高杉真宙さんが「清野菜名さんを見て焦った」エピソードとは?【映画『異動辞令は音楽隊!』インタビュー】
犯罪捜査一筋30年の鬼刑事・成瀬司(阿部寛)が、ある日突然、警察署内の音楽隊に異動を命じられ、奮闘する姿を描いた映画『異動辞令は音楽隊!』。高杉真宙さんは刑事志望だったもののそれが果たせず、現在はしぶしぶ音楽隊でサックスを担当している北村裕司役を演じます。サックスを吹く演技の難しさや演技に込めた思いまで、作品について詳しく語っていただきました。
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嫌な奴に見えないように…役作りに込めた思い
JJ編集部(以下、編):今回の役は、少しひねくれ者というか“やさぐれ感”のある人物だったかなと思うのですが、北村裕司役を演じてみていかがでしたか?
台本を読んだ時に、北村という人間が、結果的に嫌な奴じゃなかったと思ってもらえるように持っていけたらいいなとは思っていました。前半の方は、ちょっと嫌なヤツなんですけど…でもそれにも彼なりの理由があるんですよね。それが作品を観た人にちゃんと伝わったらと思って、ひとつひとつ考えながら演じていました
編:今回の作品は、“音楽隊”がテーマとあって演奏シーンも豊富ですが、楽器の演奏は吹き替えなしだったそうですね。サックス、大変でしたか?
大変でしたねぇ(笑)。サックスは演奏中のシーンで顔のアップになると指までしっかり見えるので、気が抜けなかったです。サックスだけじゃなく、トランペットとかも手元がしっかり映るのでかなり大変だと思うんですけど。曲を覚えなきゃいけなかったですし、楽譜を見ずに演奏しないといけないですし、かなりたくさん練習しました。
サックスの練習で苦労したのは…「リズム感がない」こと
編:演奏シーン、圧巻でした! どれくらいの期間練習したんでしょうか?
練習期間自体は、出演者それぞれで結構バラバラなんですよ。僕自身は、この撮影の練習の時期に別の仕事でベースの練習もしなきゃいけなかったので、同じ時期に二つの楽器を練習してたんです。ベースを弾く仕事のほうが先に撮影だったので、まずはベースをがっつりやらせてもらって、そのあとサックスに取り組む感じでした。そういうのもあって、サックスの練習は結構大変だったなという気持ちが強いです。
編:撮影はちょうど1年前くらいと聞いたのですが、今もまだサックスは演奏できますか?
…いやっ、先日この作品にまつわるお仕事でサックスに触らせていただく機会があったんですけど…。何とか思い出せそうな感じはありましたけど、もう今はリズムに合わせてだと厳しいかなと思います(笑)。僕、本当にリズム感がないので…。
編:演奏シーンからは、そんな様子は全く感じられませんでした。
リズム感、ないんですよ! だから、リズムをとるってのが一番難関なんです。今もまた同じように吹けるかと聞かれたら、リズム感の問題で厳しいと思うんですよね。またサックス奏者を演じてくださいってオファーをもらったら、また1から、いやゼロから? 練習し直しだと思います。
清野菜名さんを見てとても焦った! 撮影現場でのエピソードとは?
編:『異動辞令は音楽隊!』のなかで、高杉さんが「特にここを見てほしい!」と感じる注目ポイントを挙げるならどこですか?
『異動辞令は音楽隊!』の題名の通り、音楽隊の話なので、楽器もでてきますし、エンターテイメントとして華やかな感じになっているので、そこはもちろん注目してもらいたいです。プラスして、注目して欲しいなと思うのは人間模様ですね。阿部さん演じる成瀬を軸に、周りの人間にもいろんなストーリーがありますし、そういう人間模様のなかで、成瀬さんが少しずつ世間から置いていかれてしまう。そんな成瀬さんが、また人と繋がって、音楽と繋がって、徐々に変わっていくという物語なので、その複雑な人間模様をぜひ感じて欲しいなって思います。音楽隊という名前を借りた、人間ドラマな作品だと思っていますね。
編:演奏シーンは代役なしで出演者の皆さんでセッションされたと思いますが、共演者との思い出深いエピソードはありますか?
リハーサルですね。撮影に入る前に、顔合わせ的な感じでみんなで集まってリハーサルがあったんですけど、その時に皆さんめちゃくちゃ楽器ができるようになっていて。僕は全然まだできない状態だったんで、びびっちゃいました。「えっ…もうみんなこんな進んでるんだ」って焦りがすごくて、自分も頑張んなきゃって思った記憶がありますね。その時は、結構置いて行かれちゃってるなって思いました…(笑)。清野(菜名)さんなんて、「もうソロパートいけますよ!」って言ってて。音楽隊ってソロパートになったりすると立ったり、前に出たりして演奏するんですけど、清野さんはそのリハーサル時にもソロパートを立って演奏されていた…。でも、あの日にめちゃくちゃ焦ったから、もっと頑張らなきゃって鼓舞された部分も大きいので、結果的によかったんですけどね。
「音楽や楽器の素晴らしさが伝わったら」作品を通して伝えたいこと
編:公開目前ですが、この映画を通して、見てくださる方にどんなメッセージが伝わったらいいなと思いますか?
いろんなメッセージが込められた作品だと思いますけど、僕が今回この作品に携わってすごく感じたのは、「音楽の力ってすごいな!」ってこと。音楽の力強さとか、感情を動かす力とか、音楽を通していろんな変化が起こるのを直に感じて、楽器や音楽が人間に豊かなものをもたらしてくれるんだなって強く感じました。若い頃に、もっと楽器をやっておけばよかったなって思いましたね。作品を通して、音楽や楽器の素晴らしさに気づいていただけたらいいなと思います。なんとなく聞き流すような関わり方じゃなく、音楽と触れ合うというか、じっくり音楽を聴くことって素敵だなっいうのが伝わったらうれしいですね。
(c)2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会
8月26日(金)より全国公開中
映画 『異動辞令は音楽隊!』
成瀬司(阿部寛)は、違法すれすれの捜査や組織を乱す個人プレーで仕事を進める55歳の鬼刑事。しかし、そのスタイルがもとでトラブルを生み、警察音楽隊に異動させられてしまう。自動車警ら隊と兼任するサックスの北村裕司(高杉真宙)や、子育てと交通課の仕事を両立するトランペットの春子(清野菜名)は、威圧的な成瀬の態度に反発し、敵視するようになって—-。
フォトギャラリー(全4枚)
撮影/木村 敦 ヘアメーク/堤紗也香 スタイリング/荒木大輔 構成/宮島彰子(JJ編集室)