フレンチの遊び心を利かせた丁寧なイタリア料理店/ひと皿の向こう側

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神楽坂と飯田橋の間、かつて武家地だったという下宮比町にガラス張りの小さなお店がオープンしました。
道ゆく人々が思わず足を止めて覗き込む、素敵なお店です。

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「好きなものを詰め込みたい」という店主・角田直也さんの想いが込められた店の中央にあるのは広々とした木のカウンター。
照明、鉢植え、キャンドル、テーブルの花、奥の厨房から漂う香りなど、すべてが程よく、心地よく、これから始まる食事の時間への期待が高まります。

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この広々としたカウンターで供されるのは、食材ありきの考えでイタリア料理に留まらず、フレンチやそのほかの技と工夫で丁寧に仕上げられた“角田流イタリア料理”の数々。
7品のコースでその世界に浸るのがお勧めです。

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誌面で紹介したのはこちら「赤ワインのスパゲティー」。
カラブリア州ではペペロンチーノをたっぷり使って激辛に仕上げるひと皿なのだそうですが、“角田流”は赤ワインのコクや酸味を引き立てる辛味の加減が絶妙の仕上がり。ワインが進むひと品です。

ニンニクとペペロンチーノを炒めたところに赤ワインを入れ、茹でて少しだけ柔らかくなったスパゲティーを加えて軽く煮詰めるとこの美しいワインレッドに。パルミジャーノ、ペペロンチーノを振りかけて仕上げます。

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こちらは「ウニとアーティチョークのタリオリーニ」。
「リグーリア海に面したリグーリア州の特産物でもあるアーティチョークは、魚介類との相性がいいので北海道産のウニと合わせてみました。ピューレにしたアーティチョークとウニのソースでタリオリーニを和えて、カットしたアーティチョークも加えています。」(角田さん)

アーティチョークとウニの相性の良さを実感できる贅沢なひと皿です。

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こちらは「ホワイトアスパラガスと牡蠣のクリームソース」。
豆のプレア(ピューレ)の上にのせられた仏・ロワール地方の走りのホワイトアスパラガス、岩手宮古の牡蠣、イタリア産のグリンピース、ラディッキオ、黒キャベツを、生のカラスミを加えたクリームソースで食します。それぞれの食材の味わいをクリームソースが絶妙のバランスでまとめてくれます。

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店の中央にあるガラス張りのワインセラーはワインリスト代わり。個性豊かな自然派ワインがカウンターに向かって並びます。
6割がイタリア、そのほかフランス、オーストリア、スペインなど、角田さんご夫妻が好きな生産者ばかり。
迷ったら、パティシエである奥様の菜美子さんに相談を。

では、それぞれの料理に合わせたいワインをご紹介しましょう。

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右から、「赤ワインのスパゲティー」と味わいたいのは「バルベーラ ボルガッタ ボルガッタ」。

イタリア、ピエモンテ州アスティ地区南東部、バルベーラから造られるこのワインは「果実味もタンニンもしっかりとありますが、飲み口はとても爽やか。このワインを使って作る料理なので、合わないわけがありませんよね(笑)」(角田さん)

「ウニとアーティチョークのタリオリーニ」には、「ゲオルギウム シャルドネM 2012」。
オーストリア南部のケルンテン州の奥地で造られるワイン。ハチミツや青草の香りを感じる爽やかで奥行きのある味わいが特徴。

「ホワイトアスパラガスと牡蠣のクリームソース」に合わせたい、「ラ・ヴィーニュ・デュ・ペロンレ・ゼルミチュール 2017」。
フランス、サヴォワ地方の渓谷で造られるワイン。ガメイ100%。豊かな香り、キリッとした上品で心地よい力強さが、大地や海のさまざまな旨味を引き立てます。

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「来ていただいた方には、食事の時間を心ゆくまで楽しんでいただきたいんです。うちの料理は食材ありき。一番美味しく食べていただきたいと考えると、イタリア料理の技法だけではハマりきらないものもあります。なんでも取り入れたいタイプなので(笑)」

店主の角田直也さんは大阪の調理師学校で学んだのち、25歳で東京へ。駒沢のレストランを経て都立大学の人気店【カンティーナ カーリカ・リ】のシェフを3年半ほど務めたのちに独立。調理師学校の同級生というパティシエの奥様・菜美子さん。

ここ【Qkurt】は「食事の時間を楽しみたい」という私たちの想いをしっかりと受け止めてくれて、程よい高揚感と心地よい開放感に包まれる、そんな店なのです。

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Qkurt
東京都新宿区下宮比町3-12 明成ビル 1F
03-6877-3942  おまかせコース18:0020:00は全75,500(要予約)、20:0023:00L.O.22:30)はアラカルト(予約不可)
日曜休、ほか不定休
20191220OPEN

 

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撮影/牧田健太郎 取材・文/齊藤素子 構成/川原田朝雄