【漢字】「寿ぐ=ひさぐ」は間違い!実は読めそうで読めない漢字3選|CLASSY.
CLASSY.ONLINEではおなじみ、「読み間違いやすい漢字」連載。今回は、正月らしくおめでたい雰囲気のある「ちょっと読めない漢字」を紹介します。
1.「寿ぐ」
最初は、「寿ぐ」です。おめでたい言葉から、始めましょう。何と読むでしょうか? 例文は「新春を寿ぐ」。
「ひさぐ」「ことぶきぐ」と読んだ方はいませんか? たしかに、常用漢字「寿」には、「ジュ/ことぶき」
の読みがありますが、そうではありません。正解は「ことほ・ぐ」でした。意味は「祝って喜びの言葉を述べる」で、「言祝ぐ」と書いても、同じ読み方をします。もともと、古語に「祝く(ほく・ほぐ)=祝福の言葉を述べる」がありました。
なお、「寿」の字は、現在では「おめでたい」こと全般に使っていますが、もともとは「年老いて長生きをする」の意味であることから、「長寿(のお祝い)」を表わすようになったものです。
2.「祝詞」
次は、「祝詞」です。何と読むでしょうか? 例文は「神前において、神官が祝詞をあげる」。
「しゅくじ」あるいは「しゅくし」と読んだ方はいませんか? まず、「しゅくじ」は「祝辞」ですね。また、「祝詞」自体は、「シュクシ」とも読みますが、例文には「神前」「神官」とありますので、「のりと」と読むのが正解です。「祝詞」とは、「神事の時に神官が神前で唱える古体の言葉」のことですが、「のり」は、「宣言すること」を意味する「宣る(のる)」が名詞になったもの。「と」は諸説ありますが、「もの=言葉」と考えられます。
3.「頌春」
最後は、「頌春」です。年賀状でよく見かける言葉です。何と読むでしょうか? 例文は「頌春とは、新春をたたえる挨拶の言葉」。
「コウシュン」と読んだ方もいるのではないでしょうか? たしかに「頌」の漢字の中に「公」がありますが、正解は「ショウシュン」でした。意味は例文のとおり。この「頌」は、常用漢字外ですが、主な音読みに「ショウ」、同じく訓読みに「ほめる・たたえる」があります。「頌春」以外で見かけるとすれば、「頌栄(ショウエイ)」「讃頌(サンショウ)」「頌歌(ショウカ)」くらいでしょうか。「頌」の意味は、いずれも「ほめたたえる」ですね。
なお、年賀状で「頌春」を使う場合の留意点をふたつ。「頌春」の言葉に続けて、「あけましておめでとうございます」などとは書かないこと(意味が重複してしまいます)。また、目上の人に対する賀状には使わないこと(賀詞は漢字四文字が正式です。「謹賀新年」などを使うとよいでしょう)。
さて、お正月につきものの話題といえば、「今年の『干支(えと)』は……」ですが、今年の「干支」は、「辰(たつ)」ではなく、正しくは「甲辰(きのえたつ)」であることをご存じでしたか?
十二支を「干支」の意味で用いることもありますが、本来、「十干(じっかん)」と「十二支」を組み合わせたものを「干支」と言います。聞き慣れないほうの「十干」とは、「甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)」から成り立っています。この十干と十二支と組み合わせたものが、「十干十二支」、つまり「干支」になるわけですね。「甲子(こうし)園」とか「戊辰(ぼしん)戦争」などの名称に、この「干支」が使われています。60年で一回りすることから、これを「還暦(かんれき)」というわけです。では、今回はこのへんで。
《参考文献》「広辞苑 第六版」(岩波書店)/「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)/「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)/「新字源」(角川書店)/「難読漢字辞典」(三省堂)/「古語林」(大修館書店)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)