祝最年少受賞! 12歳天才アーティストのママの「才能の伸ばし方」

今年3月、若手作家の登竜門として権威ある「昭和会展」において特別賞に輝いたConocaさん。2024年VERY1月号で塗り絵カレンダーを制作してくれたことでも記憶に新しいConocaさんですが、小学6年生での受賞は史上初、まさに快挙です。そんなConocaさんのママ、恵子さんに受賞記念のインタビューをしました! Conocaさんの才能を伸ばした方法とは?

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大切なのは、「才能があるか」より「楽しく続けられるかどうか」


––受賞おめでとうございます! ママとしての感想を伺えますか?

恵子さん(以下省略):まさかのことだったので実感がまだありません。初めて出品した前回は「40歳以下が対象なので諦めずに何度も挑戦して」と言われたので、難しいんだろうな思っていました。これまでの受賞作品は明るくふんわりしたものではなかったので、『ワオキツネザルたち』は大人っぽく仕上げて入賞を目指してはいましたが、本当に獲れるとは……!と。


––Conocaさんの才能に気づいたのはいつ頃で、どのように伸ばしたのですか?

色々描けるんだなぁと感心したのは、2019年1月。そのときはまだ描くことが好きかは分かりませんでしたが、「本人が楽しんで続けられるかどうか」が一番大事だと思っていました。毎日インスタに上げることを二人で決め、帰宅後宿題の後に描き、19時ごろまでには私がアップすると約束。彼女というより、私自身が続けることが課題でした(笑)。


––毎日となると大変ですよね。

はい。でも一回あげたらすぐ反応がきて、私も楽しくなりました。反対に娘は承認欲求がないんです。描いていて楽しいし、今も絵が素敵だねと言われたら嬉しいようですが、インスタの反応や批評は気にしなくていいと伝えています。Conoca自身が描いていて苦しくないというので、私自身も楽しめることをモチベーションに活動をサポートしてきました。直接絵を見てもらいたいと思い、旅がてら京都のハンドメイドマルシェに出店をお願いしたこともあります。私は性格的に同じことの繰り返しが苦手なので、いろんな方法でサポートするほうが私自身も楽しめるな、と思ったんです。


––一方でConocaさんは地道な作業のいるつぶつぶアートを作風にしていますよね。

そうですね、同じことを続けるのがConocaは得意なんです。私たちは全然違うタイプだということに、絵を通して改めて気づきました。でも親子で個性が違う者同士だから、できたこともあると思っています。

 

サポートのモチベーションは、母である自分も楽しめるかどうか


––ママがそうやってご自身の特性を活かしながらいろんな舞台を用意されてきたんですね。

いくらConocaが才能がありそうだからと、自分を犠牲にしてサポートに徹したら「あなたのためにこんなにやったのに!」となりうるな、と割と早い段階で気づいて、そこだけは気をつけてきました。自己犠牲の上に成り立つものって何でも脆いと思うんです。飛行機で何かあっても、酸素マスクはまず親からしなさいと言われますよね。それと同じだと思っていて、子どものサポートでも「母である自分もいかに楽しめるか」を大切にしてきました。

3月、昭和会展の授賞式にて。


––だからこそ続けてこられたし、サポートの元、のびのび才能を開花させたんですね。習い事などは何かしていましたか?

サッカーや英会話、フラダンス、ピアノ、劇団など、気になったり誘われたものは本当に色々やりましたよ。全部楽しかったです。表現をすることが好きそうだったので、より良いパフォーマンスをするためには体を自由に動かせた方がいいのかなと、体を動かす習い事が多かったです。絵は習いませんでした。インスタをやってちょっとずつ上達してきた頃、知り合った作家さんや先生に相談しましたが「好きなように描かせたらいい」とアドバイスされたのもありました。


––つぶつぶアートはどんなふうに生まれたんですか?

もともと細かい模様を使う作風ではあったのですが、いろんな色で塗りたいけど色が足りない問題が出てきて。本人が「うーん」と悩んでいるところに、一度模様を限定してみたら?とアドバイスしたら、今のような模様を描くようになりました。でも今で満足しているわけではなく、新しい見せ方があるのではないかと自分で模索しているようです。

2019年、7歳の頃の絵。


––ママのアドバイスも大きかったんですね!

創作意欲があっても立ち止まっているようなタイミングでは、こういうのもアリじゃない?と言うこともありますね。


––大きな賞を獲ったばかりですが、次の目標はありますか?

中学生になり勉強も忙しいのですが、英語は力を入れたいようです。将来いざアメリカで絵を展示したときに、通訳の方にお願いするよりも、やはり自分で伝えたいという気持ちが芽生えたみたいです。「語学も、なるべく自分でできた方がいいよね、どんな知識も、勉強して損することはないよね」と伝えました。素直なタイプなので「分かった〜」という反応です。


––ただ英語を机で勉強するより、モチベーションが違いそうですね。

そうですよね。私たちは親子というか親友のような感じで、「育ててやってる」という感覚はないんです。一緒に成長していきましょうと、手探りで理解しあっているような感覚です。Conocaには弟がいますが、また別のキャラクターで、きょうだいでも同じ言葉かけがNGなこともあるなと実感しています。

7歳の頃の作品。

 

––子どもの才能を見つけて伸ばすには、改めてどんなことに気をつければいいと思いますか?

色々、押したり引いたりしながらやってみればいいと思っています。無理に見つけようと意気込まないでリラックスして。基本的には、子どもをよく観察して楽しんでいるかどうか、心を見ることでしょうか。でも、それよりまず大事なのが、ママが自分自身を探っていくことだと思います。ママが自分を知らないのに子どもに何か見つけなさいと言っても難しい。英語など何か子どもにやらせたいなら、一緒に楽しみ、学ぶスタイルを築くのがいいですよね。あとは、別々の人間だということを意識すること。自分の子どもだと思うから「どうにかしなきゃ」と思ってしまうわけで、どうしたら別の人間同士一緒に楽しくいられるかをシンプルに考える。そして自分のスタイルを大切にしていれば、自然に子どもも、自分のスタイルを安心して追求していくようになると信じています。

つぶつぶアートによる作品。日動画廊主催の昭和会展巡回展用に描き下ろした。

 

★千葉心花(Conoca) 個展『C.C. summer 2024』は、2024年7月26日〜9月29日、富山県の朝日町立ふるさと美術館にて開催。

千葉恵子さん/中1(Conocaさん)、小2男児の母。Conocaさんが7歳の頃からConocaさんの作品をインスタで投稿、以後二人三脚で活躍の場を広げる。VERY1月号特別付録になったつぶつぶアートの塗り絵も大評判に。第59回昭和会展で特別賞を受賞するなど、Conocaさんは今後が期待される若手アーティストとして成長中。HPはこちら

 

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取材・文/有馬美穂