夜中に突然おなかが痛くなり、目が覚めたことはありませんか。急にそのような痛みに襲われると、不安になりなかなか眠れずつらいですよね。
じつは、このような夜中の腹痛の原因には、「自律神経の乱れによるもの」と、感染などの「病気によるもの」が考えられます。前者であれば、セルフケアで腹痛をラクにすることも可能です。
そこで今回は、夜中の腹痛の原因や対処法について、詳しくご紹介します。夜中の腹痛の経験がない人も、いざ起こったときのために対処法を頭に入れておくと安心です!
【夜中の腹痛】考えられる原因とは
夜中の腹痛は、冷えやストレスなどによる「自律神経の乱れ」が原因で起こるものと、感染や炎症などの「病気」が原因で起こるものが考えられます。
1.冷えやストレス
冷えやストレスなどの生活習慣が、腹痛の原因になっている場合があります。冷えやストレスで自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが崩れると、下痢や便秘につながります。
交感神経の働きの方が強くなると、便秘がちになり、反対に副交感神経の働きの方が強くなると、下痢がちになるのです。おなかが冷えると交感神経の働きが弱くなり、下痢につながります。
また、脳と腸は自律神経でつながっていて、お互いに影響を及ぼしあっています。脳がストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れて、下痢や便秘などの腸の異常が起こりやすくなります。
「過敏性腸症候群」による腹痛や下痢、便秘も、ストレスなどで自律神経のバランスが崩れることで生じると考えられています。
2.食中毒による急性胃腸炎
食中毒による急性胃腸炎でも、腹痛や下痢が起こります。その原因には、主に細菌やウイルスなどが挙げられます。細菌性の食中毒は夏に多く、サルモネラ菌(卵、鶏肉など)、カンピロバクター菌(豚肉、鶏肉)、病原性大腸菌(牛肉など)などが原因となります。
一方、ウイルス性の食中毒は冬に流行しやすく、これからの季節で注意が必要です。とくにノロウイルスによる食中毒は11~3月に多くみられます。
このような食中毒を予防するためにも、手洗いや調理器具の消毒をこまめに行いましょう。
3.その他病気の可能性
次のような病気でも、夜中に腹痛が起こることがあります。
<腹痛の原因となる病気とその特徴>
- 胃潰瘍:食後のみぞおちの痛み
- 十二指腸潰瘍:空腹時のみぞおちの痛み
- 潰瘍性大腸炎:血便、腹痛
- 膵炎(すいえん:膵臓の炎症):みぞおちからおへそあたりの激し
- 腹痛
- 尿路結石(尿管に結石がある場合):わき腹や背中の痛み
- がん(大腸、小腸、膵臓など):がんが進行してから腹痛があらわれる
- 胆のう炎:右わき腹からみぞおちにかけての腹痛
このような腹痛の症状がみられたら、我慢せずに早めに受診しましょう。
冷えやストレスによる夜中の腹痛対処法
我慢できないような腹痛の場合は、夜間であっても早めに救急診療や夜間診療を受けましょう。一方で、我慢できる程度の腹痛であれば、とりあえず次のような対処法で乗り切るのもひとつの手です。
とくに、冷えやストレスなどの生活習慣からくる腹痛の場合は、次のような対処法を試してみるといいでしょう。それでも腹痛を繰り返したり、ひどくなったりする場合は、早めに受診しましょう。
1.ラクな姿勢を見つける
からだの向きを変えると、腹痛がやわらぐことがあります。からだの向きを変えながら、一番ラクな姿勢をとりましょう。
ひざを曲げて前かがみになると、おなかの緊張がとれて腹痛が緩和されやすくなります。
2.おなかを温める
冷えによる腹痛には、おなかを温めることが効果的です。冷たい飲食物を控えて、入浴や腹巻、カイロ、ブランケットなどでおなかをあたためましょう。
3.ツボを押してみる
次のようなツボを押してみることも、冷えやストレスによる腹痛に効果的です。気持ちいいと感じる程度に、息を吐きながら数回ゆっくりと押しましょう。
温溜(おんる):手首と肘の中間あたりで、親指側にあるツボ
内関(ないかん):手首の内側のシワから指3本分下にあるツボ
慢性的な夜中の腹痛は漢方薬で対処できるかも
胃腸に潰瘍などの異常がみられず、特別な病気ではないのに慢性的な腹痛がある場合は、漢方治療がおすすめです。
病名がつかない場合の腹痛の原因としては、冷えやストレス、自律神経の乱れなどが考えられます。
これらが原因の腹痛には、「胃腸の機能を回復させる」「自律神経を整え、免疫力を高める」「神経不安を改善する」「からだの熱を作る機能を回復させたり、からだを温める」などの作用がある漢方薬から選びます。
漢方薬は、自然由来の成分である生薬から作られているため、一般的に副作用が少ないとされており、ナチュラルに不調の改善を目指せます。実際の医療現場でも、過敏性腸症候群などの腹痛治療に漢方薬が使われています。
慢性的な腹痛におすすめの漢方薬
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
人参湯(にんじんとう)
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
ストレスによるみぞおちの痛みや、おなかがゴロゴロ鳴る下痢などが気になる人に
漢方薬には数多くの種類があり、自分に合ったものを飲まなければ十分な効果を発揮できないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が、自分の症状や体質に合っているのかを見極めるためには、漢方に精通した薬剤師の力を借りるのがおすすめです。最近では、オンライン上で漢方の相談ができるサービスもでてきています。
漢方に詳しい薬剤師がAIを活用し、個人に効く漢方薬を見極めてくれ、お手頃価格で自宅まで郵送してくれる「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
夜中の腹痛を恐れず快適な睡眠を
夜中の腹痛は、不安や睡眠不足にもつながるつらい症状です。夜中の腹痛をやわらげるためには、からだの向きを変えてラクな姿勢をとったり、おなかを温めたり、ツボを押してみることがおすすめです。
慢性的な夜中の腹痛にお悩みの人は、専門家に相談して漢方薬を取り入れ、体質からの改善を目指すのもいいでしょう。安心してぐっすり眠れるように、夜中の腹痛に上手に対処していきましょう。
<この記事を書いた人>
薬剤師 竹田由子
大学院で臨床薬学を専攻、病院で10年勤務、結婚後は調剤薬局勤務、ライターとしての活動も始める。腎機能低下を機に、月経痛への鎮痛剤使用量を漢方で減量成功した経験がある。元漢方・生薬認定薬剤師で薬膳漢方マイスター。「日常の不調はまず漢方」をモットーに生活を送る。病院時代の長いDI経験を生かし、薬の面から分かり易くサポートしたいと考えている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)