子役として国民的人気となった間下このみさんの「人生の宝物」とは?

幼いときに芸能界にデビューし、人気絶頂を経験したアイドルや子役さんたち。大人になっても芸能活動を続けている方もいれば、違う世界に飛び込んだ方もいます。STORY世代になった今、当時自分に向けられた熱狂をどう感じているか、また、それが、その後の人生にどんな影響を与えたのかを、お話しいただきました。

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間下このみさん 45歳・千葉県在住
写真作家・タレント

名前を知っていてくれるだけで
うれしい。子役時代を経た「今」は
私の人生の宝物

「がんばれ、がんばれ、玄さん!」。小さな女の子の可愛らしい応援が印象的な、キッコーマンのCMでお茶の間の注目を集め、ドラマ「スクールウォーズ」や、バラエティ「所さんのただものではない!」などの出演で、一躍国民的子役スターとなった間下このみさん。小学生になるまで楽しめれば……と始めた芸能活動でしたが、ブレーク後は仕事が急増し、やめられるような状況ではなくなりました。

「当時は放課後に遊びに行くような感覚だったので楽しくて、忙しくても嫌だと思ったことはありませんでした。でも、中学生になったら勉強もしたいし部活もしたい。普通の学生生活をきちんと送ってみたいという思いが強かったんです」。私立中学への入学を機に、間下さんは芸能活動を控えるようになりました。

高校生になると進路を考え、お芝居以外にも自分を表現する方法はないか模索し始めます。そんなとき、たまたま目に入ったのがお父様の趣味だったカメラ。本格的に写真を学ぶため高校を卒業すると東京の専門学校に2年通い、その後アメリカの大学へ留学しました。

「流行りやかっこよさを意識した写真を撮っていた東京の学校と違い、アメリカの大学では、山ばかり撮る人、電車ばかり撮る人など、撮りたい物も撮り方も人それぞれ。でもみんな『自分は電車のことはわからないけど、すごくいい写真だね』って認め合うんですよね。かっこいいとか、かっこよくないとかではなく、いろんな写真があっていいというのは、アメリカの友達や環境に教えてもらいました」。

間下さんが好きなのは、身近な場所を切り取り方によって素敵に魅せるような風景写真。帰国後は写真作家として活動をスタートしますが、妊娠中に難病に罹患していることがわかり、闘病しながら出産した娘さんとの時間を優先してきたため、これからまた少しずつ活動を増やしていければと話します。一方でタレント活動にも前向きです。きっかけは昨年11月、間下さんが10歳のときに出演していた「機動刑事ジバン」が放映され、今人気となっているエクアドルのイベントに呼ばれたことでした。

「芸能の仕事は、いいときもあれば悪いときもあってうまくいかないこともたくさん。多感な時期は親に対して〝なんでこんな仕事を私にさせたの?〟と思ったこともありますし、間下このみという名前に正直苦しめられたこともありました。
でも今は、名前を憶えてくれているだけでありがたいし、遠いエクアドルの地で、『まゆみ! まゆみ!』とまるでアイドルのように、大勢の方に役名で呼んでもらえるのも、私の人生の宝物。これからも少しずつ、そんな宝物を増やしていけたらなと思っています」。

写真作家に転身

昨年「機動刑事ジバン」のまゆみ役としてイベントに出席するため訪れたエクアドルの街中で間下さんが撮った1枚。高校で写真部に入っている娘さんと、画角についてあーだこーだ話せることも今は楽しいという。いつか母娘で一緒に何かを作れたら…という夢もある。

「娘も大きくなり、多少自分の時間が持て始めたので、楽しいと感じることをたくさんやっていきたい。もちろんその一つが写真。旅行に行って撮ったりするのもいいですよね」。

Her history

2歳半でモデルクラブ所属近所に住む友達の付き添いで、連れられて行ったのがきっかけ。事務所に出したこの写真の撮影はお父さん。
CMやドラマに引っ張りだこの子役時代聖子ちゃんが好きで目立ちたがり屋だった幼少期。伝説の熱血ラグビードラマ「スクールウォーズ」に出演。
写真作家を目指してアメリカへ留学英語は苦手だったが「なんとかなるだろう」と半分勢いで渡米。この留学で人生観が変わったという。
写真作家としてデビュー作がヒット『届かなかったラヴレター あの空の向こう』は、ビジュアルブックとしては異例のヒットを記録する。

<編集後記>人生を良くするのは「マイナス をプラスに変換する力」かも

テレビで活躍するキラキラした同年代を、子どもの頃は羨ましいと思うこともありましたが、どこに行っても名前を知られていることの大変さを知りました。「でも、バイトの面接は勝率高かったですよ(笑)」なんて冗談ながらに、話をプラスに変えようとする間下さんは素敵で、私にとっては今も憧れの〝このみちゃん〟でした。(ライター 篠原亜由美)

撮影/BOCO 取材/篠原亜由美 ※情報は2023年11号掲載時のものです。

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