【中学受験⑬】いよいよ学校説明会で校門をくぐります…校内見学ツアー

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皆さん、こんにちは。教育ジャーナリストの鳥居りんこです。
今回も「実際に学校説明会に参加してみよう!」編。第5回目です。

前回は学校最寄り駅から学校までの道すがらで「この街、なんか好きだなぁ…」逆に「この街はちょっとなぁ…」という「なんとなく」という気持ちを大切にしてくださいというお話をしました。
今回から、いよいよ実際に学校の門をくぐってみましょう。


学校説明会は婚活市場で言えば、いわば「お見合い」です。お相手(=学校)の釣書(=データ)は既にネット情報や学校HPなどで知っているのですから、それを踏まえた上で生身のお相手(=学校)と自分自身(含む我が子)の相性の善し悪しを判断しなければなりません。

学校現場で情報収集をしてみよう

それには現地にて、まずは目から入ってくる情報を大切にしてください。
大抵の学校では案内役の先生や生徒さんが説明会の会場周辺に配置されています。大規模校などでは最寄り駅から要所要所に道案内の先生が待機しています。

観察はここから始まります。
まずは、案内役の先生、生徒さんに「本日はお邪魔します」の気持ちを込めて、ご挨拶してみてください。
それに対するお返事はどのようなものでしたでしょう?

先生はあなたを歓迎してくれているご様子でしたか?
生徒さんは生き生きと来訪者であるあなたを迎い入れてくれましたか?

もし、あなたのお子さんがその学校に入学するとしたら、その先生がお子さんの恩師になる可能性があります。生徒さんであれば、その生徒さんはあなたのお子さんの先輩になるのです。特に生徒さんは、あなたのお子さんの未来の姿です。あなたが未来の我が子の姿として生徒さんを見た時に、あなたが「好ましい」と思ったかどうかはとても大切な道標になります。

もちろん、中高一貫校は多くの生徒を預かっていますので、その場にいる数人の生徒さんを見て「すべて」を判断するわけにはいきませんので、なるべく多くの生徒さんの様子を見ていく必要があります。

学校見学ツアーに参加してみよう

その方法のひとつに「学校見学ツアー」があります。
大抵の学校では説明会の中で「学校見学ツアー」を実施しています。こちらは任意ですので参加する・しないは自由ですが「もう校舎や設備は大体、知っているから」という理由で参加しないで帰るのはとてももったいないことです。
是非、参加してみてください。きっと大きな発見がありますよ。
ご参考までに、以下に「見るべきポイント」を挙げてみましょう。

1 授業風景
校内見学をする中で、実際の授業風景を見せてもらえることがあります。
多くは廊下から覗き見るスタイルですが、その学校がどのように授業に取り組んでいるのかを垣間見るまたとないチャンスになります。
授業は学校の「命」とも言える存在。その学校がどのように取り組んでいるのかを実際に目と耳で確認することは学校選びの大きな決め手となるはずです。
まずは、生徒さんの授業への関心度、先生のモチベーションなどを感じ取りましょう。

2 教室内の風景
ギッチリと机が並んでいて窮屈そう(1クラスの人数が多い)とか、ロッカーが乱雑であるとか、逆にとても綺麗な印象を受けるとか、目に入ってくる情報だけでも色々な「実態」を知ることが出来ます。
生徒の持ち物は意外と自由なんだなとか、あるいは学校指定のものを使用しているなどといったことでも「好感を持つ・持てない」の印象が違ってきます。
机に置いてある飲み物、生徒の制服の着こなし方、ゴミ箱の様子などからも学校の“ありのまま”を推し量ることができます。

3 掲示板の確認
教室内外の壁の掲示板も忘れずに確認してみてください。左右上下きっちりと合わせて掲示物を掲げている学校もあれば、フレキシブルに貼ってある学校、または掲示物があまりない学校など、掲示板ひとつとっても学校によって違いが出るものです。
生徒の作品をどのようにしているのかも見るべきポイントのひとつになります。特に今は“調べ物学習”に重きを置いている学校が多いので、そのレポートが掲示されていたら、どのような事柄を学習してまとめているのかをそのレベルも含めてチェックしてみてください。
また、大学合格実績を個人名の短冊にして貼っている学校もありますし、成績優秀者のリストを貼っている学校、逆に補習組のリストを掲示している学校などもあり、反対にそのようなものを掲示していない学校もあり、学業から見た生徒の日常を想像することができるでしょう。

4 ICT教育の実態を確認
ICT教育が盛んなことを「ウリ」にしている中高一貫校は多いですが、実際にどのように運営されているのかを見てみましょう。授業での電子黒板の使われ方なども実際に見学できるかもしれません。
生徒はモバイル端末を駆使していることが、むしろ普通になっておりますが、文房具のように使いこなしている様子なども観察できると思います。

5 生徒と教師の関係性を観察
実際に校内を歩いていると、生徒と先生の関係性が見えてくることがあります。
生徒さんが一旦立ち止まって、来訪者にお辞儀をする学校、あるいは生徒さんが先生にフレンドリーに手を振る学校、生徒さんとは普通にすれ違う学校などバラエティーに富んでいます。
「学校見学ツアー」中に、先生が生徒さんと実際に触れ合う様子も目にすることができるかもしれません。
先生はどのような声掛けをしているか、生徒の反応はどうだったかなども貴重な情報です。引率の先生がその時々に出会う生徒さんとどういう会話をするのかを注意して見ていてください。

学校で大切なことは沢山ありますが、その核となるものはやはり「人間関係」。
生徒を中心にして、教師がどのような目配り、あるいは声掛けをしているかはとても大切なことですので、是非、現場でその様子を探ってみて下さいね。

次回は7月25日にお届けします。

鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト

2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。

その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。

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構成/加藤景子 イラスト/村澤綾香

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