世に渦巻く「許せない」感情は、なぜ生まれる?どう防ぐ?【大久保佳代子のあけすけ書評】
SNS社会で顕在化した「正義中毒」は脳の老化が原因。 老化を止めるために私も新しいことに”挑戦”しています
帯に書いてある、「正義中毒」という言葉に惹かれて手に取った本書。日々、必要以上の憎しみや怒りの感情を持つことなく穏やかに過ごしたいと切に思うお年頃。なのに、年々、他人のすることが許せなくてイライラしてしまいがち。私自身にも正義中毒の気があるんじゃないかとうすうす思っていたので興味津々で読みました。
著者によるとSNSは今まで隠れていた〝他人を吊るし上げる喜び、争い〞を見える化しただけであり、「他人を許せない」「自分は正義」と感じる正義中毒は人間の宿命だとか。少し前、俳優同士の夫婦の不倫問題が世間をにぎわした際、夫婦とは全く関係のない女友達が、異様なテンションで怒り始め、特に相手の若い女性に対しては鬼の形相でバッシングの嵐。「自分には関係のない家庭のことなのに、なぜそこまで怒れるの?」とドン引きしてしまったことが。でもこれが、他人に正義を振りかざすことで脳の中枢神経が刺激されドーパミンが放出、正義という旗のもと他人を叩くのが「快楽」になってしまうということを知り、それはそれで非常に怖いことだなと。
だって、自分は正しい、それ以外はバカ。だから叩いてあげよう。「あ〜、良いことをした。気持ちいい」って。こんな人間が増えたら世も末だし、せめて自分だけはそうならないようにしたい。その為には、脳が楽をしてしまう「知的偏食」をやめること。私たちの脳は、考えずに済む楽な道を選んでサボっていると、どんどん考え方が狭くなり、他人を許せなくなり、正義のために直情的に突っ走る、つまりはキレる老人になってしまうらしいのです。この本では「どうやったら脳が老化、退化しないで済むか」を具体的に教えてくれます。
まず大事なのは「メタ認知」能力を上げるということ。メタ認知とは自分を客観的、俯瞰で認知する高次な脳の働きだそうで、これが上がると正義中毒に陥らずに済むと。能力を上げるには「慣れていることをやめて新しい経験をする」「不安定、過酷な環境に身を置く」「余裕を持つ」などが有効なのだそう。これを知り、私もすぐさま新しいことを始めました。
その1つが、なんとVIO脱毛。保守的な私からしたら、かなり思い切った新たな行動。将来的に介護される側になった時、面倒を見てくれる人に手間を取らせたくないという理由とこれから恋愛することができたら、綺麗なほうが自信も持て、一歩踏み出しやすくなるかなと。初めてのVIO脱毛、かなり衝撃的な新体験でした。恐らくVIO箇所が綺麗になっていくにつれ、「メタ認知」能力もアップするはず。脱毛が完了した際には、イライラしない穏やかな日常を手に入れると同時に、性格美人になっているはずだから、もしかしたら素敵な彼氏もできているかも。乞うご期待。
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おおくぼかよこ/ ’71年、愛知県生まれ。千葉大学文学部文学科卒。’92年、幼なじみの光浦靖子と大学のお笑いサークルでコンビ「オアシズ」を結成。現在は「ゴゴスマ」 (TBS系)をはじめ、数多くのバラエティ番組、情報番組などで活躍中。女性の本音や赤裸々トークで、女性たちから絶大な支持を得ている。
Lifestyle特集 久しく使っていない”推理脳”を超刺激!【大久保佳代子のあけすけ書評】 2020.04.09 前回の書評はこちら!
※2020年5月号掲載