【働くMartミセス】息子の不登校を経験して(後編)

突然始まった息子の不登校。仕事を辞め、息子に寄り添い続けた1年、島田さんは「母親として大きく成長した」とおっしゃいます。当時の気持ち、そして自分らしい新たな仕事を手に生活をリスタートさせた、今の気持ちを聞きました。

【PROFILE】

島田有紀さん(43 歳) 神奈川県横浜市在住 イメージコンサルタント/派遣事務職

カラー診断などを通じて似合うファッションを提案し、時にはショッピングにも同行。最近は オンラインでのメークレッスンなども実施する一方で、週に4日は派遣で事務職として勤務。 夫と双子の男の子(小学5年生)の4人家族。Instagramアカウントは@yukis0523

息子の不登校を経験して成長。
コミュニケーション欲求を満たす
ためにWワーク生活を始めました(後編)

(前編から続く)
ある日、ついに息子が「担任の先生が苦手」と胸の内を語り始めた。仲のいい友達が先生に怒られたことがきっかけだったそう。「私にとっては親身になってくれるいい先生だったので驚きました。職員室まで送った息子を迎えてくれるのはその担任の先生。だから息子は行けなかったんです。気づいてあげられなかったことを悔やみました」
その後、登校できる日は教室まで息子を送るように。2学期には少しずつでも行けるようにうながし、3学期になると登校できる日も増えてきた。
そして新年度。4年生になり担任が変わると、息子は打って変わって学校に行けるようになった。

子どもとの時間は絶対に必要だから、両立可能な働き方を

実は島田さん、息子が3学期に少しずつ登校できるようになると、イメージコンサルタントの勉強を始めていた。きっかけは友達がパーソナルカラー診断をしてくれたこと。「息子に寄り添っていた時期、悩みは多かったですが、オシャレをすると不思議と前向きになれたんです。そんなファッションの持つ力を仕事につなげたいと思ったんです」
翌年6月に資格を取得し、イメージコンサルタントの仕事をスタート。
「最初はお客様も月に数人程度。もっと働きたかったのですが、息子がいつ学校に行けなくなるかわからない不安もあり、しばらくはフリーランスの仕事だけをしていました」
「息子はもう大丈夫」と確信が持てたのは、4年生の夏休み明けに登校する姿を見たとき。そして今年に入りWワークで派遣仕事を開始した。
「前職では時差のある海外とのやりとりで残業続きになることもあり、子育てとの両立はギリギリでした。ですが、派遣とフリーランスとを組み合わせることで、自分のやりたいこと、欲しい環境を叶えることができました。本当の意味で子育てと両立できる仕事へとリセットできたと思えています」
息子の不登校による最大の収穫は母親として成長したこと。
「1年間息子と過ごし、子どもは親が思っている以上に繊細で、いろいろなことを考えていると気づきました。息子との時間をしっかりつくり、目を向けなければ考えも拾えないことも学びました。息子たちと向き合い続ける大切さを実感しています」
母としての矜恃を保ち、自分らしく輝き続ける島田さん。そのしなやかな強さが家族の未来を明るく照らし続けるのだろう。

親子時間は息子たちの「やりたい」を最優先


「以前は『今日はここに行くよ』などと、私が決めて息子たちを引っ張っていくことが多かったのですが、息子たちがいろいろな考えを持っていることに気づいてからは、『ママは今日はここに行きたいけど、どう思う?』などと息子たちの意見を拾える聞き方をするようになりました」
親子時間も息子たちの"したい気持ち"が最優先。
「今年5年生ですが、男の子のせいかまだ幼くて。『かくれんぼがいい!』とか『馬跳びしようよ』などのまさかのかわいらしい提案に、噴き出しながらつき合う時間が幸せですね(笑)」

子どもたちと触れ合う時間と家事をバランスよく

Wワークで忙しい毎日。そんな島田さんの時短技は乾燥機使い。
「乾燥機を使うと干して取り込む手間が一気に省けるので、時短効果抜群です」。
余った時間は息子たちと遊ぶ時間にあてている。その他、最近ではお風呂掃除や食後の食器洗いなどは、息子たちにお願いすることも増えてきた。
「私でなくてもできる家事は息子たちや夫にお願いしています。食後に『じゃんけんで負けた人が食器洗いをしよう』などと提案するとみんな盛り上がってやってくれます(笑)。そのぶん、やってもらったら『ありがとう』は欠かさず伝えるようにしています」

《仕事の日の Schedule》
6:00  起床、朝食準備
6:30  息子たち起床・朝食
7:40  息子たちを送り出し、家事
10:00 カラー診断開始
12:00 ランチ
13:30 オンラインメーク講座
16:00 仕事を終え、息子たちと遊ぶ
17:00 息子たちを習い事へ送り出す
17:30 夕食の支度
18:30 息子たち帰宅
19:00 夕食
20:00 家族団らん
21:00 入浴
22:00 息子たち就寝
23:00 仕事(メールなど)
24:00 就寝

 

撮影/平林直己(BIEI) 取材・文/須賀華子 構成/上原奈緒

Mart2020年10月号 働くMartミセス より

 

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