吉沢悠さん(46)老けこまないために“実年齢マイナス20歳”の意識で「今でも、あえて叱られる環境に身を置いています」

昔から変わらない甘いマスクと、優しいオーラを纏った実力派俳優・吉沢悠さん。プライベートでは、2013年にモデルの桐山マキさんと結婚。デビューから27年、俳優として活躍しながら公私ともに充実した毎日を送っている吉沢さんに、これまでの俳優人生や、40代でも生き生きと輝き続ける秘訣、結婚生活などについて語っていただきました。

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吉沢悠さんprofile

1998年、テレビドラマ「青の時代」で堂本剛演じる主人公の親友役で俳優デビュー。以後、現代的な作品から時代劇まで幅広い作品に数多く出演。2003年、「星に願いを。」で映画初主演し、演技力と甘いルックスで注目を浴びる。その後、2005年に芸能活動を休止、ニューヨークに短期留学する。翌年、芸能活動を再開し、それ以降も映画やドラマなど精力的に活動を続ける。現在出演中の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」では主演を務める。2024年10月12日より放送の日本テレビ系ドラマ「放課後カルテ」、2024年11月1日より公開の映画「十一人の賊軍」、2025年大河ドラマ「べらぼう」に出演予定。

役者として若さを保つ秘訣は、殺陣で心身ともに鍛え抜くこと

役者は常に見られる仕事ではあるので、最低限の身だしなみを整えたり、肌のケアはするようにしていますね。美を追求するというよりは、俳優としてその時に求められるものに応えて、必要なことを当たり前にやっていく。そうすることで、職業なりのかっこよさが出るんじゃないかなと。

僕はウエイトトレーニングもしないのですが、4年ほど前から殺陣(たて)の稽古をしていて。殺陣というのは、映画やドラマなどのお芝居で刀を持って格闘するアクションシーンのこと。美しい所作を含めて内面から溢れ出るものを身につけたいと思って始めたのですが、殺陣は身体だけでなく精神面もかなり鍛えられる。そうやって脳と身体を怠けさせることなく、常に動かしていくことがアンチエイジングにつながると思っています。ずっと時代劇に出たいという思いがあり、オファーをいただいた際に即対応できるようになりたいと思ったのが殺陣を習い始めたきっかけ。本当に運よく素敵な先生に出会うことができ、俳優仲間に誘われてレッスンをスタートしました。何か具体的な作品を控えていたというわけではなく、然るべき役が来た時のための準備として続けています。

もともとは、”刀を綺麗に振る”とか殺陣の技術を学べると思って入ったんです。でも蓋を開けてみたら、人間形成の部分まで指導されるような稽古で。8割くらいは人間形成の指導ですね(笑)。最初の2年くらいは、続けられる自信がなかったほど精神的にも体力的にも本当に厳しかったです。でも、続けるうちに稽古を通じて内面も外見も変化している自分に気づき、週に2回行われているレッスンには、4年間ほとんど休まず出席しています。

40代で叱られて、恥ずかしい思いをするのも良い経験

殺陣の先生の本業はもちろん殺陣師ですが、殺陣を通じて演技指導もしてくれるんです。レッスンでは、40代でこんなに叱られることある!? というくらい、叱咤されています(笑)。例えば、「女性にグイグイ迫って侍らせるワイルドな男」のような役は、本来の自分の性格とは真逆なので僕が苦手とする役所。そこを見事に見抜かれ「お前の芝居はなってない!」と突き返されたことも。人格否定は絶対にしませんが、「できてないところはできていない」とハッキリ言われるんです。その時は納得できずに悶々とした気持ちを抱えて帰路に着くのですが、時間が経って冷静になると「確かにな..」と腑に落ちるんですよね。

稽古はグループレッスンで、生徒は全員俳優。僕だけではなく、仲間たちも核心をついた指摘をされるので、悶々とした者同士で頑張っています(笑)。普通は避けたいところですが、皆の前で”恥ずかしい思いをする”というのもなかなか良い経験だし、メンタルを鍛えられますよね。もちろん得意な部分もしっかりと認めてくれるので、モチベーション高く毎回挑んでいます。

常に"マイナス20歳"の意識で生きることが、究極のアンチエイジング

殺陣の先生にいつも言われているのが「自分の年齢より20歳マイナスして、その年齢だと思って行動しろ」ということ。そうすると年齢を言い訳にせず、行動が軽やかになるんですよ。時間には抗えないから、誰だって必ず歳を取るわけじゃないですか。だけど、「年齢を重ねる」ことと「老け込む」ことは違うんです。どんなにキラキラしていた俳優でも、急におじいさんのようになっていく人もいる。そんな風に老け込まないためには、気持ちは”マイナス20歳”で、体はきちんと適切にメンテナンスする。もちろん年齢を重ねたことで「体が痛い」とか不調もありますよ。だけどその原因を「歳をとったから」と年齢のせいにしてしまうと、年々嫌なことが増えていくだけ(笑)。だから、メンテナンスは当たり前に淡々とこなすようにしています。

殺陣を習い始めてからこの4年間で、体だけでなく、今後の人生の捉え方や思考もガラッと変化しました。20代の時は先々のことを考えすぎていたなと思うんです。でも、あまり未来のことばかりを心配し過ぎても、何も良い方向には向かわない。だったら、今この瞬間を懸命に無我夢中でやり切るしかないと思うようになりました。先生の格言の1つに、”行く末は今の今”という言葉があるんですが、必死に生きていると見えてくるものがあるし、目の前の景色そのものが変わっていきます。僕にとっては、時の流れの捉え方を変えることが究極のアンチエイジング。俳優として日々自分と向き合って鍛錬していくことこそ、若さにつながる秘訣だと思っています。


撮影/古水 良(cheek one)
 ヘア・メーク/髙取篤史 スタイリスト/大迫靖秀 取材・文/渡部夕子

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