女優・加藤あいさん(40歳) 今は3児の母「ママ友と、失われた青春を取り戻しています」

女優として多忙な10代20代を過ごしてきた加藤あいさん。40歳になった現在は、3児の母となり子育て中心の生活を送っています。「仕事と子育てを同時に器用にこなせるタイプではない」と語りますが、話の端々から感じられるのは、まっすぐに大切に子育ての時間を慈しむ姿勢。仕事と育児とのバランスの取り方や等身大の子育てについて、親近感の湧くエピソードとともにたっぷり語っていただきました。

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《Profile》
1982年12月12日生まれ。愛知県出身。13歳でデビューし、1997年にドラマで女優デビューして以降は数多くの作品、広告CMに出演。主な作品に映画『海猿』シリーズ、TBSドラマ「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)など。現在は3児の母で、子育て中心のライフスタイルで『美ST』をはじめ雑誌などで活躍中。実は美ST愛読者で、スタッフが驚くほどコスメ情報に精通した一面も。公式サイト https://www.katoai.jp/

お話を伺ったのは……女優・加藤あいさん(40歳)

人前に出るのが得意ではなく「はじめまして」の人が多い仕事柄もあり、心配性な私は新しい仕事がスタートする前には大きな不安を抱いてばかりでした。あまり器用なタイプではないから、この仕事に向いていないのかもしれないと随分悩んだこともあります。 実は吹っ切れてきたのはここ最近のこと。これも年の功なのか忙しく子育てしているからなのか、楽観的になりましたね。羞恥心(笑)も薄れたというか。3人の子供たちに目や手をかける日々で、思い悩む時間の余裕がないのがいいのかもしれません。精神的には強くなったと思います。 出産する前はものすごい量のスケジュールをこなしていたので、その場その場での瞬発力がより求められていたようにも思います。産後は家庭中心・育児中心の働き方になり、生活がガラリと一変。お仕事のボリュームが減ったからこそ、じっくりひとつひとつのお仕事に向き合い楽しめている自分がいます。 久しぶりにお仕事させていただくと、そのたびに発見があります。たとえば雑誌の撮影はチームでアイデアを出し合い、試行錯誤して丁寧に作り込んでいく作業。そのプロセスもお芝居の現場とはまた違って新鮮ですね。新しいコスメや普段は着ないテイストの衣装に触れるのも刺激になり、とにかく楽しい!これは家庭を持ちながら働くすべての女性に共通することかもしれませんが、お仕事の時間は忙しく大変なこともある反面、リフレッシュにもなっている気がします。普段は子供から離れている時間がほとんどないぶん、貴重ですね。

子供が「ママがTVに出てる!?」と知ったのはお友達経由

上の子はわたしが働いていることは分かっていましたが、芸能のお仕事だとは伝えていなかったんです。「ママはドラマに出ているよ、雑誌に出ているんだよ」なんて子供が外で言ったら恥ずかしいじゃないですか(笑)。ずっと告げずにいましたが、ある日お友達から「あなたのママってTVに出てるんでしょ?」って言われたみたいで、いつの間にか知っていました。それからは、わたしが掲載されている誌面を一緒に見るように。 仕事をするのはなるべく子供たちが登校していたり家にいない時にするようにしていて、あまりわたしが外に働きに出かけている実感はないかもしれませんが、子供たちなりに「ママはこういうお仕事をしている」とは理解しているようです。

子育てをしていて嬉しいことですか?子供たちがサプライズでよくお手紙をくれるのですが、それが嬉しいですね。サプライズがバレバレだったり(笑)、内容も「いつもありがとう」「ママだいすき」という感じで大体いつも同じなのですが、たどたどしかった文字や拙い絵が少しずつ上達していて…。大切に保管しています。

そういえば、学校の授業で「お母さんの好きなところ」を書くものがあったのですが、なんて書いているのかなと思ったら「元気がない時にいつも励ましてくれるところ」と書いてあったんです。子供が3人もいると、どうしてもニコニコしてばかりはいられません。ガミガミ言いたくなくても叱らないといけない場面もある。眉間のシワも増えるし(苦笑)、怒ってばかりに見られているかなと思っていたので、この言葉は嬉しかったですね。ああ、気持ちは伝わっているんだなと。子供たちにとって、いつも一番の味方でありたいですから。

完璧な状況はない。だから、 心地良いほうを直感で選ぶ

もともと専業主婦志向だったわけではありません。現実的に考えて、自分のちょっと完璧主義なところや真面目すぎる部分が家庭とお仕事の両立には向いていないかもしれないと考えました。お仕事を全くしないという訳ではありませんが、どちらもと欲張ると、どちらも中途半端になってしまいそうだなと。 望みって持ち始めるとキリがない。だから、あまりこれがベストだと望みを強く持ちすぎないようにしています。深く考えた結果というより、心地良さや楽しさを優先するようにしているんです。今は迷いなく家庭優先。日々の暮らしを楽しめている今この時を大切に思い、感謝しています。

ママ友と過ごす今、取り戻す 「失われた」青春時代

毎日、送り迎えや公園遊びなどバタバタしていますが、ともに子育ての悩みを共有し励まし合える、子供を介して知り合った方々の存在はありがたいです。周囲にいてくださるママさんたちは忙しくて大変な局面でも、ポジティブでキラキラしているんです。そういう部分がとても尊敬できるし良い刺激をもらえてます。親子ぐるみでワイワイとにぎやかに過ごす時、「学生時代に叶えられなかった青春って、こんな感じなのかな」とふと思ったりします。当時は忙しすぎて青春時代はないに等しかったですから。この子育て期間を積極的に楽しみたいですね。 子育てに限らず、忙しくてプレッシャーも多かった10代20代、試行錯誤した30代を経て、年々肩から力が抜けて楽しくなってきました。年齢を重ねるたびに拘りやプレッシャーから解放されてきた感じです。50代、60代の先輩方もとっても楽しそうにされていますし、そういう姿を拝見していると「自分ももっともっと楽しもう」と元気をもらえます。40代に突入した今が一番楽しい!これからも年齢に囚われすぎずに、年々楽しみを増やしていきたいと思っています。

《衣装クレジット》 ワンピース¥59,400(ソブ/フィルム) ピアス¥14,300、ブレスレット¥13,200(ともにステラハリウッド) 《お問い合わせ先》 フィルム ☎︎03-5413-4141 ステラハリウッド ☎︎03-6419-7480

撮影/岡本俊 ヘア・メーク/千吉良恵子(cheek one) スタイリスト/井関かおり 取材/吉田瑞穂 編集/浜野彩希

美ST