【吉本ばななさん&千葉雄大さん対談】犬のおならにバンジージャンプ…二人が思う“幸せへのスイッチ”

いつでもどこでも気軽に音声でコンテンツを楽しむことができるAudibleと、第一線で活躍中の作家、そして出版社がコラボレーションした“オーディオファースト作品”を知っていますか? 12月15日(金)から配信スタートした吉本ばななさんの作品『幸せへのセンサー』について、作家の吉本ばななさんと朗読を務める俳優の千葉雄大さんにお話を伺ってきました。

「目的に近づきたいときこそ、目的意識のないことをしてみて」吉本さんからのアドバイス

-『幸せへのセンサー』は、吉本

-『幸せへのセンサー』は、吉本さんご自身が長い人生の中で見つけた物事との向き合い方の答えを私たちに優しく教えてくれるような内容だと感じました。まだなかなかそういった答えにたどり着けないCLASSY.世代に、幸せのためのヒントをアドバイスするなら、なんと伝えますか?

吉本さん:なんでもないときに自分の周りに空間を作ることができたらいいんじゃないかなって思います。そうすることで、ちょっとゆとりが生まれるんじゃないかなと。たとえば、電車に乗っているからって、それに飲み込まれなくてもいい。何か聴いたり、読んだり、外の景色を眺めてみたり。そういうことのほうに集中すると、より人間味が出てくるんじゃないかなって。

あとは、目的を持ってそればかり見ているよりも、目的意識のないことをいっぱいしてみるといいんじゃないかなって思います。要するに、余裕があったほうがいいってことです。

「選択肢をたくさん持っていることは余裕やゆとりにつながる」千葉さんが思う本作の魅力

-今回の作品『幸せへのセンサー

-今回の作品『幸せへのセンサー』について、吉本さんご自身は同世代の方にはお説教のように受け取られるのではないか、とおっしゃっていましたが、千葉さんはこの作品からどんなことを感じましたか?

千葉さん:僕は全然説教くささみたいなものは微塵も感じなくて。どうしてかというと、さまざまな、そして細やかなシチュエーションで、そういうときにはこういう考え方もあるんだよ、って教えてくれている感じがするんですよね。「こうするといい」という“HOW TO”ではなくて、「こういう選択肢もあるんだよ」という形で与えてくれる。多くの選択肢を知ることができるというのが、余裕とかゆとりなんじゃないかなって思います。ご自身の経験を踏まえて、こういう人と出会ってこういうことを言われたとか、お父様からこんな言葉をもらったとか、具体的なのもいいなって。具体的に伝えてくれることで、より受け手にとって現実的に、現実味をもって伝わってくるところも素敵だなと思いました。

犬のおならにバンジージャンプ…二人の“幸せへのスイッチ”はどこにある?

-『幸せへのセンサー』というタ

-『幸せへのセンサー』というタイトルにかけて、お二人の“幸せだな”という気持ちにスイッチを入れてくれるモノ・コトについて教えてください。

吉本さん:幸せって待ってると来ない感じはしますね。でも、取りに行くと逃げていっちゃう。ぼやっとしてるときほど、幸せが来るみたいなところはあるかなと。最近幸せを感じたのは、家で飼い犬が目の前で屁をこいたとき。録画していた『にけつッ!!』という番組を見ていて、ケンドーコバヤシさんが「おならっていうのはうんこと同じなんだ!」って言ったちょうどそのときに、目の前の犬がおならしたんです。なんか嫌なんだけど、なんか幸せって思いました。伝わりますか?この幸せ感(笑)。これとこれが重なることある?という驚きで、幸せだなって思ったんです。

千葉さん:(ひとしきり爆笑したあとに)僕はそのときそのときで幸せって感じるスイッチが違うんですよね。ものすごく毎日が立て込んでいるときは、朝起きてごはんを作って、掃除をして、という普段の行いのなかで幸せだなって思いますし、ディズニーランドに行ったときには、それもすごく幸せですし。

吉本さん:テレビでバンジージャンプを飛んでいるのを見かけましたけど、それは?

千葉さん:めちゃくちゃ怖かったんですけど、自分でやりたいって言っちゃったから引くに引けなくて飛びましたね。下が川になっている世界遺産の橋から飛んだんですけど、余裕なかったです、あれは(笑)。

吉本さん:あんなことをするなんてすごい!と思って、見ている私は(千葉さんの姿に)幸せを感じました。

千葉さん:バンジージャンプに限らず、初めてのことをするのは怖いけど楽しいですよね。あと、その姿を見てくださった方に感想をもらえるとやってよかったなって思います。現地のディレクターさんは、僕のバンジージャンプを見てゲラゲラ笑っていたんですけど、僕的にはそれもうれしくて。「最高のものが撮れました」って言ってくれて、ハッピーでしたね。

体の声に耳を傾けてーー今すぐできる“幸せを感じるセンサー”の磨き方

-『幸せへのセンサー』の中に、

-『幸せへのセンサー』の中に、自分のセンサーを磨いておくことが大事、とありますが、お二人が“幸せを感じるセンサー”が鈍らないよう心がけていることはありますか?

吉本さん:体の感覚がすごく大切だなと思います。日によって自分でカスタマイズできるといいなって。「今日は元気を出したいから油ものを食べた方がいいな」とか、ひとつひとつは大したことじゃないんだけど、そういうのができなくなっちゃうと、心に余裕がなくなるのかなって。自分の体の声に耳を傾けることは、一番大事にしています。もしその通りにすることができなくても、傾けることだけならできるので。すごく眠いとき、すぐに寝ることは敵わなくても、「本当は眠いんだね」と聞いてあげることが大事だなって思います。

千葉さん:心がけているというわけではないんですが、吉本さんのお話を聞いてなるほどなと思いました。「今日はどうしてもはまぐりの酒蒸しが食べたい」みたいに思うことってあるじゃないですか。それをうんちく好きの友達に話したら、「それはこの成分にこういう作用があるからなんだよ」って説明してくれたことがあって。そうか、疲れてるからはまぐりの酒蒸しが食べたかったんだ、なんかすごいなって思ったんです。そういうのって、素直に従った方がいい時もあるなって思いました。毎日ラーメン食べたい!っていうのは、ダメかもしれないんですけど(笑)。

吉本さん:すごく小さいことだけど、体の声が聞けるかどうかがのちのち響いてくる気がします。

千葉さん:めちゃくちゃ疲れてるけど今日どうしても飲みに行きたい、って時もありますね。睡眠だけじゃ補えないリフレッシュってあると思います。人と話す時間はすごく大事だなと思うし。会わないでテキストだけでやりとりしてると相手のことをすごい冷たく感じたりするけれど、会って同じような事柄を話したときには全然たいしたことなかったり。会ってみないとわからないことってあると思うので、一人で悶々と考えるよりは会って話すほうがいいんじゃないかな、と思います。

Audibleオーディオファースト作品『幸せへのセンサー』
2023年12月15日(金)配信スタート
著者:吉本ばなな
ナレーター:千葉雄大
構成:瀧晴巳

人生に悩み、少し、歩き疲れてしまったあなたに。吉本ばなながさんおくる、自分自身を取り戻すための珠玉の言葉たち。日常の中でただ、丸ごと自分を受け入れること。吉本さんが考える幸せへのヒントたちを綴った作品を、俳優・千葉雄大さんが朗読する。まず最初にAudibleより「音声」で提供され、そのあと書籍として出版される“オーディオファースト作品”。後日幻冬舎から出版予定。

Audibleオーディオファースト作品『幸せへのセンサー』はこちら
https://www.audible.co.jp/pd/B0CNXCZJ53

撮影/木村 敦(Ajoite) 取材・構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)