モデル亜希さん、野球少年の息子たちに18年間続けた【お弁当作りの極意】とは?
いよいよ春からお弁当作りがスタート!段取りや、持たせる中身に実は悩む人も多いのでは?そこで、ヒントを求めて、二人の野球少年の息子さんのために18年間お弁当を作り続けたモデルの亜希さんにお弁当づくりの極意を聞いてみました。初のお弁当本出版記念イベントが催されるということで、今回、参加してみることに。ページを眺める限り、そのボリュームたるや規格外!お米2合分のご飯や、うどん3玉が入る1キロ超えのお弁当など。加えて茶色いおかずもてんこ盛り。美味しいご飯と力強い励ましのお言葉もいただいてきました。蓋が閉まらないほどの栄養と愛情をギューッと詰める亜希さんから発せられるメッセージは、いかに?
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亜希さんプロフィール
福井県生まれ。大学生と高校生の男子二人の母。STORYをはじめ人気モデルとして活躍後2019年にモデル業を引退。現在はアパレルブランド「AK+1」のディレクターを務めながら料理家、コメンテーターとして多岐にわたって活動中。愛情溢れる豪快な料理や、明るく飾らない人柄は世代を超えて大人気。お弁当レシピとエッセイが綴られた新刊『亜希の「ふたが閉まるのか?」弁当〜母ちゃんと息子二人、笑いと涙の18年の弁当記録〜』(オレンジページ)が悩める母の味方になると話題を呼んでいる
頑張る人を食事で応援するのが好きなんです
―18年間毎日のお弁当づくりに励めたのはなぜでしょう?
基本、誰かに料理を作って食べてもらうことが好きなんです。そして朝にも強い。だから、毎朝のお弁当作りも実際は苦にならずに、作り終えると、今日もやったぞ!という達成感でその日一日を気持ちよくスタートできました。息子たちに作ってはいますけど、毎日積み重ねていることで自分の自信や活力にもなっている。だから頑張れているのかもしれません。
私の食へのこだわりは、元夫がアスリートだったことが大きいです。パフォーマンスを良くするために、研究とまではいかないけれど、色々と調べて、状況や体調などに合わせて作っていました。その時の食事作りがスポーツを頑張る息子たちのご飯やお弁当作りに活きています。「これを食べて打ってくれよ!」と、やや恩着せがましい感じはありますが(笑)。スポーツや何かを頑張る人を支えて背中を押すことが自分の役割って思いながら今までずっときています。
でも昔、長男に「ママのお弁当は豪華だけど、朝ごはんは質素だよね」と言われたことがあって。お弁当にグッと力を入れちゃうから、気付いたら「あ、もう時間」となることも。意外と「納豆とご飯で行って!」と、送り出す日もあります。お弁当もしっかり、朝ごはんもちゃんと綺麗にセッティングして、という人はすごい。私の場合は、それは毎日のこととしてはできなかったから、子ども達の脳裏には弁当は豪華でしっかりしてるけど朝ごはんは微妙というイメージはあるかもしれません(笑)。
ときには学食やコンビニに頼ることも
―疲れてお弁当づくりすらできない!ってときはありましたか?
中学校からは学食があったので、本当に大変な時は「学食にしてね」と言うこともありました。子どものほうから「今日は学食がいい」と言われることもありましたし。そこはうまく使い分けてバランスはとれていたのかなと思います。
―亜希さん自身はお子さんがコンビニ弁当を買うことに抵抗はありましたか?
子どもが小さい頃は、過保護になってしまい、「体に良くないんじゃないか」とか変に偏って、買わせない圧をかけていたかもしれません(笑)。だから、小学校時代の野球チームにはコンビニのお弁当の子もいたのですが、一緒にお店に入っても、うちの子だけいつも飲み物だけを持ってレジに並んでるわけですよ。今思えば、ちょっと行き過ぎてたかなと思います。子どもにも自我が芽生えてくるし、友達と同じものを食べて楽しむ時間があってもいい。だから今は気にしません。子どもが小さいときほど大事にしすぎちゃうことはあったけど、大きくなるにつれて私の価値観もどんどん変わってきたように思います。こうやって親も成長していくんでしょうね。
お弁当作りはきちんとやろうとしない、人と比較しない
私の友人に「お弁当の何が苦痛なの?」って聞いたら、作った後の片付けがストレスだって言ってたんです。彼女は全部洗い物も終えてシンクもピカピカにしないと家を出たくないらしいんです。あ、そういう発想の人もいるんだなって初めて気づきました。私は結構目を瞑れちゃうんです。時間に間に合わなかったら多少ぐちゃぐちゃでもとりあえず仕事に行って、帰ってやればいいって思えるんだけど。後始末で時間に追われるのが嫌だと思うような真面目な人が苦痛を味わっているんじゃないかなってその時に感じて。だから、一個一個のことをきちっとしなきゃいけないっていう方は、毎日のことなのでしんどくなるパターンに陥ってしまうのかもしれませんね。それから、作るのはいいけど、詰めるのが嫌いっていう人も多いです。詰める段階になるとガタッとテンションが下がってしまう。詰めた途端になんだか一気に美味しそうじゃなく見えるらしいです。
でも、自分が作るお弁当で、一人の人間が成長して大きくなって元気でいてくれるってすごいこと。そんなに苦痛に考えなくてもいいんじゃないかな。SNSが普及したことによって人と比べることができちゃうから「自分のお弁当はたいしたことない」とか、「見た目が寂しい」とか「品数が少ない」とか思ってしまう人も多いようです。私がお弁当作りをスタートした頃なんて、携帯で写真すら撮れなかったんじゃないかな(笑)。子どもが小さかった頃に、もっと写真で記録を撮りたかったとは思いますけれど、かといって今みたいなSNSが3歳ぐらいからあるとプレッシャーだったかもしれないですね。
副菜のない潔さ「茶色いは正義」!
ー著書のなかの「茶色いは正義」の言葉に救われつつも、野菜を入れなくちゃという恐怖や罪悪感をどう拭えばいいですか?
作っている側は「野菜がなくて、どうしよう〜」と、思っているけど、食べてる側って全く気にしてない気がします。特に男の子は「今日は彩りが素敵だわ」なんて思ってもいないだろうし。振り返ってみると、おかずは栄養バランスを考えて、彩りもよく、という独りよがり時代もありましたね。実際は一食ぐらい野菜がなくたって大丈夫だし、むしろ副菜なしで潔くというのもいいと思います(笑)。
お母さんは全然完璧じゃなくていいし、無理なときは「無理!」って言って大丈夫
ー仕事で忙しい時にもまたすぐ夕飯の時間が来てしまいます。準備が大変な時はどうしてますか?
今の生活スタイルには全く無理がないのですが、去年はやったことのない新しいお仕事が多く大変な日もありました。そういう時はもう「今日はゴメン!」と言って、何もできないから勝手にやってという感じでした。子どももずいぶん大きくなっているので。
お母さんは全然完璧でなくていいし、無理な時は「無理!」って言っていいと思うんです。無理に作られて「はぁ〜、、、」と、ため息を出されながらご飯が出てきたら、せっかくの美味しいごはんも美味しくなくなってしまう。なので「今日はUberね」とか、「外に食べに行こう!」とか、子供の年齢によっては「ごめーん、今日は先に寝るわ!」でいいと思うんです。最終的には無理をしないことです。
もし女の子だったらお弁当には手作りケーキとかつけていたかも
ーもしお子さんが女の子だったらどんなお弁当を作っていました?
もし女子だったら、すごく相談しながら作ると思います。体調や、太る痩せるとか、肌の張りなど。どうしたら綺麗になれるのかをもっと研究してみたりして。きっと油物も控えるのかな。デカ盛りには絶対しない(笑)。女の子がいたら、お弁当の会話が本当に面白かっただろうなと思います。
女子といえども、意外と食べる子はすごく食べるじゃないですか。個人的には、もし女子を産んだら、ジャイアンみたいな女子がいいなと思っているんです(笑)。もう「そんな食べる?」っていうぐらい食べる女子。女の子がいたらきっとスイーツを入れてあげるのかな。手作りでケーキとか焼いてちょっとラップしてつけたりして。女の子用のお弁当に関してはそういうフワッとしたイメージしかないです。
―お子さんの彼女さんの分のお弁当を作ったりはしないんですか?
彼女にご飯は作ったことはあるけど、お弁当を作ったことはないですね。
―亜希さんに作ってもらうとなると、おそれ多い感じですよね。
いやいやいやいや、なんだろうなぁ。彼女にお弁当を作るんだったら、ちょっと毒盛っとく!? んなわけない!(笑)
人とは比べず、その子にいちばんあった食生活を
ーあまりごはんを食べないお子さんにはどうしたらいいですか?
一概には言えないのですが、話を聞いてみると、大概、ご家庭の味付けの薄さが原因であることの方が多い気がします。薄味だから食がなかなか進まない感じで。体調とか色々なことを考えて薄味にするというのは大事ですけど、たまには少し味付けを濃くしてみるのもいいかもしれませんね。
―スポーツをする上で、食の太い細いでパワーも違ってきたりしますか?
パワーは違うと思います。大谷選手も、すごい量食べるじゃないですか。白米よりは玄米がいいとか言われますが、大谷選手があれだけの量の白米を食べているところを見たら覆えりますよね(笑)。
でも、その人に本当に合うことを試せばいいと思うんです。その人に何がいちばん合うのかってことは、身近にいるお母さんがいちばんよくわかることだと思うので。人とは比べずに「自分の子はこれがいい!」って堂々と言えるぐらいがいいと思います。他の人が育ててくれるわけではないですから。
お弁当づくりは親子のコミュニケーションだと思って楽しみます
―お弁当づくりがコミュニケーションのツールになりそうですよね。
まさにそうなんです。その都度、体調によって微調整しながら対話してね。それに、反抗期や思春期で口をきかないお子さんでも、家のご飯を食べていたり、お弁当を持って行くのであれば絶対大丈夫。腹が立った時こそ、更に豪華なお弁当にするといいですよ!
ーもしお弁当に文句を言われたら、どうしていました?
息子たちから文句が出るのは、買ってきたものを入れた時。意外と違いをわかったりしていたから、その場合の文句は受け付けますけど、他のことで言ってきたら「100年早いよ!」と言い返します。もう何も言わなくなりました(笑)。
18年間のお弁当、一生忘れんなよー!
ー最後に。お子さんに著書を通して伝えたいことはありますか?
本のあとがきにも書いたんですけど、「一生忘れんなよー!」っていうことですかね(笑)。私のお弁当の本が彼らにとって遺言?遺作?というわけではないけど、私が亡くなった後に残るじゃないですか。それって子ども達にとって宝物になるんじゃないかって思うと、こういうお仕事をさせてもらえて、私はなんて幸せなんだろうと感じます。今までこれだけ作ってきたものが1冊にまとまるってすごいことだと思うんです。そして、いつか子ども達が大きくなって子どもができて、お父さんになった時に母(私)の記憶やぬくもりを思い出してもらえたらいいなと思います。
亜希さんのお弁当の記録が気になる方はこちらをチェック!
『亜希の「ふたが閉まるのか?」弁当〜母ちゃんと息子2人、笑いと涙の18年の弁当記録』オレンジページ 1760円(税込) https://www.orangepage.net/books/1784
撮影/阿部健 取材/嶋田桂以子
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