「きっかけは夏休みの自由研究」小学生“NFTアーティスト”のママにインタビュー

昨年、小学生の描いたNFTアートが240万円もの高値で売買されたというニュースを見た人もいるのではないでしょうか。アーティストの名前は〝Zombie Zoo Keeper〟、日本に住む9歳の男の子です。今回は〝Zombie Zoo Keeper〟のママで、自身もアーティストとして活動する草野絵美さんにNFTアートの親子体験談を聞きました!

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【NFTの可能性】
Zombie Zoo Keeperのママ・草野絵美さんに聞く

NFTアート親子体験談

草野絵美さん

1990年東京生まれ。Fictionera代表取締役。慶應義塾大学環境情報学部卒業。アーティスト、Satellite Youngボーカル、東京藝術大学非常勤講師など多彩に活動する。9歳と1歳の兄弟ママで、長男はZombie Zoo Keeperの名前でNFTアーティストとして有名に。自身がディレクションを手がけるプロジェクト『新星ギャルバース』を立ち上げ、OpenSeaの取引量世界一を記録。Twitter:@neokosodate

──はじめは夏休みの自由研究がきっかけだったそうですね。

息子は何かを作って売ることにずっと興味を持っていて、それまでも自分で作ったアイロンビーズをメルカリで出品したりしていましたが全然売れなくて。ちょうど海外のニュースで12歳の男の子がNFTで数千万円の利益を出したのを見て、僕もやってみたいと。NFTなら在庫を持たなくていいし、売れなくてもいいからやってみようかって。テーマは、ずっとマインクラフトをやっていたのでゾンビが好きで、あらゆるものをゾンビ化すればネタが尽きないし息子も飽きないかなと。あと、NFTアートの購入者の大半は欧米人なのでゾンビならわかるかなって。そういうマーケティングのプロセスから一緒にやるのが楽しかったですね。

──作品はすぐに売れましたか?

1週間ほどアクションがなかったのですが、日本人のアーティストが買ってくれたことで、外国人数名が一気に買って完売して。後から聞いたら、NFTのコミュニティの中で「すごくいいアートがあるけど、本当に日本の小学生が作ったのかな?」と話題になってたみたいで。その後にDJのスティーヴ・アオキさんに見つけていただいて。1,000円で売り出した作品が二次流通で一点40~80万になって、最終的には180万の値がつきました。ただ、息子にあれだけ注目が集まったのは、まだ小学生のNFTアーティストが世界にほとんど存在しなかったのが大きくて、先行者利益があるのかなと。

NFTアートを通して
家庭内の金融教育が進んだ

──自分のアートが世界中に広まって、息子さんの反応はどうですか?

一番最初に売れた時は「1,000円になった!」ってすごく喜んで、すぐに現金に替えてあげてポケモンカードを買いに行ったんです。でも、高額になってくるとそんなにカード要らないしとなって、今は学費を貯めています。息子の中でもお金に対しての考え方が変わって、前は100万円なんて人生が変わっちゃうと思ってたらしくて、お金がありすぎてパパとママが不幸になったらどうしようって。いや、人生が変わるほど貯まってないよと話したら、「じゃあ、パパとママはどのくらいお金持ってるの?」って。それまで親の収入や生活費の話をしてこなかったのですが、全部話すことにして。日本の平均給与や光熱費はこのくらいで、学費はこれくらいだよって。税金の話もしたらすごく興味を持って、最近は何を経費で落とせるか気にしています。金融教育が進んだのも良い経験だったなって。

──これだけ有名になって息子さんのモチベーションは?

本人がブレない性格なので自分が描きたいものに集中しています。ただ、子どもなので、褒めたことや親からのフィードバックが反映される恐れもあるので、その辺りはかなり注意しています。前に一度、「これ、売れそうだね」と言ってしまって夫に叱られたりして。息子の創作意欲を削がないことに気をつけながら、気が乗ったら描くし乗らない日は描かない感じで、生活は何も変わりません。遊びの中に作品づくりがある感じです。

親子の共同プロジェクトで
子どもと対等な関係に

──ママはマーケティングやPRに徹している形ですね。

リサーチしてわかったのが、アートを売買するOpenSeaというプラットフォームはかなり回遊性が低くて、買いたい人はTwitterのハッシュタグで作品を探していて。だからTwitterはマストなのと、購入者の多くは外国人なので海外向けの宣伝をするべきだと思って英語アカウントを作りました。息子が伝えたいことやPRを私が英語で投稿しています。SNSにこういうことを書いたら危ないとか顔出しはしたくないとか、本人なりに考えていますね。ポジティブなコメントがあったら教えてねって。一緒にZZKというブランドを運営する形ですね。

──親子で起業みたいな感じですね。

そうですね。我が家のケースは本当にいろんな奇跡があったので再現性があるかというと自信がないですが、NFTにかかわらず、親子で楽しめるプロジェクトは各家庭に眠っていると思います。別のことで専門性のある親が子どもを巻き込んでその様子をブログで発信したり、何か作ってアプリで売ったり、そういうことでいいのかなって。SNSとのつきあい方やお金のこと、アーティストのキャリアなど色々話せたし、息子との衝突も減って対等な関係になれたかなと。親子の共同プロジェクト、おすすめです。

3/31発売の近著『親子で知的好奇心を伸ばす ネオ子育て』(CCCメディアハウス)。若くしてママになった草野さんが、子どもと対等な関係を築くために心がけたこと、親と子でともに知的好奇心を伸ばすための方法やネットとのつきあい方、マネー教育、多様性への理解など、令和の子育てに参考になるヒントがたっぷり綴られています。

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撮影/杉本大希(草野さん) 取材・文/宇野安紀子 編集/フォレスト・ガンプJr.
*VERY2022年6月号「最近よく聞くNFTって何ですか?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。