「ギョギョギョッ!」でおなじみのさかなクンの自叙伝を、『南極料理人』『横道世之介』の沖田修一監督がフィクションを交えながら映画化。のんを主演に迎え、主人公の「ミー坊」が周囲を巻き込みながら好きなこと・好きなものを突き詰めた末に「さかなクン」になるまでの半生を描きました。井川遥演じる、主人公の母親の目線がとにかくあったかくて、迷いながら子育てをしているママ達にぜひ観てほしい、めちゃくちゃ素敵な作品です!
『さかなのこ』あらすじ紹介
<STORY>
魚に夢中で好きなものの絵を描くことが大好きな8歳の小学生、ミー坊(西村瑞季)。勉強は苦手だけど、お母さん(井川遥)は「勉強しなさい」とは一言も言わずにミー坊を優しく見守り、リクエストに応えて魚料理をつくり続けている。
高校生になってもミー坊(のん)のお魚熱は増すばかり。そんなミー坊に何かと絡む総長(磯村勇斗)ら学校の不良たちだが、ミー坊はまったく怖がらない。さらに他校のワル、狂犬・ヒヨ(柳楽優弥)やカミソリ籾こと籾山(岡山天音)らも、お魚中心のミー坊ワールドに巻き込んでいく。
大人になったミー坊は大好きな魚に関わる仕事を求めて色んな場所で働くが、なかなかうまくいかない。そんなある日、幼なじみのモモコ(夏帆)と再会。その後もたくさんの出会いに導かれ、やがて自分の進むべき道を見つける。
【見どころ①】さかなクンそのもの!に見えるのんさんの透明感
「男か女かは、どっちでもいい」。映画冒頭に出てくるこの言葉は、撮影現場でも沖田監督が掲げていた言葉。さかなクンをのんさんが演じることで、男も女も関係ない、ひとりの人間としての「ミー坊」の成長をピュアな気持ちで見守ることができ、グッと物語に引き込まれます。
劇中でのんさんは、魚の絵を何枚も描いたり、潜水、釣り、魚をさばく、魚の歯を磨く(!)と、さまざまな「お魚関連」のシーンにチャレンジ。海に飛び込み、魚をきれいにさばく手元もすべて吹き替えナシでチャレンジしています。
そんなのんさんの姿を画面で観ているうちに、誰もが自分の「好き」を貫こうとするミー坊を心から応援したくなるはず! また、ミー坊の幼少期も丁寧に描かれているから、2時間にギュギュっと凝縮した朝ドラを観ているような満足感もあります。
【見どころ②】どんな時も子どもを信じて見守る母がすごい!
井川遥さん演じるミー坊のお母さんは、ミー坊の最大の理解者。勉強が苦手で、好きなことにはとことん熱中してしまうミー坊の姿にお兄ちゃんはあきれ、お父さん(三宅弘城)は行く末を心配しますが、お母さんだけはとことんやりなさい、というおおらかな態度で接し続けます。のんさんと井川遥さん、二人の空気感はとっても素敵。
でも、それって簡単なことじゃないですよね。将来は心配だし、世間の目だって気になるし。だから作品の中では、好きなものを突き詰めるための本人や周囲の大変さ・
【見どころ③】同級生や町の不良たちとの交流にほっこり
沖田監督が、さかなクンの原作エピソードからぜひ取り入れたかったというのが、地元の不良との交流シーン。『今日から俺は!!』でのヤンキー役の印象も強い磯村勇斗さんと柳楽優弥さんが、今作ではちょっぴりマイルドなヤンキー姿で見参! ミー坊との、ちょっととぼけた交流シーンに笑いが止まりません。
狂犬・ヒヨ役の柳楽優弥さん
総長役の磯村勇斗さんとその子分・田村役の前原滉さん
カミソリの籾こと籾山役の岡山天音さん
【ここも注目!】さかなクン本人も登場!
映画には、本家・さかなクン本人も主人公が幼少期に出会う重要な人物として登場します。ミー坊や観客の心に、楽しさと切なさ、そして強烈な印象を残す役柄です。さかなクンの演技にもご注目を!
作品情報
『さかなのこ』 2022年9 月 1 日(木)より TOHO シネマズ 日比谷 ほかにて全国公開
- 出演:のん、柳楽優弥、夏帆、磯村勇斗、岡山天音、西村瑞季、宇野祥平、前原 滉、鈴木 拓、島崎遥香、賀屋壮也(かが屋)、朝倉あき、長谷川 忍(シソンヌ)、豊原功補、さかなクン、三宅弘城、井川 遥
- 監督・脚本:沖田修一 脚本:前田司郎
- 原作:さかなクン「さかなクンの一魚一会 〜まいにち夢中な人生!〜」(講談社刊)
- 音楽:パスカルズ
- 主題歌:CHAI「夢のはなし」(Sony Music Labels)
- 製作:『さかなのこ』製作委員会
- 制作・配給:東京テアトル
(C)2022「さかなのこ」製作委員会
公式サイト:http://sakananoko.jp/
取材・文/富田夏子