田中麗奈さん(43)「育休は休みではない!」出産直後に感じた、母としてのジレンマ

凛とした品のある美しさが印象的な、実力派女優の田中麗奈さん。デビューから26年、今なお第一線で活躍され、最近ではドラマ「いちばんすきな花」や「ブギウギ」などへの出演も話題に。プライベートでは2016年に結婚、2019年に長女を出産し、子育てに追われるママとしての一面も。40代を迎えた今、仕事への向き合い方や育児との両立、美容法など、田中さんの”今”について聞きました。

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田中麗奈さんprofile

1980年生まれ。福岡県久留米市出身。1998年に映画『がんばっていきまっしょい』で初出演し、数々の新人賞を受賞。以後、女優として様々な役柄を演じる。2023年は映画「福田村事件」ドラマ「神の子はつぶやく」「いちばんすきな花」等、話題作に出演し、2024年は、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」、映画「愛のゆくえ」などに出演。NHK夜ドラ「VRおじさんの初恋」に出演中。プライベートでは2016年に結婚、2019年に第一子出産。

「出産したら仕事を休む」という大前提にジレンマを感じました

2019年に出産し、今は4歳の娘の子育て真っ最中です。まだ何を言い出すかわからない可愛さがある絶妙な時期(笑)。育児は大変ですが、役者という好きなことをやって充実しているからこそ、家に帰ってから娘との時間も楽しめます。仕事をしている方が、私は心のバランスをとりやすいと感じますね。娘から学ぶことも多くて、日々こちらが成長させられているし、鍛えられてるなと。自分と母親との関係性も、過去を振り返るとまた違った角度から見られるようになり、人生にいい刺激をもらっています。

出産してからは、なかなか以前のような長期ロケには行けなかったり、急遽入ってくる案件に対応するのは難しかったのですが、完全に休んでいたわけではなく、ペースダウンしながら仕事をしていました。フルスロットルというわけにはいかず、その間はずっとジレンマ。”休んでいる”と思われてるのも、私の中ではなんとなく納得がいかなくて……周りの人たちもみんな、「子どもを産んだら休むよね」という大前提で物事が進むので、置いていかれるような気持ちに何度もなりました。

もちろんすぐに前みたいには動けないですけど、「ちょっと待って、休むなんて一言も言ってないし!」と思うことばかり。日本はやっぱり「出産したら仕事は頼めない」という空気感になりやすいんですよね。確かに、現実的には行けない仕事もあって……一方で、子どもとはできるだけ一緒に居たい、今だけのこの可愛い時期を逃したくないという気持ちもある。本当に板挟み状態でした。

そもそも育休って言いますけど、ママたちみんな、全然休んでないじゃないですか(笑)。”育休”ではなく、”育業”ですよね。「休んでいる」なんて思われていることが本当に悔しい。日本のお母さんたち、みんな休みなんて無いんです。そう思われているのって悔しいんですよ!って声を大にして言いたいです(笑)。

そんなジレンマに悩んでいましたが、子どもが幼稚園に入ってからは自分の時間をとりやすくなりました。仕事以外の時間は、アクティングクラスや勉強のための映画鑑賞や観劇、ボディメイキングなど、自己研鑽に充てています。

娘とは恋人のような関係。大人になっても恋人同士でいたい

娘は私がテレビに出る人だとわかっているようで、NHKの朝ドラ「ブギウギ」を観て、「ママが怒っているの、面白い!」と何回も巻き戻し。怒り方まで真似していました(笑)。

仕事がある時は、育児を家族にもサポートしてもらっています。遠方での撮影もあるので、おばあちゃんの家に夫と一緒に泊まりに行ってもらったり、シッターさんにお願いしたり。やりくりは大変ですし、育児中はイライラすることもありますよ。そんな時は、「ごめんね、ママ眠くてイライラしちゃった」と素直に謝るように。すると娘は「いいよママ。そうだね、さっきプンプンしてたよね!」と、やんわり指摘しつつも許してくれます(笑)。

育児をしていると、母親という存在って改めてすごいなと。自分の時間はないし、食べたいものも食べられない、行きたい場所にも行けない…..そんな中でやりくりするのはやっぱり大変。でも母になったからこその発見も色々とあって。公園に週に5日ほど行くのですが、初めて公園ってこんなに楽しいんだ!ということに気づいたんです。咲いているお花の匂いをかいだり、名前を調べたり。娘と一緒に歩くだけで新しい発見があり、日常がいつもと違って輝いて見えるから面白いですね。

一人時間には演技のレッスンや勉強、観劇、身体づくりなどタイパ重視で予定を詰め込み、娘と二人だけの時は”この子の命を守らなくては”という意識が働くからいつも必死。常に何かしらのインプットもしているので、ぼーっとする時間はほとんどありません。一人の方がゆっくりできるという方が多いと思いますが、私は逆に家族といる時間がリラックスタイム。家族みんなでお出かけするときは、行き先やプランなども全部夫にお任せ。何も考えずにぼんやり付いて行って、のんびりと過ごしています(笑)。

娘とは、今は恋人のような関係。「おばあちゃんになってもずっと一緒に暮らそうね」なんて可愛いことを言ってくれます。成長すれば今と同じではいられないと思うのですが、一緒にお買い物をしたり美味しいものを食べたり、将来も恋人のような関係性でいたいなと思います。

役者も育児も身体が資本。食事と運動でしっかりケアを

昔から和食=健康というイメージがあるので、食事は基本的に和食です。お肉もしっかり食べますが、野菜を意識して多めに摂り入れるようにしています。たまに自分で仕込むこともあるほどお味噌が大好きなので、お味噌汁にとにかく野菜を沢山入れて、”食べる味噌汁”に。例えばトマトやブロッコリー、アスパラなど、”本当に合うの!?”と思われそうな野菜も躊躇なく入れています(笑)。トマトは生で食べると冷えてしまいますが、お味噌汁に入れると身体もポカポカに。温野菜のような感覚で、食べ応えもあって丸ごと栄養を摂れるので、忙しいママにはおすすめです。

主食も以前は玄米一択だったのですが、脂肪分や水分が少ないので、ダイエットにはいいけれど痩せすぎてしまうことも。40代は顔もふっくらしていた方が健康的で綺麗に見えると思うので、白米もしっかり摂りつつ、食物繊維が多くてお通じにも良い玄米も食べるようにしています。

産後は体が緩んでいたのでランニングをメインに。昨年はジムでしっかり走り込み、筋力トレーニングもセットで行っていました。最近はピラティスを始めたのですが、体質的に身体が硬くなりやすかったので、ほぐして緩める方が合っているなと。今はヨガを中心に身体を動かしています。その時の季節や身体の状態や、どうなっていきたいかという理想に応じて、ヨガ、ピラティス、ランニングや筋力トレーニングなど、割合を変えているんです。トレーナーさんがいる時もありますが、基本的には自分でメニューを決めて、日頃のメンテナンスをしていますね。

 

忙しいママ業中の美容はもっぱらパックに頼ります

乾燥肌なので、とにかく潤すケアを中心に。朝はスチームを当てながら洗顔をして、その後は必ずパック。美容液をつけたら、今は乳液ではなくしっかりとクリームで蓋をするようにしています。毎日、1日に2〜3回は何かしらのパックをしているんです。朝と夜、それから夕方に公園やお散歩から帰ってきた時にも欠かさずパック。外の埃や汚れが肌に付着しているような気がして、すぐに洗顔するのでその後につけています。

パックは何種類かスタメンたちを常備して、肌のコンディションやその日の気分に合わせて使い分け。定番のシートパックをはじめ、クリニークの炭酸パックやルリビオのゾンビパック、眠っている間に保湿ケアができるFAMMEのスリーピングマスクがお気に入りで毎日のケアに使っています。ルリビオのゾンビパックはその名の通り、塗るとゾンビのようにパリパリに!使った後は肌の色が白くなるのを実感できます。シートパックは韓国メーカーAGEのものを愛用。FAMMEのスリーピングマスクは、寝る前に塗ってそのまま眠ると朝まで潤うので便利です。パック美容を始めてから、水分を入れ込むことで肌がふわっと柔らかくなり、くすみが解消。顔色が明るくなりました。

役者の仕事も育児も体力勝負なので、身体が資本。身体をつくる上で食事と運動はやっぱりベースだと思います。何か特別なことをするよりも、自分自身の身体や心に耳を傾けて、コンディションに合った美容や運動、食事で労わることが大切。40代はこれまで以上に体調の変化に敏感になって、ケアを続けていきたいと思います。

 

シャツ¥18,920(メゾンスペシャル/メゾンスペシャル 青山店)パンツ¥47,400(シー/エスストア)シューズ¥74,800(ディアフランシス/ギャルリー・ヴィー 丸の内店)ピアス¥42,900※片耳価格(ジャスティン デイビス/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム)

SHOP LIST
エスストア 03-6432-2358
ギャルリー・ヴィー 丸の内店 03-5224-8677
ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム 03-3401-5001
メゾンスペシャル青山店 03-6451-1660

撮影/谷田政史(CaNN) ヘア・メーク/岡野瑞恵 スタイリスト/竹村はま子 取材・文/渡部夕子

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