伝説のバレリーナが率いる、伝統あるバレエ団とともに過ごす年末【王子様の推しドコロ】

vol.18 ジョージア国立バレエの『くるみ割り人形』

世界各国で客演し、ロシアのボリショイ・バレエ団からアメリカン・バレエ・シアターに移籍した、泣く子も黙る伝説的バレリーナといえば、ニーナ・アナニアシヴィリさん。ジョージア出身の彼女が芸術監督を務める「ジョージア国立バレエ」が来日します。ホリデイシーズンを彩り、時代を超えて愛される『くるみ割り人形』の公演。日本人王子様も出演します。

ジョージアの国立バレエ団は171年もの歴史を誇る

国際的な人気の名バレリーナ、ニーナ・アナニアシヴィリさんが芸術監督を務め、自身のすべてをかけてこの20年育ててきたジョージア国立バレエ。世界中で愛され活躍したニーナの功績から、レパートリーはクラシックだけではなく、フレデリック・アシュトン、ジョージ・バランシン、イリ・キリアン、アレクセイ・ラトマンスキーなどコンテポラリー作品も多数。
ニーナの強靭なテクニックを受け継ぎ、クラシックの基礎がしっかりとあるダンサーが踊るさまざまな作品は、全幕ものはしっかりと見ごたえがあるのはもちろん、コンテンポラリー作品もしなやかで洗練されていて音楽性もあり、定評があります。
171年もの歴史をもつ伝統的なバレエ団ですが、近年は新古典を含む多彩なレパートリーと国際ツアーで評判を呼び、2023年にはアメリカ5都市を巡回、今年の夏はロンドンで公演を行い、大成功をおさめてきました。

カンパニーの芸術監督を務めるのは、ジョージアの首都トビリシ生まれのニーナ・アナニアシヴィリさん。初めはフィギュアスケートの選手を目指していましたが、10歳で始めたバレエでめきめきと頭角を現しました。トビリシのバレエ学校から、ロシア・モスクワの最高峰と言われる「ボリショイバレエアカデミー」に編入。すぐにその類まれなる才能を開花。
1980年にはヴァルナ国際コンクールで、1981年にモスクワ国際バレエコンクールのジュニア部門でともにグランプリを受賞し、同年に「ボリショイ・バレエ団」に入団。プリンシパルではなかった17歳ですぐに主役に抜擢され、ハンブルク公演の『白鳥の湖』では30分間拍手が鳴りやまなかったとか。
あまりにも長い手足、弾けるような明るいオーラと華、強靭なテクニック、そしてしなやかな上半身の動き。舞台に現れた瞬間、すべての観客を魅了する存在感で瞬く間にトップバレリーナに上り詰めました。冷戦時代にも関わらず、その評判はヨーロッパ、アメリカ、アジアまで伝わり、1986年以降は世界各国のバレエ団で客演し国際的なバレリーナに。1993年から2009年までは「アメリカン・バレエ・シアター」のゲストプリンシパル。何度も来日し、その人気は伝説級。2004年からジョージア国立バレエの芸術監督を務めています。

日本人王子様も堂々の活躍!

実は日本人ダンサーが6人も活躍するジョージア国立バレエ。来日公演『くるみ割り人形』では、細谷海斗さんが出演します。
2000年生まれ、秋田県湯沢市出身の細谷海斗さんは、なんと2歳から母に薦められてバレエを始めたそう。中学卒業と同時にロシア「ボリショイバレエアカデミー」へ留学。ロシア「ノヴォシビルスク・オペラ・バレエ劇場」を経てジョージア国立バレエに入団。躍動感あふれる力強いジャンプ、観客がわっと沸くような超絶技巧、そしてポジティブなオーラが印象的な細谷さんの踊り。現在リーディングソリスト・プリンシパル(バレエ団最高位)として活躍し、本公演では「くるみ割り人形」として出演します!

12年ぶりの来日公演、日本各地で公演する『くるみ割り人形』

時代を超えて、世界中で愛されるチャイコフスキー3大バレエのひとつ『くるみ割り人形』。ワクワクするようなファンタジックなシーンあり、うっとりするような優美なシーンあり、そして心躍る音楽とバレエの魅力がすべて詰まった世界観はバレエ初心者にもおすすめ。バレエ団によって設定が違う演目ですが、ジョージア国立バレエの『くるみ割り人形』はジョージアの首都トビリシが舞台。衣装や装飾などでジョージアの文化を楽しみながら日常を忘れられる鮮やかな夢の世界を、年末イベントとしておすすめです! 東京だけでなく、福島、宮城、秋田、山形、埼玉、千葉、神奈川、新潟、群馬、長野、栃木と巡回する大規模ツアー。この機会をお見逃しなく。

クリスマス・イヴの夜。クリスマスパーティで少女バーバラをはじめとする子供たちは、ドロッセルマイヤーからプレゼントをもらう。その夜、バーバラが気に入ったくるみ割り人形たちとネズミの王様の戦争が突然始まり、バーバラの勇敢な行動でネズミの王様は退散し、くるみ割り人形は王子様に変身! 二人はお菓子の王国で夢のような時間過ごすのでした……。

12月5日(木)~27日(金)、東京文化会館ほかで上演。詳細は公式ホームページでご確認ください。

取材・文/味澤彩子