2021年08月31日 20:30
/ 最終更新日 : 2021年08月31日 20:30
CLASSY.
タスク管理のプロが教える「要領がよくない人の思考」改善方法
いつも何かに追われて自分の時間がない。やらなきゃいけないことで頭がいっぱいで気持ちが休まらない…。もっと要領よく物事を進められたらいいのに!という人は頭の中の「とっちらかり」が原因 かもしれません。仕事もプライベートももっと余裕をもって進行できるようになる頭の中の整理術について考えました。
「とっちらかってる人」あるある もしかして思い当たりますか?… 仕事にプライベートに、やりたいことも、しなきゃいけないこともたくさんあるからこそ気を付けたいのが「とっちらかり」。あなたの毎日、「とっちらかり」に足を引っ張られていませんか?
1.作業の途中で別のことに手を出したりポチ買いしがち
次から次へと頭に思い浮かぶままに行動してしまう、頭の中が「とっちらかっている」タイプ。自分のやりたいことと、今するべきことが区別できておらず、優先順位を度外視して行動してしまうことが問題です。それは本当に今、最優先でやるべきこと?
2.苦手なことは後回し、タスクがどんどんたまっていく
期限は決まっているけれど、遅れてもそこまで困らないものはついつい先送りしてしまい、結局放置してしまっているタイプ。目の前にある緊急性の高いタスクをこなすことに追われ、後回しになったままたまっていく大量の手続き…それ、一体いつやるの?
3.時間の読みが甘いので365日、常にバタバタしている
家を出る時間の設定があいまいで、出かける直前に「乗換案内」を調べたら超ギリギリ。家を出たら忘れ物が!雨が降っているから服を着替えなきゃ!と家から出たり戻ったり何度も往復して今日も遅刻しそう‼…もはや目的地に着くだけで疲れていませんか?
4.お試しのつもりで契約したサブスクがどんどん増えている
ノリでお試しスタートしたまま課金され続けているサブスクのサービスや、解約手続きを忘れてまた届いてしまった定期購入商品。気づけばかなりの金額になっているカード明細を見て「またやってしまった」と落ち込む。それ、見直しするなら今でしょ!
「とっちらかる」原因は?前田裕二さんが分析&解説! 経営者としてだけでなく、ビジネス書『メモの魔力』の著者としても注目される前田裕二さん。実は大学生の頃からTO DOアプリを使いこなし「タスク管理が趣味のように好き」というほど追究してきたという、タスク管理の達人。「私たちはどうして“とっちらかって”しまうのか」を相談してみました。
「とっちらかり」には「日常」と「思考」の2種類がある
1. 忘れ物や遅刻が多い…「日常」のとっちらかり
財布や名刺を忘れたりと「日常」がとっちらかっている人 がいます。もちろんこれは直せるなら直したほうが絶対に良いわけですが、命取りにはなるほどではない、と僕は思っています。たとえば初めてお会いする方がもし名刺を忘れてしまったら、名刺の連絡先に後でメールをいただけたら成立するし、名刺を本当に忘れたくないならカレンダーに記入したり、玄関のドア前など絶対に通る導線上に置いておけば忘れない。このタイプの解決は比較的簡単です。優秀な経営者やクリエイターの中にも日常はかなりとっちらかっている人が結構いますが(笑)、思考はとても整理されています。それは自分の限りあるエネルギーを日常のことより思考の整理に注ぐことをあえて選んでいるから、なのでしょう。
2. その報告で何を伝えたいの?…「思考」のとっちらかり
\問題なのはこっち!!/
一方で、致命傷になるのは「思考」側。つまり、〝頭の中がとっちらかっている〟という状況です。思考が整理できていないというのはどういう状況かというと、タスクの優先順位がわかっていなかったり、説明が上手でなかったりします。例えば当社のメンバーが僕に話しにきた時に、それは〝報告〟なのか、〝決裁の承認が欲しい〟のか、〝アドバイスを求めている〟のか、何のために話しているのか本人がわかっていない場合があったりもします。それを繰り返すと、信頼も薄まっていくかもしれません。会議のスケジュールを組む時も、目的が明確でない〝とりあえずやる会議〟は避けるようにしていますが、これも思考がとっちらかっていると起こる現象です。
なぜ「思考がとっちらかる」のか、理由はこの3つ!
理由1「ボール=タスクを持ってしまう」→どんどんたまって収拾がつかない
タスクをボールにたとえるとしたら、〝とっちらからない〟ためにはまず何よりも、「ボールを持たない」という意識が最重要です。自分の中でタスクが積み重なってしまうと抱えきれなくなってしまい、後で大変なことになります。また、自分がボールを持っている自覚がなく持ち続けたままだと、それが仕事だった場合は自分がボールを止めてしまうことでプロジェクトがストップしてしまい、周りの人に迷惑がかかることにもなります。
理由2 そもそも「何のためにやってるのか」目的を忘れる・見失う・元々わかっていない
あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと〝とっちらかって〟しまう人は、そのタスクがそもそも何に繋がることなのか、という「大目的」が理解できていないというケースが多いです。極端な例を出すならば、「経営会議に向けた資料作り」「夕食の準備」「髪を切りたい」など、タスクを思いついた順に同じエネルギーでこなそうとするので、本当に大切なことが期限内に終わらず、〝とっちらかる〟結果に。「資料は何のために作るのか?→明日会議があるから」「髪を切るのは何のため?→同窓会があるから」と、タスクのそもそもの目的をはっきりさせることで優先順位がクリアになり、まずは何をするべきか、どれにエネルギーを注ぐべきかが見えてきます。
理由3 虫の目線になってしまって「目の前のことしか見えていない」
本当はやりたいことの中でも優先順位があるはずなのに、とりあえず〝目の前にあるやりたいこと〟に片っ端から手をつけているだけの人は、目の前の土や石しか見えていない〝虫の目線〟になっている状態と言えます。今向き合っている目の前のことは、本当に自分が一番やりたいこと、あるいは、自分が一番パワーを割くべきことでしょうか?限られた時間とエネルギーを自分が一番やりたいことに使うためには、俯瞰的な〝鳥の目線〟で自分のやりたいことの全体像を把握して、優先順位を見直す必要があります。
前田さんに教えてもらいました!これが「とっちらからなくなる方法」 とっちらかっている頭の中は、どうしたらスッキリ整理される?日頃から超過密スケジュールの中で膨大なタスクをさばいている前田さんに“とっちらかり”体質 を抜け出したいCLASSY.世代に 向けてアドバイスをいただきました。
まずはコレ!とにかく「ボールを持ち続けない」ようにしよう
ボール(タスク)はすぐ打ち返すかパスしよう
タスクは〝緊急度〟と〝重要度〟で振り分けるとよく言われますが、そもそも緊急か重要かを考えなくてもいいレベルのタスクも日常にはあふれています。僕はそういったタスクは即レスで手元から離し、極力ボールを持たないようにしています。以前から、周りの経営者やクリエイターの人たちは本当に圧倒的即レスの方が多く、何でなのかな?と思っていたのですが、ある時気づいたんです。そうしないと回らなくなるから、です(笑)。自分も朝から夜までミーティングが入るようになった頃、即レスして、すぐどこかにボールを渡さないと自分の手元にボールがたまりすぎて、大変なことになる。自分自身、このとっちらかりによって、多くの問題やトラブルも経験しました。身をもって痛い目を見てからは、即断、即レ スが原則となりました。
タスクや懸案事項を「頭の中から外に出そう」
とは言え、すぐにはボールを打ち返せない、という難易度が高いタスクも存在します。その場合、〝タスクを覚えておくため〟だけに頭のメモリーを使うのは生産的とは言えません。ボールはすぐ〝かご〟に入れ整理する。もっとシンプルに言うと、とにかく、一旦〝頭の中から出す〟ようにします。ノートなどにメモをしてもいいですし、僕の場合はTO DOリストアプリなどデジタルツールを活用して、即座にタスクを分類します。その時に超重要なのがTO DOのリマインドを〝デフォルトで自分が確実に処理できる時間〟に設定しておくこと。たとえば僕は、その日のタスクが毎日23時にリマインドされるよう設定しています。自分の生活リズム上、この時間は大体自宅で落ち着いてPCと向き合っていることが多いので。
自分にとって大切なもの、優先すべきものをはっきりさせよう
自分のやりたいことを明確にするために「俯瞰する目」を持とう
生きていると毎日ものすごい量のタスクがあり、その大量のタスク=ボールをかごに振り分けないと、すぐに“とっちらかって„しまいます。タスクの優先順位を緊急度と重要度で振り分ける時、緊急度は時間軸ですぐに客観的判断が可能です。明日までにやらねばならない課題は、明日までにやれねばならない。というシンプルな話だと思います。しかし、問題は重要度のほう。重要かどうか、というのは主観であり、物差しがないと判断ができません。そもそもこのタスクは何のためなのかという大目的、そして“どれくらいやりたいか„という「感情の強さ」や、“どれくらいの確率で実現・達成できそうか„という「達成可能性」で優先度をはかることで、自分にとって大切なものが見えてくるはずです。
自分にとって大切なものの優先順位を決めよう
ここまでお伝えしたように、日々のタスクを振り分ける時に明確な判断基準がないとその都度、優先順位を決めるのも大変です。「達成可能性」のほうは慣れるまで判断が難しいので、まずは、「感情の強さ」側の物差しを決めるのが良いと思います。つまり、最初の準備としてたとえば、“家族„“友だち„“仕事„“健康„など自分にとって4つくらい大事なものを出してみて、今のライフステージを鑑みてなにが優先するのか、順番をシビアに決める。たとえば新卒時代に僕は〝仕事〟が圧倒的に一位でしたが、今は〝健康〟が最上位に来ます。そういった大枠の基準があると、タスクの優先順位を決める時に迷いにくくなります。例えば〝やせたい〟と思った時。その目的が健康のためで、大項目の中で健康が最重要という人であれば、〝やせる〟というタスクの優先度は高くなりますよね。でも、すでに健康的であり、何か他の理由のためにやせたい、という事であれば、そこに割くエネルギーはまた別の大項目、たとえば〝仕事〟などに一旦割いたほうが良さそうです。アプリを使うなら重要度別にフォルダに分けてもいいですし、ノートに書くならタスクを書き出す欄と、その右側に重要度を書く欄を設ければOKです。重要度は3段階くらいに分けて書き、重要度の高いものから処理していく、というだけのシンプルなやり方で良いと思います。
「大項目」、あるいはその中の「中項目」もそうですが、自分にとって大事なものの優先順位は人生のタイミングによって変わることも多いです。よって、一度決めた後も定期的に見直すようにしましょう。たとえば子どもが生まれたら今は仕事よりも家族が大事、という時期もあると思います。価値観が変わっているのに判断基準が昔のままでは、どこかで歪み生じてしまいます。僕の場合は最低でも月に1回は判断基準のチューニング、アップデートをしています。みなさんも、たとえば手帳の1ページ目などいつも目にするところにこの「大事にしたいこと」の優先順位を書いておき、それを日々見つめて、違和感を感じ始めたら随時、優先順位を見直してみるなどしてみてください。
前田さんのアドバイスを編集部の「とっちらかり系」スタッフが実践! 忘れ物はしょっちゅうで、いつもギリギリ体質…という本誌スタッフ2人。この〝とっちらかり〟をなんとかしたい!ということで、前田さんのアドバイスを早速実践。日々のタスクに振り回されて疲弊しがちな2人に変化が⁉
編集J子
日々“とっちらかり„ながらも今まで何とか切り抜けてこられたため、なかなか“とっちらかり„体質を変えられない最年少編集。
【Before】
話したいことがうまく整理できず上司の前で一人芝居…!
タスクが頭の中で“とっちらかって„ しまい、上司と話す時も内容が整理できず“あの件なんですけど„ と話しかけるも“あ、違った„“ちょっと待ってください„ と結局自分のデスクに引き返すという一人芝居状態。常に“タスクを保留している„ というプレッシャーが頭の中を占領し、大事な仕事を忘れて慌てる悪夢にうなされることも度々でした。
【After】
優先順位がクリアになり漠然としたストレスから解放された!
頭の中のタスクを“外部化„ するために手帳サイズのノートを買って書き出してみると、今やらなくてもいいものと、すぐやるべきものがあることがわかりました。“今何をすべきか„ という優先順位がクリアになったら気が楽になり、今まではそれらが頭の中に混在していたことで、しなくてもいい心配で自分を追い詰めていたのだと実感しました。
ライターM子
日常のとっちらかり系代表。ペンがない、名刺がない、Suicaで目的地まで着いたけれど財布がないということは日常茶飯事。
【Before】
山積みタスクと時間に追われ数々のとっちらかり事件を量産
山積みのタスクで常に時間の余裕がなく、寝る時間を削ることになったり、食事をグラノーラバーで済ませたり、自分の時間にしわ寄せがきていました。先日も、書いたはずの原稿が行方不明になり、“戻る„ ボタンを100回くらい押して“切り取り„ したまま“貼り付け„ していなかった原稿を救出、というとっちらかり事件をやらかしたばかり。
【After】
TO DOリストで時間の余裕が生まれ1時間前に到着して優雅にランチ♡
“ボールを持たない„ ことを意識してなるべく即レスで対応。さらに“ボールを頭の中に入れたままだと、次のボールがきた時に頭の中から消えてしまう„という問題に気づき“ボールがきたら即TO DOリストアプリに投入„ を実践。気づいたら余裕が出てきて、予定の1時間前に家を出ておいしいランチを楽しんだ後に仕事に行けるまでに成長!
お話を聞いたのは… 前田裕二さん・SHOWROOM㈱ 代表取締役社長
ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」社長として、また’19年に最も読まれたビジネス書『メモの魔力』の著者としてもおなじみ。オンラインサロン「メモ魔塾」やテレビ出演などさまざまなメディアで情報を発信、幅広い層から支持を集めている。
イラスト/香川尚子 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc
リンク元記事:https://classy-online.jp/lifestyle/169042/