【渡邊圭祐さんインタビュー】11月上演の『無駄な抵抗』で3度目の舞台作品に挑戦!
ドラマ『チェイサーゲーム』や映画『わたしの幸せな結婚』など、さまざまな映像作品で活躍している渡邊圭祐さん。11月に世田谷パブリックシアターで開幕する舞台『無駄な抵抗』に出演。スペシャルインタビュー前編では舞台のお話について伺いました。
――’21年、世田谷パブリックシアターでの『彼女を笑う人がいても』が渡邊さんの初舞台。演出は栗山民也さんでした。今作も初舞台と同じ劇場での公演となりますが、どんな思いがありますか?
また世田谷パブリックシアターでできるんだっていう喜びはもちろんあります。初めての舞台で栗山さんの演出を経験できたことは光栄なことでしたし、初舞台ではとにかく学ぶことが多くてすごくいろんなことを教えていただきました。それまで映像作品しかやってきていなかったので、一つのセリフに時間をかけることや同じことを何度も何度も突きつめていくこと、それをカンパニーのみんなで積み上げていくという舞台ならではの喜びを知れたことは大きかったですし、よかったなと思っています。
――初めての経験で「舞台って大変だな」とは思いませんでしたか?
思いました。体力を使いますし、稽古から公演まで約3カ月間、同じ作品に関わって考え続けることってなかなかできることじゃないと思うんです。それを年に何本もやってらっしゃる方もいる。その境地には今の僕は立てないかもしれませんが、だからやりたくないというようなマイナスな気持ちはまったくないです。
――今回は、独創的な視点で不思議な世界を描く前川知大さん作・演出の作品。前川さんの舞台作品はご覧になったことはありますか?
先日、前川さんが主宰する劇団イキウメの『人魂を届けに』を観ました(※取材は6月)。すごくメッセージ性が強いというか、前川さんのなかのアンチテーゼを作品に昇華させて、現代にぶつけている気がしました。観終わった後は、自分の今や生き方について考えさせられる作品でした。
――今作は古代ギリシャ悲劇をベースに「運命」と「自由意志」をテーマに描くという新作。タイトルは『無駄な抵抗』です。どんな印象をもっていますか? 楽しみにしていることは?
前川さんからいろいろお話を聞いたとき、「字面を見るとマイナスなメッセージを連想させてしまうかもしれないけれど、そうではない」とおっしゃっていました。登場人物が無駄な抵抗をしていく話ですが、役を生ききりたいと思います。自分の役割を果たしたいです。そして観に来てくださった方がポジティブな気持ちになって帰ってもらえるような、光が見えるようなものだといいなと思っています。個人的な楽しみとしては、イキウメの方々と共演できること。劇団員の方がキャストにいらっしゃるのは初めての経験なので、劇団の空気感や色、その作り方に触れられるのは楽しみです。どんなふうに自分が混ざっていけるのかもすごく楽しみです。
――イキウメの劇団員の方々に加え、演劇界の大先輩である池谷のぶえさんや松雪泰子さんなど、多くの舞台人との共演となります。
皆さんと作品のなかでどういうふうに関わっていくかにもよりますが、稽古期間に吸収できるものは吸収して、お話しできることはお話しして、ディスカッションしながら学ばせていただければと思っています。
――今作で舞台出演は3作目となりますが、舞台演劇の好きなところ、正直ちょっと大変だなと思うところも教えてください。
大人が知恵を出し合って言葉ひとつに熱量を注ぐというのは、舞台でないとないことなのかなと。もちろん映像でもどんな作品でもいろんな方が熱を注いで作っているのですが、僕ら俳優が参加できるところっていう意味では、舞台ならではのものかなと思います。熱が一つの方向に集中している瞬間はすごく楽しいですし、しかも何カ月も長い時間をかける。そういうところが好きです。ただ、気をつけなければと思っているところは、同じことを続けると自分のなかで飽きがきてしまうんです。型にはまっちゃうというか。そうならないようにしたいです。それぞれのキャストの方から発せられる言葉というのは、音こそ同じだけど中味の濃さや熱量が毎回、違う。そういうところも楽しみながらやらないと、自分自身が腐ってしまうというか。自分が透けて見えてしまう。「今、置きにいったな」って思う瞬間がないように、気をつけなければと思っています。
渡邊圭祐
‘93年11月21日生まれ 宮城県出身●’18~‘19年『仮面ライダージオウ』でデビュー。ウォズ/仮面ライダーウォズ役を好演し注目を集める。最近の主な出演作はドラマ『チェイサーゲーム』『私のシてくれないフェロモン彼氏』、映画『ブラックナイトパレード』『恋のいばら』『わたしの幸せな結婚』、舞台『彼女を笑う人がいても』『アンナ・カレーニナ』など。WOWOW連続ドラマW-30『アオハライド Season1』が9月22日より放送・配信スタート。WOWOW連続ドラマW『OZU~小津安二郎が描いた物語~』が11月に放送予定。
『無駄な抵抗』
独創的な視点で不思議な世界を描く前川知大と世田谷パブリックシアターのタッグによる新作。ギリシャ悲劇をベースに「運命」を描く。舞台は現代。日常において、人生を大きく左右する選択や自分ではどうにもならないことにどう対処するのか。誰もが人生で経験することに自由意志と運命がどう拮抗するのかに迫る。作・演出/前川知大 出演/池谷のぶえ 渡邊圭祐 安井順平 穂志もえか 松雪泰子ほか。●11月11日(土)~26日(日)世田谷パブリックシアターhttps://setagaya-pt.jp 12月9日(土)~10日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール https://www.gcenter-hyogo.jp/
【衣装】ジャケット¥385,000ニット¥437,800パンツ¥123,200(すべてゼニア/ゼニア カスタマーサービス 03-5114-5300)
撮影/杉本大希 ヘアメーク/木内真奈美(Otie) スタイリング/荒木大輔 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)