【Flower cycle Art】フラワーサイクリスト・河島春佳さんの花(はな)しvol.2
花が一輪あるだけで、空間は華やぎ、心癒され優しい気持ちになれるもの……。 わかってはいても、すぐ枯れてしまうなどの理由から、買うことを躊躇してしまう方もいらっしゃるでしょう。 だけど、生花ではもちろんドライフラワーとしても、長く花を楽しめるなら? フラワーサイクリスト・河島春佳さんが、新しい“花のある暮らし”をレクチャーします。
毎月第3週目は花にまつわる話、題して「フラワーサイクリスト・河島春佳さんの花(はな)し」をご紹介します。今月のテーマは「規格外の花」です。
茎が曲がった花や、頭がちょっと大きい花……。 野菜にも規格外品があるように、花にも流通が難しい「規格外生花」があります。 「完成度の高いものが良いとされる文化があり、農家の方は育てた花を作品のように市場に卸します」(河島さん)。 規格内の花と規格外の花――花が生育した場所によって太陽の当たり具合が少し違った程度で、かけられた手間は同じ。河島さんが代表を務めるRINでは規格外の花を買い取り、ブーケにするなど、普通に仕入れた花と同等に扱います。 「いびつな形が味となって、自然とデザイン性が生まれます。花瓶に一輪花を挿したとき、茎がピンとしているよりも、曲がっているくらいの方が面白いですよね」。
日本では、一般の方が規格外の花を購入しようと思ってもなかなか出合えないのが現状ですが、海外ではコンビニやスーパーのレジ横にポンと置かれていて安価で買えることも。 「日本人が好む美は“同じ長さや同じ太さ”といった統一感であるのに対して、ヨーロッパの方は“ちょっと違っているのがまたいい”というように個性に美しさを感じます。生きているものが全部同じ形のほうが違和感を覚えるという感覚も手伝って、普通に売られているのでしょう。 もうひとつの違いは、海外で花は生活必需品であるのに対して、日本はどこか贅沢品という意識があること。例えばお寿司屋さんにも目の前で握ってくれる高級寿司店や、ファミリーで楽しめるような回転寿司店などいろいろなお店があるように、花ももっと気軽に楽しめるよう、さまざまな店や販売の形態があったらいいのになって思うんです」。
2022年世界幸福度ランキングでは、北欧5か国がトップ10入りしているのですが、不思議と幸福度ランキングが高い国ほど花を飾る習慣が根付いていると言われています。 ほかの先進国と比べて日常的に花を飾ることが少ない日本は54位。 花がすべてではありませんが、花を生活に取り入れることで豊かな暮らしに繋がり、花の需要が増えていけば、海外のようにもっと気軽に花を手に取れる日が来るかもしれません。
【バックナンバーはこちら】
6月の花 紫陽花(アジサイ)①生花で楽しむ
6月の花 紫陽花(アジサイ)②ドライフラワーで楽しむ
フラワーサイクリスト・河島春佳さんの花(はな)しvol.1
7月の花 バラ① 生花で楽しむ
7月の花 バラ②ドライフラワーで楽しむ
河島春佳さん フラワーサイクリスト
株式会社RIN代表。長野県生まれ。生花店の短期アルバイト時に、廃棄される花の多さにショックを受けたことから、フラワーサイクリストとしての活動を始める。
2022年6月〜オンラインスクールがリニューアル。新メンバー募集中。
Instagram:@haruka.kawashima
撮影/山田英博 取材・文/篠原亜由美
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