本当に必要なのは”アンチ”ではなく「ウェルエイジング」に歳を重ねること 〈対談〉MEGUMIさん×医師・道下将太郎先生

女優・タレントとして、多くの女性から支持を集める42歳のMEGUMIさん。映画やテレビでの活躍はもちろん、美容と健康を大切にするそのライフスタイルは、STORY読者にも多い「ゆらぎ世代」の代表的存在として注目されています。今回は、前々から興味を持っていたあらゆる最新のエビデンスをもとに予防医療を提唱する医師・道下将太郎先生との対談が実現。日々の食生活で感じる悩みや、年齢と共に変わる体への向き合い方について、道下先生に率直に質問しながら、MEGUMIさんが実践している心と体の整え方に迫ります。最終回のテーマは「ウェルエイジング」な、よりよい年の重ね方についてです。(第3回/全3回)

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MEGUMIさんProfile

1981年生まれ。岡山県出身の俳優・タレント。2001年に芸能界デビューし、映画、ドラマ、バラエティ番組などで多岐にわたり活躍。2020年には映画『台風家族』や『ひとよ』での演技が評価され、第62回ブルーリボン賞・助演女優賞を受賞。また、金沢でカフェ「たもん」の経営にも携わり、映像作品のプロデュースやボランティア活動にも力を注いでいます。
美容と健康にも強い関心を持ち、昨年出版された著書『キレイはこれでつくれます』は、35万部を超えるベストセラーとなり、単行本実用部門の年間ベストセラー1位を獲得。「ゆらぎ世代」を代表する存在として、美容や健康法を自ら実践し、そのライフスタイルが広く注目されています。

道下将太郎先生Profile

脳神経外科医 / AFRODE CLINIC(アフロ―ドクリニック)代表。2015年、東京慈恵会医科大学を卒業し、同大学病院で勤務。2020年、株式会社Re.habilitationを創業。2022年にはAFRODE CLINICを監修。AFRODEは「死から生を見つめる」という人生観を表現し、本人が納得して死を迎えるための機会創出を目指す。クリニックでは、経営者や著名人など日常生活で高負荷を抱える人々に、薬に頼らない効率的な回復・予防医療を提供しています。また、科学的根拠に基づいて安全・安心の製品を提供するブランド、SECRET RECIPE(シークレットレシピ)をプロデュースし、添加物不使用の食品やサプリメントなどを開発しています。
■AFRODE CLINIC https://www.recovery-afrode-clinic.art
■SECRET RECIPE https://www.secret-recipe.jp

人生100年時代の「ウェルエイジング」な生き方、考え方とは

道下先生(以下敬称略) 年齢を重ねることにどう向き合うかって、とても大事です。日本では「アンチエイジング」という言葉がよく使われますが、特にヨーロッパでは「ウェルエイジング」と言って、年と一緒に伴走するというか、抗わないほうがいいよという考えがあります。アンチエイジングな考え方だと、みなさんどうしても過去と比較し続けてしまって、精神的にしんどくなってしまう。だったら、よりベターにベターになっていこう、ウェルになっていこうよという考え方、年齢と共に自然に成長していくという考え方が、スペインなどのヨーロッパでは主流です。
MEGUMIさん(以下敬称略) 私、スペインが大好きでよく行くんですけど、すごく共感できます。まるでワインのように熟成していく感じですよね
道下 素敵な考え方ですよね。例えば外見に関して、ナチュラルな年相応の美しさを保てれば良いのに、無理に若返ろうとして逆に不自然になってしまうことってありますよね。なので、ウェルエイジングという言葉が広まることが大事だなって思ったりします。
MEGUMI 日本では、年を重ねることに対して「美しく、若々しい美の熟女」というイメージが一辺倒になっているところがありますよね。でも、本当はシミだって素敵で、味わい深く、まさにワインのように熟成された美しさという概念が、もう一歩必要なのかもしれないですね。
道下 そうですね。僕、先日ヨーロッパでウェルエイジングに関する話をたくさん聞きました。そこで60代のご夫婦とお話したんですが、今も手をつないで歩いているんですよ。どうやってその関係を築けるのかを尋ねたところ、「日々日々、納得して生きることが大切だ」とおっしゃっていました。
MEGUMI 納得、ですか。
道下 今は「人生100年時代」と言われてはいますが、晩年の10〜15年はほとんど動けなくなる人が多く、それは誰にとっても嫌ですよね。寿命は延びましたが、「この生き方に意味があるのか?」と思うこともあります。そして自分の親も平均寿命といわれる80歳、90歳まで生きるんじゃないか、僕自身もそれくらいの年齢にポックリ逝くんだろうなと漠然と思っていました。
でも、そんなことはないんです。若くして突然亡くなる人もいるし、100歳近くまで生きる人もいます。僕は医者として、これまで1,000人以上の患者が亡くなる瞬間を見てきましたが、その中で15人くらいだけ「この人は幸せだったよね」と、残されたご家族が納得している場面を目にしました。そのご家族たちに「なぜそう思えたの?」と伺ったら、全員が故人のことを「毎日納得して、楽しそうに生きていたから」と言っていたんです。
MEGUMI なるほど~。そこですね。
道下 結局、僕たちが1年を、過去を振り返って今と比較することよりも、日々の瞬間瞬間でどう過ごすかが大事だと思います。例えば、食事は1日3回ありますが、その度に「自分の体に合っているか?」を考えることが大事です。僕は食事の前に手を合わせ、手の温かさを感じるまで合掌することを習慣にしています。そうすることで、目の前の時間を一旦止められるんです。
MEGUMI 先生、素晴らしい。
道下 日々、目の前にある瞬間を、大事にしないとダメだなと思います。
MEGUMI それと、やっぱり自分の思ったことをちゃんと伝えるって大事だと思うんです。自分の想いや感謝、謝罪の気持ちをしっかり伝えることって、本当に大切だなって感じます。感情をため込んでしまうと、心だけじゃなくて、体にも影響が出てくるんですよね。「ありがとう」とか「ごめんね」、あと「好きだよ」って言葉を伝えるって、本当に大切だと思います。それも納得して日々生きるということに繋がると思っています。
道下 そうですね。心の中だけで納得しようとするのは難しいですが、言葉にすると自分の考えを可視化できるので、議論したり感情を整理したりすることができるんです。だから、MEGUMIさんがおっしゃるように、気持ちを言葉に出すことはとても大事なことです。

自分の人生に、日々「納得」して生きるために大切なこと

MEGUMI 毎日、自分の人生に納得しながら生きていきたいですが、、でもやっぱり東京で生きていくのは大変ですよね。
道下 大変ですよ!
MEGUMI 先生でもそう思いますか!?
道下 思いますよ!僕も東京での生活は本当に大変で、まるで高速道路を走り続けているような、毎日何かに追われている感じがします。
MEGUMI なんでしょう、この「村」みたいなところでマウントを取り続けないといけないような競争の中にいる感じ。でも実は、毎日がめちゃくちゃで、今日は何を食べたかも覚えてないし、誰に会ったかの感動も一瞬で薄れていく。そういう状況ってよくないなって思うんです。だから、たまにこの「村」から離れることってすごく大事だなって。
道下 自分を見つめ直すことが本当に必要ですよね。精神衛生上、他者や社会と物理的な距離を取ることが、すごく大事だって言われているんです。なので、東京を離れると心がリセットされる感じがしますよね。
MEGUMI 最近、SNSの影響で精神的に不安定になる人も増えているって聞きます。
道下 そうなんです。特にこの30年くらいで、情報の入ってくるスピードが急激に速くなっていて、脳が追いつけないんです。私たちホモサピエンスは数千年もの間、情報がゆっくり入ってくる時代を生きてきましたが、ここ最近の変化のスピードに脳が適応できない。だから、時には情報を閉ざすことが非常に重要なんですよ。
MEGUMI 止める。閉ざすこと本当に大事ですね。
道下 そして休息も非常に大事です。
MEGUMI 休む、は忙しい40代女性には大きな課題ですね。休むって具体的に何すればいいのですか?
道下 わかりやすく言えば、睡眠は一番大事です。僕ら哺乳類は脳を一旦シャットダウンしないとだめなので、体と脳を休めるために睡眠は欠かせません
MEGUMI 1日何もない時に、体を休ませようと思ったら何が効果的ですか?
道下 そうですね。よくアクティブレストといって軽く体を動かしながら休むことも回復に効果的です。例えば、試合後にアスリートがただ寝るのではなく、軽い運動をすることで血液の循環を促進し、回復を早めるのです。そして体と頭が連動していない時に、僕らはストレスを感じます。頭だけが回っていて体が疲れていない、みたいな状態です。
MEGUMI わかるな~。
道下 なので、頭を使っている時はちゃんと体も動かしてあげないといけない。頭と体を連動させてあげないといけない。
MEGUMI ちょこっと運動とか体を動かして、お風呂にはいったりして、そのくーっと回ってしまっているところを穏やかにしてあげることが大事なんですね。
道下 そう、現代では、歯車を回し続けることが求められる場面が多いですが、逆に「歯車をゆっくり回す」「一旦止める」ことに時間やお金をかけるべき時代です。いまサウナがこれだけ流行しているのも、この「休むこと」の大切さが認識されているからだと思います。
MEGUMI 忙しい人ほど、意識的に休む時間を確保する必要がありますね

忙しい40代女性は、食事・運動・睡眠の何を最優先にするべき?

MEGUMI 先生、最後に1つ質問しても良いですか? ゆらぎ世代に欠かせない食・運動・休息と、ためになるお話を聞いてきましたが、STORY読者のようにまだまだ子育て真っ盛りの40代女性には、深夜1時2時に寝て、朝5時6時には起きてお弁当や朝食を作る…みたいな忙しい生活をしている方も多いと思います。そういう場合、限られた時間でできることを取捨選択するとなったら、「食事」に集中するだけでも十分でしょうか?
道下 残念ですが、それだけでは不十分です(笑)。やっぱり食事、運動、睡眠の3つのバランスは大事です。たとえば、忙しい生活の中でも食事のバランスに気を配り、一日三食を取ることが重要です。また、運動が難しい場合でも、歩数を増やすだけで十分な効果があります。目標は一日8,000歩ですが、携帯電話の万歩計を見て歩数への意識を持つだけでも、気付くと一日3,000歩くらいは増やすことができるはずです。
MEGUMI 意識、ですね。
道下 睡眠については、どうしても5時間しか眠れないのであれば、その5時間の質を高めてパーフェクトな睡眠にすることが大切です。例えば、寝る直前まで携帯電話を触るのをやめることで、睡眠の質は大幅に向上します。スタンフォード大学では、ベッドは「睡眠専用の神聖な空間」であるべきだとされているんです。
MEGUMI 携帯電話は触りませんが、寝る前にベッドで本はよく読みます。
道下 ベッドでは、本を読むことも避けるべきです。
MEGUMI 本もダメなんですね!わかりました…。
道下 ちなみに携帯電話は触らないだけでなく、ベッドから離れた場所に置くことをおすすめします。ベッドは睡眠だけに使う場所、という習慣を作れば、ベッドに入ると自然とすぐに寝付けるようになりますよ。忙しいSTORY読者のみなさんに、これらのアドバイスが少しでも役立てばと思います。ゆらぎ世代は健康的な体を作るために、食事、運動、睡眠のバランスを整えることが大事です。
MEGUMI 大変勉強になりました。ありがとうございました!

MEGUMIさん衣装:ワンピース¥36,300(ル フィル/ル フィル ニュウマン 新宿店)リング¥41,800、ピアス¥44,000(共にリューク)
お問い合わせ先:ル フィル ニュウマン 新宿店03-6380-1960/リュークinfo@rieuk.com

撮影/浜村 菜月 ヘア・メーク/KIKKU スタイリスト/宮澤 敬子 取材・文/日野 珠希

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