青山祐子さん「怒り、不満、恐怖 … ポジティブ思考サイクルへのせるには?」
サッカーW杯で日本代表が優勝候補ドイツ相手に見せた素晴らしい逆転劇に、私も子供達も大興奮。
学校や子供のイベントへ行くと、ヨーロッパ、オーストラリア、アジア各国の人たちから「日本は素晴らしい!」と声をかけられます。
ドイツの猛攻を凌いだゴールキーパー権田選手の気迫。
堂安選手の同点、浅野選手の勝ち越しゴールは鮮烈で、長年課題とされてきた日本の決定力がレベルアップしていると感じました。
それだけに次のコスタリカ戦の敗戦が悔やまれます。初戦で見せた日本の躍動感が失われ、選手たちが連動して攻め込む姿があまり見られないまま負けてしまいました。
決勝トーナメント進出をかけるスペイン戦で日本が勝つ可能性はわずか14%とアメリカのデータ会社は予想しています。
データよりもミラクルを信じて、もう一度ドーハで輝く日本選手の活躍が見たいです。
さて、現実の捉え方次第で、マイナス思考をポジティブ思考へ切り替えて成功へ繋げる方法を以前この連載でご紹介しました。
(2022.2連載 青山祐子さん「負けない強さを育てるには?」)
では、現実に直面して湧き起こる様々な感情をどうプラス思考へ転換すればいいのでしょうか。
試合で失った自信は試合でしか取り戻せないと語る選手がいます。プレゼン発表や、私の場合、ニュースでの日々の葛藤なども同じように感じます。自分にとって大きな舞台であればあるほど、そこでの失敗はトラウマのように心の中に刻まれ、次の挑戦が怖くなってしまいます。しかし、試行錯誤しながら小さな成功を積み上げることで少しずつ自信を取り戻し、前に向って挑戦する勇気が湧いてきます。
10歳の長男は、テニスの試合を通して気持ちのコントロールの仕方を学んでいます。
数ヶ月前、自己採点方式の試合で相手が大会係員に何度もクレームし、息子は大事なポイントを再三奪われリプレーとなり、相手の酷いジェスチャーにも腹を立て、冷静さを失って逆転負けしてしまったことがありました。
試合後は激しく感情をぶちまけ、怒りがなかなか収まりません。
夜寝る前に、ようやく少し落ち着いた息子と話ができました。
「怒る」のはしょうがない。それは人間の自然な感情だから。ママもすごく腹立った。
人は怒ったり、悔しがったり、悲しんだり、喜んだりする。
でも、その怒りをプレーに持ち込んだり、何かにあたったりするのはどう?
一瞬思いっきりカッと怒ってもいい。でもその後は深呼吸して、少し歩いて、気持ちを冷静に切り替えて試合に戻ろう。
クールにプレーしたほうが自分のいいテニスができるでしょ。
実は、子供が幼い頃、私は「怒る」のは悪だと思い、子育てでイライラする自分を責めていたことがありました。
しかし、怒るのは人間として自然なこと。心が乱れた時はタイムアウトして、気持ちを落ち着かせればいいという言葉に救われたことがありました。
大事なのは自分の感情をどうコントロールして行動するかです。
テニスの試合中は、コーチも親も選手に声をかけることが禁止されています。
10歳の長男は一人で自分の心の葛藤とも戦わなければなりません。
先日、息子は偶然にも同じ相手と再び対戦。前回の反省から意識的に大きな声でスコアを確認しながら試合を進めます。それでもラインギリギリの打球の判定を巡って、相手が文句を言い試合が中断。しかし、息子はどんな判定になっても次の一球に集中し、冷静にポイントを重ねリベンジに成功したのです。
息子は、試合の流れの重要なポイントを失ったとしても、試合の全得点の一つにすぎないと考え、失ったポイントに激しく落胆せず、次のポイントに集中できたと語ります。また、酷いジェスチャーには、そんな卑怯なことをしないと勝てないんだなと捉え、挑発に乗らなかったそうです。
同じ相手との勝負で取り戻した自信が、晴れ晴れとした笑顔に輝いて見えました。
学校のハイキングにて
勝負の世界は厳しく、優勝者以外は皆どこかで負けを経験します。
ベスト32で2歳年上の選手に負けた息子が語ったのは、
The most important thing I learnt was “When you lose, it’s not that you played bad, but it’s that you have something to work on.”
「負けた理由は自分のプレイが悪いわけではなく、何か学ぶことがそこにあるからだ」と、敗戦から自分に必要なことを見つけ、さらなる高みを目指しています。
試合を重ねるたびに心技体がたくましく成長する息子に感心します。
常に心穏やかに平常心でありたいと思っても、なかなか修行僧のようにはうまくいきません。
時間に追われるとイライラしやすい、緊張で大事なことが抜けてしまう、試合になると焦ってしまうなど、自分の感情の傾向がわかっていれば、対策を取りやすくなります。
しっかり睡眠を取って体調を整えることも気持ちを安定させるために大切ですね。
目の前に起きた現実は1つ。しかし、その現実の捉え方は様々です。
悲観的に捉え、不安なまま、さらに打ちのめされる負のサイクルか。
それとも、現実をポジティブに捉え、課題を克服しながら自信を高め、次の挑戦へ向かうのか。
特に、幼い子供や思春期の子供は感情の起伏が激しいので、現実を客観的に受け止める方法、問題を細かいステップに分けて少しずつ解決しながら自信をつける方法など、うまく励ましながら気持ちをポジティブにサポートできるといいですね。
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