【漢字】「鼎談=けんだん」は間違い!実は読めない漢字3選|CLASSY.
私たちが普段使っている常用漢字2,136字は、「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すもの」であり、表に掲げられた漢字だけを用いて文章を書かなければならないという制限的なものではありません。したがって、身の回りの印刷物などの文書、はたまた、大学入試の漢字の読みなどにおいても、常用漢字に含まれない漢字を使った言葉を目にすることは、けっして少なくありません。
その中には、よく見かけるのだけれど、実は「自信を持って読めない」「何とか読めるけれど意味がわからない」という言葉は、恐らく誰にでもあるものです。今回は常用漢字外の漢字を含む熟語を紹介します。
1.「鼎談」
最初は、「鼎談」です。「鼎」が常用漢字外です。さて、何と読むでしょうか?
正解は、「鼎談(テイダン)」でした。「鼎」は訓読みで「かなえ」と読み、「古代中国で食べ物を煮るのに用いた青銅製の器」のことです。音読みでは「テイ」と読みますが、その多くは三本脚であることから、「三人の人が向かい合って話をすること」、つまり「三者会談」のことを「鼎談(テイダン)」と言います。
なお、この「鼎(かなえ)」は単なる調理器具だけに意味合いではなく、「王位・権威の象徴」でもあります。したがって、「鼎(かなえ)の軽重(ケイチョウ)を問う」という故事成語がありますが、これは「権威者の実力を疑うこと。また、統治者を軽んじ、その地位や権力を奪おうとすること」という意味になります。
2.「砂嘴」
次は、「砂嘴」です。「嘴」が常用漢字外です。さて、何と読むでしょうか?
正解は、「砂嘴(サシ)」でした。「嘴」は訓読みで「くちばし」と読みます。そう、鳥類の口である「くちばし」のことです(「喙」とも書きます)。音読みでは「シ」と読みますが、この字を使った「砂嘴」とは、「海の沿岸流によって運ばれた砂などが入り江や湾口に堆積し、岸からくちばしのように突き出たもの」を言います。関東の方なら、東京湾の「富津岬(千葉県)」と言えば、わかるでしょうか。
ちなみに、似たような「砂州(サス)」は、「砂嘴(サシ)」が発達して、対岸まで達したものを言います。京都の「天の橋立」はこれです。なお、「嘴(くちばし)」を使った慣用句と言えば、「嘴を容(い)れる」「嘴が黄色い」がおなじみでしょう。
3.「瑕疵」
最後は、「瑕疵」です。こちらは「瑕」「疵」も常用漢字外ですので難問です。さて、何と読むでしょうか?
正解は、「瑕疵(カシ)」でした。「瑕」「疵」ともに、訓読みで「きず」と読みますので、それを二つ重ねた「瑕疵」は、そのまま「きず」を意味する熟語ですが、特に、「法律上、何らかの欠点・欠陥があること」の意味で使いますので、ビジネス文書などで目にすることも多いでしょう。
ちなみに、「それさえなければ完全なのに、わずかながら欠点があること」という意味の慣用句と言えば、何ですか?そう、「たまにきず」ですね。これは「玉に瑕」と書きます。つまり、「宝石についた、わずかなきず」のことなのです。
いかがでしたか? また、いつか続編をと考えております。では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)