者たちの姿を描いた作品『映画 太陽の子』が8月6日(金)に全国公開。若き科学者・石村修を演じた柳楽優弥さんと、修の幼なじみである朝倉世津を演じた有村架純さんは、共にCLASSY.世代。“戦争を知らない世代”であるお二人が、どのように本作に挑んだのか、また作品を通して感じた演者の役割とは—公開を控えたお二人にお話を伺ってきました。
役作りはとにかく“学び”の連続でした
“戦争を知らない世代”であるお二人。ご自身が経験したことのない戦時下を生き、さまざまな葛藤とも戦う役柄とあり、撮影への準備や役作りは大変だったのでは?
柳楽さん(以下、柳楽):研究生の役だったので、役柄が何をやっているかについての勉強会もあったんですけど、実際の自分と程遠い役柄なので…。でも修や研究室の仲間たちが、開発に向けて全力を尽くすときのエネルギーは、役者としての自分と重なる部分がありました。「こんな風に演じよう」と狙って役作りをしたわけではないですが、自然と役柄にリンクしていった感じです。そういう意味では、毎日役作りしていたかもしれません(笑)。
有村さん(以下、有村):戦争を経験された方のインタビュー記事をたくさん読んで、その中で出会った言葉や感覚をいただきながら世津という女性を作り上げていきました。劇中では戦時下の様子がそこまで詳しくは描かれてはいないですが、戦時下という厳しい状況の中で生きているということは忘れないようにしたかったんです。常に世津の葛藤や苦しみを考えながら演じていました。
出演オファーは2018年だったそうですが、話を聞いたときの気持ちと、出演を決めた理由を教えてください。
柳楽:戦時下でも懸命に生きた若者のストーリーを、純粋にいいなと思いました。何より家族の物語を描いている部分が素敵で、心打たれましたね。
有村:脚本を読んで初めて日本が原子の力を利用した新型爆弾の開発を進めていた事実を知り、まずはすごく衝撃を受けました。そして、戦時下で若者たちがどういう気持ちで生きているかを考察するようなお話だったので、読み応えがあって面白いと思いましたね。黒崎監督は以前もご一緒させていただいたことがあり、すごく信頼している監督なんです。監督が構想に10年もの月日を費やされていることにも、心を動かされました。
演技がコントロールできない…撮影現場での緊張と苦悩
特に撮影が大変だったシーンを挙げるとすれば?
柳楽:やっぱり海でのシーンかな。こういう光で撮りたい!と狙っている時間帯があったので、前日からリハーサルを念入りに重ねて。当日は2カットを一発撮りしました。大切なシーンでしたし、失敗できない状況でもあったので、緊張感がありました。
有村:私は山の中でのシーンですかね。山の中とはいっても撮影現場までは車で連れていってもらいましたが(笑)そのシーンは世津の虚しさや悔しさ、恐怖感や焦る気持ちなど、本当に色んな思いが交錯している場面なんです。その感情を抱くにいたった過程が劇中では描かれていないので、どうやって気持ちをそこに持っていくか悩みましたし、世津の感情を自分の中に取り込む作業が難しかったですね。
柳楽:架純ちゃん、車だったんだ!?(笑) 僕は早朝から比叡山を登り始めて、その道中でも撮影を行いながら進んでいったんですけど…とにかくハードで大変でした。演技の内容としても、映画を観る人も僕自身も到底共感できないような言動を演じる必要があったので、演技をうまくコントロールできないと感じる場面もありましたね。
“持つべき感情を伝える”ことが映画の役割
この作品への出演を経て、戦争に対する意識や価値観に変化はありましたか?
柳楽:戦争を実体験していない僕たちの世代にとって、実際に経験された方から当時のことを語り継いでもらうことも大事ですが、映画という作品を通して戦争の恐ろしさを感じてもらうこともとても大切だと感じました。単純に「戦争って恐い」という感情を抱くことは、必要なリアクションだと思うんです。映画って、そういう“持つべき感情”を伝える役割もありますよね。
有村:戦争の時代を生きた人たちは、心にも体にも本当に大きな傷を負われていたはずだし、経験された方にとっては昨日のことのように思い出される出来事だと思うんです。それほどのことが、日本の歴史の中であったという事実をしっかりと残さないといけないと思っています。そして自分たちがどう行動し発言をしていくかが、日本の未来を担う人たちに影響をするとも思っています。今回すごく重要な役割を担わせていただいたことを、しっかりと受け止めていきたいですね。
『映画 太陽の子』2021年8月6日(金)より全国劇場公開中
かつて存在した“日本の原爆研究”。その事実を背景に、3人の若者の決意と揺れる想いを描いた300日の青春グラフィティ。構想10年−−。心震わす感動の青春群像物語が、遂に公開。
公式サイト:
https://taiyounoko-movie.jp
フォトギャラリー(全画像を見る 4枚)
<有村さん衣装>ドレス(Y’s/ワイズプレスルーム tel.03-5463-1540)リング(e.m./e.m.表参道店 tel.03-5785-0760)
撮影/イマキイレカオリ ヘアメーク/佐鳥麻子(柳楽さん)尾曲いずみ〈STORM〉(有村さん) スタイリング/長瀬哲朗〈UM〉(柳楽さん)瀬川結美子(有村さん) 取材・文/伊藤綾香 編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)