三田友梨佳さん(37)「フジテレビ退社の理由は結婚や出産だけではありません」

フジテレビアナウンサーを経て、現在は1歳半の男の子を育てながら、フリーアナウンサーとして活動中の三田友梨佳さん。幅広い分野で引っ張りだこの人気アナだった三田さんですが、フジテレビ在職中は、原因不明の体調不良に長年悩まされていたそう。局アナ時代に転機になった出来事や、退職を決断するまで、これからの仕事への思いを伺いました。

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生放送中に、原因不明の発作に悩まされて…

──夜の報道番組のキャスターを務め、フジテレビの看板アナとして活躍してきた三田さんですが、2023年に退社。退社の経緯やきっかけについて、お話を聞かせてください。

新卒入社以来大好きだったフジテレビを「辞めようかな」と考えるようになったのは、2021年ごろでした。きっかけは結婚や妊娠ではありません。実は、入社2年目の頃から、原因不明のアレルギー発作に悩まされていました。発作が起きると顔とのどが腫れてしまい、急に息苦しい状態になるんです。とはいえ発作は年に2回ほどで、病院に行って点滴を打てばすぐに落ち着くレベルだったので様子を見ていました。それが2021年ごろから頻発するように。私は目標があると自分を追い込みたくなる性格です。仕事が好きで元気もやる気もいっぱい! と思い込んで走り続けていたのですが、連日の生放送や妊活のプレッシャーで気が付かぬうちに身体が悲鳴を上げはじめていたのだと思います。思い切って上司に「退社を考えている」という相談をしました。話し合いを重ねるなかで、会社や上司が自分のことをこんなにも必要としてくれているのかと心が揺れました。迷った末、今までお世話になった方々への恩返しができるまでもう少し頑張ってみようと決め、不妊治療と仕事を両立させる日々が続きました。その後幸いにも子どもを授かり、その先の人生を考えた時に、これまで仕事を第一に突き進んできたけれど、より家族の時間を大切にできるように、そして子どものためにも自分の身体も大切にするために、ここで一度環境を変えようと考えるように。ようやく退職の決心がついたのはこのときです。

 

退職後、フリーになることへの不安を感じた時期

──フジテレビを退社し、生活は一変したと思うのですが、退職して感じたことや、フリーになって挑戦してみたいことを教えていただけますか。

産後は、ホルモンバランスの変化でちょっとしたことでメンタルが不安定になる時期がありますよね。会社員時代、やはり大きな組織に属している安定感があったのは事実で、退職後には、「この先私の仕事はどうなるんだろう」と不安になる瞬間はありました。子どもができて、改めて自分にとって仕事はこんなに大切なものだったのか、と実感しています。その一方で、フリーランスになるとこんなにも可能性が広がるんだな、と思うことも。フジテレビでは報道番組で経済分野を担当する機会も多かったのですが、自分はまだまだ知識不足だと痛感していました。フリーランスになった今は、社会人が学べる大学のオンラインスクールなどで勉強を続けています。学び続ける気持ちを忘れず、いずれは経済分野に長けたアナウンサーを目指したいです。また、パリ五輪へ長期取材の機会があり、スポーツの面白さを改めて痛感。この秋からスポーツ番組のMCがスタートしたので、スポーツに関する知識をさらに増やしてアスリートの皆さんからぜひインタビューされたいと思っていただけるようなアナウンサーを目指したいです。

「言葉が出なくなっていた」私にイチローさんが教えてくれたこと

──アナウンサーとして仕事をするなかで、先輩や共演者から言われた言葉で印象に残っていることはありますか?

イチローさんとお会いしたのは、現役を引退された翌年で47歳のとき。「引退した今でも、日々の積み重ねの中で新たな発見があるんですよ」という言葉はとても印象に残っています。引退後も毎日トレーニングを欠かさず、進化し続けるために努力を欠かさない姿は輝いて見えました。現在、私は37歳なのですが、10年後にそんなふうに言える自分でありたいと思います。また、イチローさんへの取材の際に「緊張することはありませんか?」とお尋ねしたら、「緊張しないと、いいパフォーマンスは出せないんですよ」と。「うまくやりたいって思うから緊張するのであって、それはむしろよいこと。緊張とうまく付き合うことのほうが大事だと思う」という話を聞かせてくださいました。当時、私は本番中に緊張すると舌が回らなくなり、それが怖くてもっと言葉が出なくなる……という悪循環に悩んでいました。イチローさんの話を聞いてからは緊張しそうな場面でも「よし、緊張しているから大丈夫」と客観的に自分を見られるようになりました。
また、別の取材でヒラリー・クリントンさんにお会いした際は、ご本人の器の大きさや包容力に驚きました。英語でのインタビューだったのですが、目で訴える力やオーラに圧倒されて、こちらの質問内容が真っ白に。私の英語は拙く、質問の仕方もあまりよくなかったと思うのですが、どんなことを聞いてもこちらの意図を汲んで、わかりやすく答えてくださって……。「難しいことほどわかりやすく伝える」ことは非常に難しいですが、私も少しでもそんな姿に近づきたいと思いました。

 

新人時代は「誰にも相談できなかった」

──バラエティからスポーツ、報道まで幅広く担当し、器用なイメージのある三田さんですが、実は苦手な分野はあるのでしょうか?

私は人に頼ることがものすごく苦手で、想定外のことやトラブルが起きても自分で解決したいと思ってしまいがちです。とはいえテレビの仕事は一人では成り立たず、むしろチームで作り上げるものなので、局に入って最初の大きな挫折はそこだったかな、と思います。
アナウンサーとして最初に担当した番組の一つが、夕方のニュースの現場リポーターでした。自分が必死でやれば必ず結果につながるはず! と、事件取材に協力してくださる方を探したり、事故現場に残された痕を辿ったりすることも。朝から晩まで一生懸命泥臭く取材していたのですが、オンエアで使われるのはほんの数秒程度ということも。毎度のように「報われない」と落ち込むのですが、性格的に誰にも相談できませんでした。「みなさんも忙しいのに、相談したらきっと迷惑」と思い込んでいたんです。でも、どうにも空回りな日々が続いたので、取材から戻ったら、社内でVTRの編集作業を見学させてもらうようにしました。内心「迷惑じゃないかな……」と感じながらも、編集室に通ううちに、どんな取材が必要なのか、長い収録シーンをどう編集するのかといった番組の構成がわかってきました。そのうち、先輩方が声をかけてくださって、少しずつ番組スタッフのみなさんともコミュニケーションが取れるようになり、困り事を相談したり、ときには弱音を吐けるようになりました。「迷惑かも」と遠慮して一歩引いてしまったり、一人で仕事を抱え込んだりしているとできない仕事があるということを学んだ新人時代だったように思います。

目指すのは折れない芯のある、しなやかな人

──報道番組のキャスターを経て、結婚や妊娠、出産と目まぐるしい30代を過ごしてきた三田さんですが、今後目指したい理想像はありますか?

たおやかな人でありたいと思っています。しなやかさがあるのに折れない芯がすーっと通っているような女性が理想です。結婚や妊娠・出産などいろいろなライフステージの変化がありますが、「これはもうできない」とあきらめるのではなく、変化に柔軟に対応して、前向きに生きられたらと思います。私にとって身近な、憧れの女性を一人挙げるとしたら、ジャーナリスト、キャスターとして活躍する安藤優子さんです。社会人になってから母校の大学院に通って博士号を取るなど、常に学び続ける姿勢を尊敬しています。また、多忙な日々のなかでも体のトレーニングを続けていて、キュッと引き締まった足首で、ヒールを履きこなす姿にも憧れます。私も安藤さんのように常に学び続ける姿勢を忘れず、挑戦を続ける人を目指したいと思っています。

PROFILE

三田友梨佳(みた・ゆりか)さん
フリーアナウンサー。1987年生まれ。青山学院大学卒業後の2011年にフジテレビに入社し、アナウンサーとして数々の番組に出演。2023年に退職し、現在はフリーアナとして活躍中。一児の母。

ベージュシャツ37,400円 オフホワイトツィードスカート132,000円(マディソンブルー)パンプス130,900円(セルジオ ロッシ)ピアス770.000円(ブチェラッティ)

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取材・文/亀井ゆりこ 撮影/秋山博紀 ヘアメーク/土橋大輔 スタイリスト/杉山朱美