「よくむせる人」「せき込む人」の喉にいい【5つの習慣】医師に聞きました

のどの老化により飲み込み力が落ちて睡眠中に細菌を含む唾液により起こってしまう誤嚥性肺炎。そうならないために、今から始めてずっと続けたい生活習慣をご紹介します!

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のどの老化を防ぎ、肺炎リスクを下げる生活習慣とは?

\習慣1/鼻呼吸で細菌の侵入を防ぐ

舌を上あごに付ける練習や口呼吸予防の対策を
呼吸する際、鼻呼吸と口呼吸どちらですか?正しい呼吸は鼻呼吸です。鼻毛や鼻粘膜がフィルターの役目をして細菌やウィルスがのどや肺に侵入するのを防ぎます。口呼吸が習慣になっていると細菌やウィルスが侵入しやすいので、舌を上あごに付ける練習をして鼻呼吸を習慣にしましょう。夜間の口呼吸予防には医療用テープが効果的。

鼻呼吸テープ・口閉じテープなどの名称で口呼吸を予防する医療用テープがドラッグストアなどで売られています。

\習慣2/歯みがきや舌みがきで細菌を寄せ付けない

就寝前の歯みがきが重要!歯間や舌の細菌もケアを
歯みがきなどの口腔ケアは、成人肺炎診療ガイドラインでも推奨されているほど大事です。肺炎の原因となる細菌は歯と歯の間に潜んでいるので、就寝前の歯みがきでは歯間ブラシやデンタルフロスも使い丁寧にみがきましょう。舌苔と呼ばれる舌表面の白い苔のようなものは細菌が繁殖しやすいので専用クリーナーでやさしくケアして。

歯や舌のみがきすぎはかえって傷つけてしまうこともあるので、就寝前のケアはしっかり・やさしく・丁寧に。

\習慣3/唾液の量を増やし飲み込み力を高める

加齢とともに唾液の分泌が減り飲み込み力が落ちてきます
冒頭の飲み込み力テストをやろうとしても唾液が出てこないので飲み込みにくいという方もいらっしゃったのでは。唾液が十分に分泌されて口の中が潤っていると食べ物を飲み込むときもスムーズです。飲み込み力を高める練習として、食事の前に空ゴックンを繰り返してみたり、よく噛んでゆっくり食べることで唾液の分泌量が増えます。

飲み込み力テストのように、水を一口飲んでから、30秒間に5~6回を目標に唾液を飲み込めるよう練習を。

\習慣4/咳反射を高める食材を取り入れる

唐辛子やブロッコリーなどは咳反射を高めます
唐辛子の辛み成分であるカプサイシンは、正常に食べ物を飲み込むために必須な嚥下反射と異物を出そうとする咳反射を高めます。葉酸が欠乏すると嚥下反射と咳反射が低下するという報告があるので、葉酸が豊富なほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜は毎日食べましょう。レバーも葉酸が豊富なので積極的に食べるとよいでしょう。

辛いものが好きな人は七味や一味唐辛子を使うのもよい。食べすぎは胃腸の粘膜を傷つけることもあるので適量に。

\習慣5/ビタミンDで呼吸器感染症を予防

食事やサプリメントからだけでなく日光浴でもビタミンDを
ビタミンDは風邪や気管支炎・肺炎・インフルエンザなどの呼吸器感染症の予防に役立つ栄養素として知られています。ビタミンDを豊富に含む食品は魚介類・卵類・きのこ類です。ビタミンDは食品からだけでなく、日光浴をすることによって体内で合成されます。晴れた日の散歩は運動とビタミンD合成の一挙両得なのです。

紫外線の量は季節や地域によって異なります。ビタミンD合成を促すには関東なら晴天下で20分の日光浴を目安に。

\教えていただいたのは/

池袋大谷クリニック院長 大谷義夫先生

日本呼吸器学会専門医・指導医。呼吸器疾患・アレルギー疾患・内科疾患・睡眠医療に従事。専門性が高く幅広い知識と歯切れよくわかりやすい解説で、テレビや雑誌などのメディアに多数出演している。

のどトレや生活術を解説した大谷先生の近著『「よくむせる」「せき込む」人のお助けBOOK』¥1,540(主婦の友社)

2024年『美ST』8月号掲載
イラスト/佐藤夏希 取材/菊池真理子 再構成/Bravoworks,Inc.

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