「残りの人生、やりたいことを仕事にすると決めたらチャンスが見えた」 菅原優美子さん【趣味キャリ生き方図鑑vol.17】

人生100年時代。一つの仕事・肩書きだけで働くというモデルそのものが変わりつつあります。結婚や出産等がきっかけで、それまでとは全く違った仕事や働き方をスタートさせるケースも珍しくありません。STORY読者の間では“好き”を仕事にして、耳慣れない肩書きで活動している人も増えています。そんな人生のセカンドキャリアをスタートさせた方を取材。第17回目は、料理人の経験ゼロからスタートし、今や行列必至のフードトラック オーナーとなった菅原優美子さんのお話です。

菅原さんのお仕事は…
フードトラック オーナー

かつて貿易港として栄えていた福岡県の門司港では、早くから洋食文化が取り入れられ、その中で生まれた名物料理が「焼きカレー」。福岡出身の菅原さんは「地元の美味しいものを届けたい」との思いから、焼きカレーのフードトラック「ALCA DELI.(アルカデリ)」をオープン。曜日によって異なりますが、都内のさまざまな場所に出店されています。日本テレビ系TV番組『ヒルナンデス!』をはじめ、さまざまなメディアで紹介され、行く先々で大人気。

菅原優美子(39歳)
プロフィール
20歳で上京し、専門学校を卒業後は一般企業に勤務。結婚・出産後も企業で働いていましたが、36歳のときに退職。その後フードトラックの存在を知り、起業を決意。2020年、焼きカレーを提供するフードトラック「ALCA DELI.(アルカデリ)」の営業を始める。

ALCA DELI.(アルカデリ)は、
どこに行けば会える?

月 11:30~13:30 御殿山トラストタワー
火 11:30~14:00 北参道DTビル
水 11:30~14:00 武蔵境HOCCO(10/13~)
木 11:00~14:00 ザ・パークハウス国分寺(9/23~)
  11:30~14:00 シティテラス小金井公園(9/30~)

※木は隔週での出店

金 11:30~14:00 東京ポートシティ竹芝

出店曜日や場所は変更することがありますので、詳しくは、ホームページ 出店カレンダーをご確認ください。

好きを仕事にしようと思ったきっかけis…

目の前にチャンスがあったから

小さい頃の夢は、給食のおばちゃん! 大人になってからは「料理をすることが好き」ということに加えて、誰かに食べてもらうのも嬉しくて、コロナ前は自宅によく友達を招いていました。“自分のお店が持てたら素敵だなぁ”なんて思うこともありましたが、料理を習ったこともなければ、飲食関係の仕事に就いたこともなく、開業のために、たくさん貯金をしていたわけでもありません。本当に漠然とした夢だったんです。

36歳で勤めていた会社を退職。専業主婦という選択肢はなかったので、「これからどんな仕事をしていこうかな」と考えたとき、残りの人生……って言ったら大袈裟ですけれど、次はやりたいことにチャレンジしたいという気持ちが湧いてきました。自分の気持ちに正直になり踏み出そうとすると、見える世界が変わってくるのでしょうか…。たまたま報道番組か何かでフードトラックのニュースを見て「これはチャンスかも! フードトラックなら自分にもチャレンジできるかもしれない」と思い、一気に突っ走りました(笑)。

飲食の仕事未経験に関しては、知人のお店でイロハを叩き込んでもらいしばらく経験を積ませてもらいました。資金の不安に関しては、いろいろなフードトラックを扱う会社の説明会に参加する中で、リース車でスタートできるところもあることを知り、クリア。メニューについては「地元・福岡の美味しいもの」というところまではすぐに決まったものの、その後が難航。とんこつラーメンは無理だし、もつ鍋も難しいし……と悩み、ピンときたのが「焼きカレー」! 家族や近所のママ友に何度も試食してもらいレシピを完成させ、ALCA DELI.(アルカデリ)をオープンすることができました。

フードトラックの魅力は、行きたいところに行けること。店舗と違い、自分からお客様に会いにいっている感覚なので、「この前のお客様、また来てくれるかな」なんて運転していくのも楽しみのひとつです。

好きを仕事にするまでのスケジュール

2002年
専門学校卒業後、一般企業に勤務
2007年
結婚
2010年
出産
2018年
勤めていた会社を退職、フードトラックでの起業を決意
2020年
焼きカレーのフードトラック「ALCA DELI.(アルカデリ)」オープン

1日のスケジュール

子どもの習い事の送り迎えなどがある日は、特にバタバタです。何かをじっくりするような自由時間はないけれど、寝る前のビールがささやかな楽しみ♡ 1杯飲めれば幸せです。

1週間のスケジュール

お休みもなく、ただただ働いている感じです(笑)。でも今は仕事漬けの日々が楽しい!「美味しかったよ」って、リピートで来て下さるお客様がいるので頑張れます。

菅原さんに4つの質問!

カレーのこだわりポイントは?

    丁寧に下処理した牛すじを、圧力鍋でトロトロになるまで煮込むのがこだわり。しっかり煮込まれた牛すじの旨みが、20種類以上のスパイスをブレンドしたスパイシーなカレーに溶け込み、深みのある味になります。一番人気はスタンダードな「オリジナル焼きカレー」ですが、女性のお客様からは「五種の野菜盛り焼きカレー」をよく注文いただきます!

ALCA DELI.(アルカデリ)の自慢のアイテムは?

    石窯です! 本来はオーブンで焼くことが多いのですが、フードトラックでのランチ営業ではそれだと時間がかかりすぎてしまうため、悩んだ末「石窯」に辿り着きました。石窯は高温で一気に熱を加えるため、カレーとご飯の水分は保ったまま表面のチーズはとろーりとろけます。
    ほんのり木の香りがするペレット燃料を使用しているため、ガスや電気では難しい香ばしさを出せることもアピールポイントです。

最近、仕事をしていて嬉しかった出来事は?

ある出店場所の最終日、営業終了後にリピーターだったママさんが、小さなお子さんを連れて戻ってこられたことがありました。どうされたのか伺うと、最後だと知ったお子さんがもう一度会いたいと言うので挨拶に来てくださったとのこと。
このとき、ただランチを提供するだけの時間ではなく、お客様との関係を築く時間になっていたことが実感でき、本当に嬉しく思いました。

プライベートで“幸せだなぁ~”と感じるのは、何をしているとき?

大好きな仲間や家族と一緒に食事をしたり、お酒を飲んだりする時間が何よりも幸せです。今は、コロナ禍で思うように集まれませんが、楽しい時間を大切な人と共有できることが私自身の原動力になっているのだと思います。

撮影/西 あかり 取材/篠原亜由美

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