IKKOさん(61歳)17年恋人と47歳で破局「人生には無駄なことはなく、その時その時が次につながるステップ」

“十転び八起き”はIKKOさんの著書にもある大切な言葉。その言葉通りにIKKOさんは波瀾万丈な人生、多くの苦難を乗り越えながら、当たった壁の高さと厚みを力に変えてきました。そんなIKKOさんが美ST世代に今伝えたいのは「どんなことがあっても希望を持って生きていこう」。素敵なメッセージをエレガントな春夏秋冬をテーマに表現してくれました。

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お話を伺ったのは…IKKOさん(61歳)

私たち世代は一生懸命世代。今ってクールで淡々としている方が粋だと思われたり、人に干渉しすぎない方がいいなんて風潮もあるけれど、一生懸命は美徳です。楽したら楽した分だけ普通になってしまう。だから私はどんなことにも全力を注いでいます。それに私は逆境を燃料や栄養にしちゃうみたいなんです(笑)。

時代に翻弄されたり、自分に不都合なことが起きたときにこそ、エネルギーが湧いてきます。ピンチのときに絶対ヒットが出るし、自分の年回り的に最悪の時に必ず輝く、不思議ですよね〜。ネガティブな状況のときほど燃え上がる、みたいな感覚は、たぶん「ダメな自分に戻りたくない」という感情からくるのだと思います。

子供の時に「おかま」「気持ち悪い」と言われて仲間外れにされたり、修業時代には人格否定された人生を送ってきました。でもだからこそ、コンプレックスに負けない。マウンティングされたら自分磨き!感じたことは全て現実だけど、腐らず恨まず、しっかり上を向いてね。

私、誰よりも女性らしく綺麗でいられるように、人の何倍も努力しているつもりです。人前に立つ10時間くらいは、綺麗を保てるようずっとウォーキングを続けて、デコルテから上はどんなに忙しい時でも30分はケアしてあげて、仕事の合間で30分時間があれば肌のメンテナンスにも行きます。でも朝5キロのウォーキングで熱中症になってからはウォーキングより自分時間!自室で振動マシンに足を置いて映画を見たり、そんな心の余裕が自愛になっています。

私、47歳の時、17年間付き合った人と別れたんです。あれほど素敵な人とはもう2度と出会えないのかな、と落ち込んだりしました。
何年かして人づてに「別れて初めて彼女は必要な人だったと、日々感じるようになった」と聞きました。それを聞いて、私たちの愛は本物だったんだと、17年間の歴史は素晴らしいものだったと実感できました。ひとりよがりの評価ではなく、人を愛するという私の人生の自信になった気がします。

いろんな感情をモチベーションの燃料にしている私だけど、今まで生きて経験してきたことは、すべて肥やしになっていると感じています。人生には無駄なことはなく、その時その時が一つの過程で次につながるステップだった気がします。

美容に関しては45年近くやってきたから、これからもプロとしてしっかりメッセージを送る使命を感じています。でも芸能界では私はいつも初心を忘れないように心がけています。よく泉ピン子さんが電話をくれて「絶対にあなたの心の中から美容を忘れちゃダメ」と言い続けてくれています。

自分に大きな軸があるのは強みよ。そしてもうひとつの使命は年齢を重ねていることを逆手にとって発信すること。内面からの知性や寛容、教養を武器にできると信じているもの。そんなメッセージを届けて皆さんに希望を与えられるなら、どんなことをしてでもやり遂げたい。私は美ST世代の味方、応援団として、いつまでも頑張っていきたいと思っています。

《IKKOさんプロフィール》
1962年1月20日福岡県生まれ。30代でヘア・メークアップアーティストとして独立し、雑誌・広告・映像などで活躍、国内外で美容に関する受賞歴多数。唯一無二の存在感と朗らかなキャラクターが愛され、バラエティ番組でも大ブレイクし国民的人気者に。多くの化粧品をプロデュースしヒット作を生み出すほか、書家としても活動中。著書『1ミリの優しさ』は韓国に続き、タイでも翻訳されることに!

2024年『美ST』2月号掲載
衣装/すべてIKKOさん私物
撮影/富田眞光(vale.)メイク/山縣亮介、高場佑子 ヘア/きくち好美、斎川初穂 スタイリスト/前田みのる、金子美恵子、鈴木健一 着付け/森合里恵 取材/柏崎恵理 編集/漢那美由紀

美ST