『映画刀剣乱舞-黎明-』酒呑童子役 中山咲月 「特殊メイクはダンベル並みの重さ。撮影は筋トレでした(笑)」
刀剣育成シミュレーションゲーム『刀剣乱舞ONLINE』を原案とした実写映画第2弾、『映画刀剣乱舞–黎明–』が大ヒット公開中。2019年に公開された第1弾は、9.5億円の興行収入を記録!今作は、美しい刀剣男士たちの緊迫感のあるアクションシーンはもちろん、1000年の時を経るダイナミックなストーリーが展開されるなど、前作以上にスケール感がアップした内容になっています。本作の鍵を握るのが、鬼の頭領・酒呑童子(しゅてんどうじ)。この難役に挑戦した中山咲月さんに、撮影秘話を語ってもらいました。
中山咲月
1998年9月17日生まれ 東京都出身 2011年、ティーン誌の専属モデルとしてデビュー。2018年『中学聖日記』で連続ドラマに初出演・俳優デビュー。以降、『仮面ライダーゼロワン』、映画『私がモテてどうすんだ』などに出演。現在公開中の『映画刀剣乱舞-黎明-』に出演。また、舞台『なんだコイツ』でW主演を務め、映画『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』(5月27日公開予定)にも出演。
刀剣乱舞とは?
名だたる刀剣が戦士へと姿を変えた「刀剣男士」。彼らを率いて、日本の歴史を改変しようと目論む敵を討伐していく刀剣育成シミュレーションゲーム。ゲームだけではなく、舞台、アニメ、映画など、メディアミックス作品の人気も高く、「とうらぶ」の愛称でファンに親しまれている。
「鬼の特殊メイクは、ダンベルのように重くて体が震えました」
物語は西暦995年、平安時代の京都から始まる。藤原道長(柄本明)と安倍晴明(竹財輝之助)の密談により、大江山に住む酒呑童子の討伐が決定。その企てによって、酒呑童子は非業の死を遂げることになります。自身の役について、「酒呑童子は怒りと悲しみを持ったキャラクターだ」と中山さんは話す。
「酒呑童子は、この映画のオリジナルキャラクター。刀剣男士たちと対立する敵役です。鬼といえば、完全な悪者として描かれることが多いイメージがありますが、今作は『彼はなぜ鬼になったのか』、『なぜ人を呪うことになったのか』というのもテーマの一つになっています」(中山さん・以下同)
酒呑童子は原案には登場しないということもあり、役作りで悩むことは多かったという。
「オーディションを受けて酒呑童子の役をいただいたのですが、いざ、『鬼の役です』と言われると、どうアプローチすればいいのか迷いました。そこで、耶雲哉治(やくもさいじ)監督に直談判して稽古をつけていただいたんです。演技に求められたのは、体の中から出てくる怒り。刀剣男士の三日月宗近(鈴木拡樹)や山姥切国広(荒牧慶彦)と対峙したときに、気圧されない力強さを引き出していただけました」
中山さんの怒りの芝居に、さらに迫力を与えたのが、鬼の特殊メイク。
「顔だけでなく、体にも施しているので、毎回2〜3時間はかかってしまう大変な作業でした。実は酒呑童子には、3形態くらいメイクのバリエーションがあるんですよ。軽いペイントから顔全体をマスクで覆うものまで幅広く、酒呑童子が中山だとわからないシーンもあるかもしれません(笑)。映画では特殊メイクの変化も楽しんでもらえたら嬉しいですね」
特殊メイクの大変なところは、仕上がるまでに時間がかかるというだけではないという。
「最終形態は、腕にも特殊メイクを入れているので、実はめちゃくちゃ重いんですよ。両腕を上げて、刀剣男士を押さえつけるシーンがあるのですが、5キロのダンベルを持ったまま、腕を伸ばし続けているような気分でした。もう筋トレですね。テストも含めて数十分は撮影していたので、ずっと腕はプルプルが止まらない状況。翌日は、もちろん筋肉痛でしたよ。肉体的な疲労も相まって、しっかりと苦しみが表現できたのではないかと思います(笑)」
「憧れを捨てて立ち向かう」ことで得た役者としての矜持
酒呑童子は刀剣男士にとって討伐すべき敵キャラクターなのですが、それは物語の中の話。撮影以外では、和気あいあいとした楽しい雰囲気の現場だったと振り返る。
「刀剣男士の山姥切国広を演じた荒牧慶彦さんには、すごく助けていただきましたね。山姥切はクールなキャラクターなんですけど、ご本人はとても気さくな方で(笑)。自分は人間関係についてはグイグイと行けるタイプではないので、荒牧さんが休憩のたびに話しかけてくださって、とても嬉しかったです。三日月宗近を演じた鈴木拡樹さんとは、映画の撮影後に、『T』という映画雑誌の取材でご一緒しました。その取材では、自分が鈴木さんの写真を撮影させていただいたんですよ。鈴木さんの柔らかな雰囲気が撮れたんじゃないかなと、満足しています」
中山さんは、この作品を通して役者として大きく成長ができたと話す。
「今回、鈴木さんや荒牧さんをはじめ、舞台『刀剣乱舞』で大人気の俳優さんたちと、映画を作り上げてきたわけですけど、『すごい人たちと共演してたんだな』と実感したのは、クランクアップした2、3日後でした。撮影中は、『憧れの気持ちを持たないようにしよう』と決めていたんです。大谷翔平選手じゃないですけどね(笑)。
憧れや尊敬の気持ちが前に出てしまうと、芝居中に立ち向かうことができないし、戦えません。共演者がどんな相手でも、自分の役に対してブレない心の芯を持っておきたい。この作品に参加して、そういう役者としての矜持を学んだように思います」
『映画刀剣乱舞-黎明-』
出演:鈴木拡樹 荒牧慶彦
和田雅成 梅津瑞樹 佐藤たかみち 山本涼介 定本楓馬 小西詠斗 本田礼生 玉城裕規
秋田汐梨 中山咲月 柳 美稀 飛永 翼 / 津田寛治 堀内正美 竹財輝之助 / 柄本 明
原案:『刀剣乱舞ONLINE』より(DMM GAMES/NITRO PLUS)
監督:耶雲哉治 脚本:小橋秀之 鋼屋ジン 音楽:遠藤浩二
配給:東宝
主題歌:「DESTINY」BLUE ENCOUNT(Ki/oon Music)
コピーライト: ©2023 「映画刀剣乱舞」製作委員会/NITRO PLUS・EXNOA LLC
写真・望月宏樹 取材・小石原悠介 編集・菅原南美、齋藤菜月