小泉里子さん「存分に自分を甘やかす時期があってもいい」【CLASSY.卒業から7年】
The post 小泉里子さん「存分に自分を甘やかす時期があってもいい」【CLASSY.卒業から7年】 appeared first on CLASSY.[クラッシィ].
ナチュラルなキャラクターとヘルシーな着こなしでCLASSY.カジュアルを牽引してきた小泉里子さんが40周年を記念してカムバック。その審美眼でベーシックの目利きとしても一目置かれる彼女が選んできたものとは…?
母になりドバイに移住――卒業後の7年間は人生最大の転換期でした
CLASSY.を卒業して7年。あっという間なようで実に濃密な時間でした。特に直近の3年間はコロナ禍でもありましたし、ドバイへ移住するという私にとって人生最大の転換期。仕事をここまで長く休むことも、子どもを持つことも、CLASSY.時代は全然想像してなかった。当然ですが考え方もファッションも大きく変わりました。
ドバイってきらびやかな印象があるでしょう?でもファッションはみんなカジュアル。そこら辺を歩いている人はジム着の人ばかり。もちろんお金持ちが多いからギラギラッとした人もいます。でも流行なんてないし、多国籍国家だから価値観も多様。慣れない環境下での子育ては、オシャレはどうしても後回し。それにとにかく暑くって…私もレギンスにタンクトップな毎日でした。
海外での子育てという今までと全然違う状況は、それまであたりまえだと思っていた日本の価値観を客観的に見つめ直すきっかけにもなりました。見栄だったり、みんな持ってる、流行ってる…そんな間違った欲に突き動かされて高価な買物をしたことが私にもいっぱいあったのね。でも結局は大事にできなかったり存在自体を忘れちゃったりすることもわかったし。だから今まで以上に、ちゃんと物の本質を見て、自分が使っている姿を想像できるものしか買わなくなりました。
手に入れたときの情景まで記憶に刻み込みたいから大物買いは記念日に
ドバイで服を買うことはほとんどなかったけれど、ジュエリーやバッグはいくつか買い足しました。物欲はだいぶなくなったけれど、とっておきを手に入れたときの高揚感は今も変わらず大好きだし大切にしたい感覚。何か特別な買物をするのは、記念日や旅先や人生の節目など記憶に残るタイミングに、というのは昔から私の中でのルールで、これは今も変わらず続けています。日常は平穏に過ごして、記念日にはお店に立ち寄っていい刺激を受けよう、そんな感じかな。思い出と共に手に入れたアイテムは、やっぱり思い入れが違います。身につけるたびにそのときの記憶が蘇ってくるし大切に使いたくなるの。そしてずっと手元に置いておきたくなるのです。
ちなみに、ここ最近は甘いものに惹かれます。チャンスがあればレギンスじゃなくてスカートがはきたいし、ジュエリーならヴァンクリが気分。これは自分でも意外な変化!子どもが息子だったから、というのが私なりの分析。家庭に女性が私だけなので、可愛げを纏っていたいと無意識に考えているのかも⁉私のワードローブの中身は、同世代のモデル仲間と比べたら、ものすごく少ないんじゃないかな。みんなトレンドに敏感で買物をいっぱいしているもん。私はちょっと様子を見ちゃう。昨日今日出てきたものとか、全然好きじゃないし興味がないんだよね。単なるベーシックというだけでなく、時代の洗礼を受けてきたものとでもいうのかな、歴史に裏付けされたものに惹かれるんだと思います。そうなの、歴史が好きだし大事!シャネルはガブリエル・シャネルの生き様も含めて好き、スニーカーだったらレジェンドの名を冠した〝NIKE〞のジョーダン…そういったものに惹かれがち。ニュースタイルのバッグには興味がわかないの。
今もこれからも変わらぬ魅力を保ち続ける名品をこの先も手に入れたい
そんな私がこれから手に入れたい、気になるブランドは〝ザ・ロウ〞。まだ何も持っていないのだけど「マルゴー」は見れば見るほどいいな、と思えてきて、いつか手に入れたいリストの筆頭です。正直、ブランドとしての歴史は浅いし、さっきの話と矛盾してきてしまうけれど、それを上回る説得力がある。使い込んでくたっとした姿もきっとすてきだし、今ほどのブームが過ぎ去ったとしても、臆することなく持ち続けられそう。もうひとつは時計。〝パテック・フィリップ〞の「カラトラバ」です。クオリティが最高なのはもちろんだけど、あのシンプルで完成されたフォルムがたまりません。日本では入手困難なブランドものでも豊富に在庫があることの多いドバイにおいても、全然見かけることのない幻のタイムピース、まさに憧れの逸品です。どちらもクワイエット・ラグジュアリーな名品。どんな記念日にお迎えできるかな…と今からワクワクしています。
CLASSY.のカバーモデルになったときの私は29歳、CLASSY.世代ど真ん中でのスタートでした。自分の時間とお金は全部自分に費やすことができたし、実際そうしていたし、背伸びしていろんなものを買いました。そんな生活にいつのころからか不安を覚えるようになって、少しずつ今のような考え方に変わってきたけれど、あの頃の経験もすごく貴重で楽しかった。20代、30代、失敗もいっぱいあったけど、それはそれで大事な財産。みんなも存分に自分を甘やかす時期があっていいと思う。その経験から自分の好きなものや愛し続けられるものが見えてくる、そう信じています。
Satoko Koizumi
15歳でモデルデビュー。2010年より7年間の長期にわたり『CLASSY.』のカバーモデルを務める。ドバイ暮らしを経て、今春からはポルトガルでの新生活をスタート。活躍と葛藤を赤裸々に記した著書『トップモデルと呼ばれたその後に』(小学館)も話題に。
ポロニット¥40,700(トリー バーチ/トリー バーチ ジャパン)スカート¥25,300(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ丸の内店)サンダル¥116,600(トッズ/トッズ・ジャパン)イヤリング¥74,800(マリハ)
撮影/YUJI TAKEUCHI(BALLPARK) モデル/小泉里子 ヘア/EIJI KADOTA(SIGNO) メーク/佐々木貞江 スタイリング/荒木里実 取材/西道倫子 編集/水澤 薫 再構成/Bravoworks,Inc.