元宝塚スターが語る入団10年の壁「ファンレターで見つけて嬉しかった言葉」

ジェンダーレスな魅力で新しい男役を作り出した元月組2番手スター・美弥るりかさん。すべてをリセットしてさらに透明感が増した〝みやちゃん〟こと美弥さんのインタビューを紹介します。

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強さが美しさに見えるような存在でありたいと思います

お話を伺ったのは……美弥るりかさん

《Profile》 茨城県出身。愛称みやちゃん。小学校3年生のときにテレビで涼風真世さんのショーを見て宝塚男役を目指すように。2003年に宝塚歌劇団に入団(89期)。星組に配属後、2012年に月組へ組替え、2番手として活躍し、2017年『瑠璃色の刻』などで主演を務める。2019年6月退団。男役だけでなく様々な役柄を演じられる圧倒的な存在を活かし、退団後も舞台のみならずファッションなどで活躍の幅を広げている。

──宝塚時代からファンを魅了されてきた中性的な色気がパワーアップした感があります

ジェンダーフリーな存在で自分だけのジャンルを築きたい、というのは退団する前から考えていて。男役から解放されて、男とか女とか関係なく自分が好きかどうかという基準で服もメークも選べるようになって、表現の可能性が広がりましたね。

──スレンダーなボディはどうやってキープしているんですか?

最近は舞台が続いてむしろ動きすぎているので、鍼や整体に行ったりして体を休めることに注力しています。どんなに疲れていても、家に帰ったらヨガマットを敷いて必ず体をほぐしてから寝ます。第二の心臓と言われるふくらはぎをマシンやローラーを使って重点的にマッサージするのが昔からの習慣なんです。

──宝塚時代から変わらず美弥さんにしかできない独特な存在感を放たれていますが、転機となった作品はありますか?

少しずつ、という感じでしたね。節目となる研10(入団10年目)を過ぎる頃は自分に足りないところばかりに目を向けていました。華奢すぎて、スーツを着こなすために中にたくさん着こんでヒールを履いたり。丸い目をすっきり見せるメークに悩んだり。 でもいろんな役を演じるようになって、みんなと違うならそれを生かして自分の個性を確立していこうと思ったのと同時に、ファンレターに〝中性的〟という言葉を見つけることが多くなって。ちょうどその頃からちょっと怪しくて色っぽい魔術師とか、私のための役をいただけるようになったんです。だからファンの皆さん、そして先生方と一緒に作り上げて今があるという思いが強いですね。

──そして人気コミックの初の舞台化となる『キングダム』に出演されます

私は山の民を束ねる女王の役。仮面をとったら女だったという、発声も動き方も男役の経験を生かせそうな役で楽しみです。原作のファンの方々の期待を超えたいですね。

『キングダム』で山の女王・楊端和役に!
中国の春秋戦国時代を描いた人気漫画『キングダム』を初の舞台化。美弥さんはWキャストで楊端和を演じる。「とにかくかっこいい女王。立ち回りも多いので筋肉痛の日々です(笑)」。4月博多座、5月札幌文化芸術劇場hitaru予定

──やはり宝塚で培われてきた経験がベースとなっていますか?

うーん、むしろ一から人生を学んでいる感覚です。宝塚はあの世界で完結している何か離島の国みたいな感じで、そこだけの常識がある。それをお土産のように外の世界に持っていくのは違うかなと。宝塚でしか味わえないことを十分経験させていただいたからこそ、歌い方、踊り方、そして人との接し方も一度全部忘れて、ゼロになって新たな刺激を受けて学んでいきたい。そのほうが魅力的な人間になれる気がしています。 外の舞台は宝塚のようにいつも華やかというわけではなくて、その人自身が見えてしまうことがあるんですよね。だからこそ、私は舞台上で心の中が透けて見えてしまっても恥ずかしくない生き方をしていきたい、と心掛けています。

──そんな美弥さんにとって、美しく生きるとは?

客観的に見て美しいと思うのは、自分を貫いてぶれない人。止まることなく何かを極めて、強さが美しさに見えるような。私もそうありたいなって思います。

美弥るりかさんからのメッセージ

「昨年『ベルベル・ランデヴー』で共演した涼風真世さんが舞台で放つ強い光に感動。宝塚時代よりもさらに進化していて、貫くとはこういうことかと。あんな美しさを目指したいです」

《衣装クレジット》 ジャケット ¥94,600、バンドゥ ¥24,200、パンツ ¥74,800(すべてダウェイ/メゾン・ディセット)〈右耳〉イヤーカフ ¥42,900、ピアス ¥50,600〈右手〉7連リング¥55,000〈左手〉ブレスレット ¥55,000フ、リンジリング ¥44,000(すべてウッターズ アンド ヘンドリックス/アッシュ・ペー・フランス)シューズ ¥212,300(ジミー チュウ)

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