SixTONES・松村北斗さん×上白石萌音さんW主演! 映画『夜明けのすべて』プレミアナイト・レポート【会見全文書き起こし】

1月26日発売のCLASSY.3月号 スペシャル・エディション版でカバーを飾るSixTONESの松村北斗さん。松村さんと上白石萌音さんがW主演する、2月9日公開の映画『夜明けのすべて』のプレミアナイトがTOHOシネマズ 六本木ヒルズで開催されました。イベントでは主演のお二人に加え、光石 研さん、三宅 唱監督が登壇。4人の挨拶とトークを全文書き起こしでレポートします!

星空をイメージしたライトが輝く

星空をイメージしたライトが輝く劇場で行われたプレミアナイト・イベント。1分40秒の予告編上映後、カメラのフラッシュと盛大な拍手のなかキャスト3人と監督が客席中央の扉から登場! まずは皆さんのひとこと挨拶から始まりました。

MC「ご紹介をさせていただきます。以前は恋愛も仕事も順調だったが、パニック障害を抱えたことで人生が一変する山添くんを演じられました松村北斗さん、お願いします」
松村「どうも松村北斗です。この映画は語ったら長くはなってしまいますが、原作の帯にもあったように〝生きるのが少し楽になる〝、そんな作品になっています。ここにいる皆さんはもちろんのこと、この映画が届く限りのすべての人が少しでも楽になるようにこの映画が広く届けばいいなと思っております。今日はよろしくお願いします」
MC「続きまして、普段はおおらかな性格だが、PMSによって月に一度イライラが抑えられず怒りを爆発させてしまう藤沢さんを演じられました上白石萌音さん、お願いします」
上白石「こんばんは。今日はお集まりいただきありがとうございます。あの、撮影してたときから私、この映画が大好きだなとずっと思ってまして、手前みそなんですが、今もその気持ちがどんどん大きくなってきているところです。なので、公開が近づくのをすごく楽しみにしていました。今日初めてお客様方に観ていただける日なのでとてもウキウキですが、楽しい時間になればいいなと思っております。よろしくお願いします」
MC「続きまして、山添くんと藤沢さんが務める栗田科学の社長、栗田和夫を演じられました光石 研さんです。お願いします」
光石「こんばんわ、光石 研です。今日、寒かったですね。本当に寒いなか、おいでいただきありがとうございます。この映画は、自信を持って提供できる映画になっております。今日帰り、皆さん、ご飯に行ってください。素敵な夜になると思います。いい夢見られると思います。楽しんで帰ってください」
MC「そして最後に、監督と共同脚本を担当されております三宅 唱監督です。お願いします」
三宅「三宅です。こんばんわ。今回、素晴らしい小説を素晴らしい俳優たちと素晴らしいスタッフと作ることができまして、ようやく皆さんに観ていただけるというのは本当に嬉しくて仕方がないなと思います。三人も本当に素晴らしいですし、それ以外にも素晴らしい俳優たちがいっぱい出てくるっていうものになってます。ぜひご覧ください」
MC「今回W主演を務められる松村さんと上白石さんのお二人は、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』以来の共演で、映画としては初共演となります。朝ドラで演じられていた夫婦役とはまた違った関係とはなりますが、互いに救い合う特別な関係を演じられました。共演を重ねたなかで感じた、お互いの俳優としての魅力を松村さんから教えてください」
松村「二つくらいに絞ったほうがいいですよね?」
MC「たくさんでもいいですよ」
松村「いいですか? 時間足りないと思いますんで。いろんなところでよく答えるのは、瞬発力という感情を爆発させる力とかもありますが、その場になじむ力というか。なじむって言うと月並みですけども。特にこの映画っていうのは、観ていただいたらわかると思うんですけど、何が主人公かって言うと街なんじゃないかなって思うような映画で。間違ってませんよね? 街が主役というか…。その街にどれだけ違和感がないかっていうのは大事だと思うんですけど、(上白石さんは)初日のワンシーンから本当に15分くらいかけて家から歩いてこの会社に来たのかなと思うようなたたずまいと声の使い方、しゃべり方をされるんですよ。なんだろうな、何を感じてるのか僕はわかんないんですけど、そこの感覚はものすごい鋭い。それは朝ドラもそうだったんですけど、時代を感じ取って自分に反映する。そこは本当にもう追随を許さないんじゃないかなと」
上白石「(笑)。ちょっとだけイジってますよね?」
松村「いえいえ。本当に」
MC「上白石さん、現場で何か意識されていることはあるんですか?」
上白石「いえもう、ここにいさえすればいいんだなっていう現場を監督はじめスタッフの皆さん、キャストの皆さんがすでに作っていてくださったので、そこに行けば藤沢さんがわかるっていう状態になってましたね。そうなれたのはやはりキャストの皆さんの力もあるし、松村先生の…」
松村「おおっ! 先生でした?(笑) すみません」
上白石「はい(笑)。本当にこの方々の胸をお借りしてやれば大丈夫っていう安心感のある現場にしていただけてありがたいです」

MC「上白石さんから見た、松村

MC「上白石さんから見た、松村さんの俳優としての魅力はどうですか?
上白石「本当に、他の追随を許さない…」
全員 「(笑)」
(上白石さんの言葉に応えて、松村さんが無言で胸に手を当てて一礼。その仕草に場内は笑いと拍手が起こり、和んできた空気に対して)
三宅「なんとなく僕らも緊張してますけど、お客さんも、楽しみにしてると思うけどもしかして緊張してらっしゃるのかなと思うくらい、集中して聞いてくださってるんだが…」
上白石「(劇場に)入ってくるときの音楽がリラクゼーション・スパみたいな(笑)。どうしたらいいんだろうって(笑)」
光石「(笑)。やっとなんかゆるくなってきましたね」
上白石「(話に戻って)あの、場所になじむって言ってくださったんですけど、松村さんは役にとけ込むのが本当に早い方というか。なんかもう、その人として始めからいらっしゃるし、その人として話すことをすごく自然にされる方なんで。でも普段の松村さんは役に入っているときとは全然違っていて、すぐにシューって人に溶け込んで入れる役者さんっていう感じがしていて、本当にいつも引っ張っていただいているなと」
(松村さんは「いえいえ」と言わんばかりに無言で首を振り、またも胸に手を当てて一礼)
光石「はっはっは (笑)」
三宅「どういう闘いだったの?(笑) 俺には見えんかったわ(笑)」
上白石「(笑)。闘いですね、完全に」
MC「まだまだお互いの魅力が出てきそうですが、他にもありますか?」
上白石「えーっつ!(笑)」
松村「いいんですか? じゃあこの後、観ていただくってことで、先ほどさらっと飛ばした瞬発力の話…」
上白石「もういいです、いいです、いいです。これ言えば言うほどハードルがあがります(笑)」
MC「では、再共演ならではのエピソードはありましたか?」
松村「『カムカム』のとき、実はさして話してないんですよね」
上白石「そうなんです。撮影期間も短かったですし。いっぱいいっぱいでしたね」
松村「岡山弁を覚えるのに必死だったので。今回初めて人柄であったり、そういったものを知っていく感じでした」
上白石「やっと知れたっていう感じです。はい」

MC「松村さん、上白石さん、光

MC「松村さん、上白石さん、光石さんは三宅監督の作品には初出演となります。国内外で高く評価されている監督ですが、光石さん、現場での演出とかコミュニケーションの取り方など印象はいかがでしたか?」
光石「本当に三宅さんの評価というか評判は他の映画人からたくさん聞いてましたんで、お声をかけていただいたときは本当に嬉しくて。さっきもみんなで話してたんですけど、おっかない監督かなって最初は思ってたんだけど、」
上白石「思ってましたね」
松村「こわもてな感じでね」
光石「全然そんなことなくて。ものすごくリーダーシップというか、引っ張っていくところ、いわゆる三宅組を統率することにかけてはすごいリーダーシップを持っている監督だなって感じましたね。ものすごくバランスよくスタッフも引っ張っていくし、僕らにも寄り添ってくれるっていう感じだなと思いましたけど。はい」
MC「いろんな監督とご一緒されてる光石さんでも、最初は怖かったですか?」
光石「怖かったですよ。この容姿ですからね(笑)」
三宅「僕は最初、緊張しましたよ。それこそいろいろな作品を観てきましたから。初めてお会いするときは光栄だなと思ったし、ファンだったので嬉しかったです」
光石「いやいやいや。でね、できた映画もヒリヒリするような。こういう話ですけど、次に何が起こるんだろうって目が離せなくなるんですよね、監督の映画は。それはやっぱり、もちろんスタッフはじめ皆さんの力もあるんですけど、本当にバランスの取れたいい映画だなってすごく思いました。…すみません、なんか。まともなこと言って」
上白石「いえいえ」
松村「(笑)。素敵な、素敵な」
MC「上白石さんは、何か印象的なことはありましたか?」
上白石「本当に現場が楽しくて。それってきっと監督が誰よりも楽しんでいらしたからかなと。忘れられないのが、初日のワンシーンめを取り終わった瞬間に監督が『取り終わっちゃった、寂しい~』っておっしゃったんですよ。それで私たちがビックリして『もう寂しいんですか?』って言ったら、『だって映画撮るのって楽しくね?』って言ってて(笑)」
三宅「恥ずかしいな、それすごい。なんだろなあ(笑)」
上白石「営業妨害ですか?(笑)」
三宅「いや、そんなことない(笑)。でも撮るのは楽しいですからね。楽しませてもらいました」
上白石「その楽しさで連れていってくださる感じで、いやな緊張感とかがなかったですよね」
松村「なかったですね、まったく。むしろ、僕らに『今ちょっと違和感あるかもしんないけど、どう思う?』って聞いてくれたり。『僕らはないですけど』って言ったら『OK!じゃあいっちゃおう』とか。逆にこういう違和感があるって言えば『確かに!』とか。それは僕らにだけじゃなくて、三宅さんの下についているであろうスタッフさん達にも何か言われたら、『確かに。それだ』って採用していたり。とにかくみんなが本当にフラットに一丸となっているというか、みんなで作ったんだ、自分は端っこにいる人間じゃないんだって全員に思わせてくれるような。映画を作りながら人間関係も作っているような、そんな素敵な現場でした」
三宅「しゃべったほうがいいですよね?(笑) 別に僕のことがどうじゃなく、そういう小説なんですよ。そういう映画、そういう会社なんです。なので、そういうふうに作りたいなっていうのはプロデューサーはじめ、しゃべってはいたんです。もちろん口で言ったからってどうにもなるもんじゃなくて、それぞれがみんな本当に小説が好きで、読んで、打ち合わせを重ねていくなかでゆっくりそういう空気が生まれていったというのがあるんで。なんで三宅の話であって三宅の話じゃない。みんなの話です。っていう現場だったかな。小説が引っ張ってくれたと思います」

MC「映画の舞台になっているの

MC「映画の舞台になっているのは栗田科学。山添くん、藤沢さんはじめ様々な境遇の人が働いている会社ですが、もしも皆さんが同じ会社にいたらどんな社員になっていると思いますか?」
上白石「誰がリーダーですかね?」
松村「光石さんじゃないの?」
光石「いやいや僕はね、本当にそういうのないんですよ。リーダーシップとかね」
松村「いや、社長~!」
光石「役でね、役で社長やってますが、全然違う(笑)」
三宅「そんな感じだったけど?(笑)」
松村「リーダーシップっていう意味で言うと、三宅さん?」
三宅「僕はですね、映画館でバイトしてたときがあるんですが本当に使えないというか、使えないことを許されてるような。ただ映画のチラシを眺めて、次に観たい映画を調べているようなダメなバイトで。なので、この会社にはどうだったんでしょうね。それが許されてればいいんですけど」
上白石「でもそれさえも個性として大切にしてくれそうな会社ではありますよね、栗田科学って」
三宅「ああ、まあね。でも意外とプロフェッショナルな集まりでもあるからね、栗田科学は。いい加減に終わらないというか」
上白石「確かに」
三宅「なぜか、それ以上は言えないけれど」
松村「ネタバレになってきますからね」
MC「松村さんは、ご自身ではどういう役割だと思いますか?」
松村「すーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
全員「(笑)」
松村「すみません、鈴虫やっちゃいました。ごめんなさい(笑)。そうですね、僕ですか? 僕はギリギリ遅刻してくるやつじゃないですか?」
上白石「ええ!?」
松村「なんかね、苦手なんですよ、約束の時間通りに行くの。だから『あいつ、もういいって』って言われながら、肩身狭い思いをしている役。役って…(笑)。ダメダメだ、ここにいる人間みんなダメダメだ」
三宅「まだわかんないっす。まだわかんないっす!」
上白石「ギリギリ遅刻してくる人…社会人としてはあまりよろしくないですけど、」
松村「社会に出れてないですからね、ご覧のとおり」
上白石「私たち、会社勤めできない人間(笑)。それすらもやっぱり栗田科学は『いいよ』っていってくれそうな会社ってことにすれば…おさまりますよね(笑)」
松村「(上白石さんは)トップ、トップ。トップの社長ですよ」
上白石「でも私、本当に決められないんです。意思決定ができなくて。なので私が社長になったら破綻しますね。決めきれずに全部をなあなあにして、『全部、できます。やります。間に合います』って言ってみんなに嫌われるタイプ(笑)」
松村「このマネージメントは、結構やっかいですね(笑)」
上白石「だからね、私はリーダーじゃないほうがいい」
松村「経営破綻(笑)」
三宅「謝罪会見(笑)」
MC「でも皆さん、栗田科学には居場所がありそうですね」
上白石「でも甘いだけの会社じゃない。全員がしっかりと役割を持って、個性も尊重してっていう素晴らしい会社で、ご覧になったらこんな会社ないよって思う方もいるかもしれないんですけど、原作の瀬尾先生が『栗田科学ってこの世にはないかもしれないと思ってたけど、三宅さんの現場が栗田科学のようです』っておっしゃってたのがすごく印象的で。なので、そういう働く場ってこの世にはいっぱいあるんだなって思います」
MC「では最後に、これから映画を観ていただく皆さんに松村さんと上白石さんからご挨拶をお願いします」
松村「改めて今日、足を運んでいただいてありがとうございました。この後、映画を観ていただくということで、このイベントを通して結構緊張していたんですけど、だんだん見慣れてくるとみんなが観る前から映画に対する期待感とか尊敬みたいなものを向けてくれてるような雰囲気が伝わってきて、安心してこの後の上映を迎えられるなという思いです。そんな皆さんに来ていただいて、さらに皆さんの近くにいる少し生きづらいって人に対して、この映画の素敵な所だけでもいいです、映画観るに至らなくてもいいので、近くの人を助けてあげよう、少し手を伸ばしてみようって思うような上映になってくれたらいいなと思いました。今日はありがとうございました」
上白石「この映画が説明されるときは、〝生きづらさを抱えた二人の物語〟っていうふうに説明されているんですけれど、この映画に出てくる人たちもそれぞれみんな何かを抱えていますし、今日お越しの皆さんも何かしら抱えてるものがおありなんだろうなと思います。常に完璧に幸せでハッピーな人なんてなかなかいないと思うので。たまたまこの映画は山添くんと藤沢さんが主人公になっていますが、そういう意味ではみんなの、すべての人のための映画だと思います。この作品に出会って良かったなと思ってくださる方の元に、作品が届きますことを願っております。この後は楽しんでいってください。ありがとうございました」
トーク後にはフォトセッションに応じた4人。途中、上白石さんがカメラマンの掛け声に笑いすぎてしまうほど笑顔溢れる雰囲気のなか、最後は松村さんが自撮り棒を持って、観客の皆さんも一緒に自撮りショットを撮影。和やかにイベントが終了しました。公開前から高い評価を集めている映画『夜明けのすべて』、2月9日の公開が待たれます。

『夜明けのすべて』
瀬尾まいこ原作小説を、『ケイコ 目を澄ませて』が国内外で絶賛された三宅唱監督が映画化。松村北斗と上白石萌音がW主演を務める。月に一度、PMSでイライラが抑えられなくなる藤沢さん(上白石)は、ある日、同僚の山添くん(松村)の小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまうが…。他の出演/渋川清彦 芋生悠 りょう 光石研 ほか。監督/三宅唱 原作/瀬尾まいこ『夜明けのすべて』(水鈴社/文春文庫刊)配給/バンダイナムコフィルムワークス=アスミック•エース●2月9日(金)全国ロードショー ©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

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撮影/和佐田美奈子 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)