「自分は本から大きな影響を受けている」【女優・鈴木保奈美さん】の愛すべき1冊とは?
とことん自然体で、無理をしない。だからこそ、その姿にはっと引き込まれ、魅了される。時折チャーミングな笑顔をのぞかせつつ、真剣なまなざしで質問に向き合ってくださるその姿に大人の女性の柔軟性、美しい心身の佇まいを感じる鈴木保奈美さん。「どんな波でも、ひょいと乗れる自分でありたい」と仰る、その柔軟で素敵な生き方とは?現在、そして未来の自分が楽しみになる人生のヒントを教えていただきました。
◆あわせて読みたい
▶木村多江さんが10年苦しんだ【死別の悲しみ】…「子育てにも影響があった」
鈴木保奈美さんの「私らしく」のすべて #知的
知らないと悔しい、その負けず嫌いさから調べて、知る。ボロボロになっても大切にしている祖父の本が文章を書くときのバイブルであるように、気づきの瞬間が愛おしい
お話を伺ったのは……女優・鈴木保奈美さん(57歳)
《Profile》
’66年東京都生まれ。’86年女優デビュー。ドラマ「東京ラブストーリー」をはじめ、ドラマ、映画を中心に活動。’11年大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」で11年ぶりに女優復帰。近年はドラマ「SUITS/スーツ」シリーズ「生ドラ!東京は24時‐Starting Over‐」映画『ミステリと言う勿れ』など多数。「あの本、読みました?」(BSテレ東)出演中。主演舞台『逃奔政走‐噓つきは政治家のはじまり?‐』7月上演。
知らないことがあると悔しくて、調べたくなる。負けず嫌いなんですね。本ももっと読みたいのですが、時間が足りないのが悩み。レギュラー番組「あの本、読みました?」が始まって、今年になってから20冊は読んでいます。今は、小川哲さんの『地図と拳』など、4冊同時に読書中。こんな勢いで読んでいるのは人生初ですね(笑)。
そうやってたくさん読んで気付いたのは、やはり自分は本から大きな影響を受けてきたのだということ。たとえば、獅子文禄著『悦ちゃん』は、7歳のとき祖父の本棚から勝手に持ち出して以来、ずっと手元にある本です。大人になって読み返すと、言葉遣いやリズム感が私が書く文章とそっくりで……。知らず知らずのうちにお手本にしていたことが面白くて、益々愛すべき1冊となりました。
ではその読書から得た知識を子育てに活かしてきたか?と問われれば、情けないくらい、できませんでしたね。子育てはむしろ持っていたものを全部手放したゼロの状態で、初めて見る生き物に対峙する経験!物事をきれいに整えねばと思い込みがちな性格で、上手くできないとイライラしてしまって自分にも子供にも優しくできなかったな。
理論や知識にこだわらず、できないならそれでいいんだ、とゆるやかに対処できれば良かったと反省しています。今になって子供たちに、「あの時はあんな怒り方をして、ごめんね」と謝ったりしています。
《衣装クレジット》
ブラウンリネントップス¥85,800(アッシュ/コロネット)パンツ¥112,200(ヤコブ コーエン/ヤコブ コーエン 東京ミッドタウン店)イヤリング(スタイリスト私物)
2024年『美ST』8月号掲載
撮影/菊地泰久(vale.) ヘア・メイク/福沢京子 スタイリスト/犬走比佐乃 取材/安田真里 再構成/Bravoworks,Inc.
◆あわせて読みたい
▶映画『高校教師』で主演…遠山景織子さん(49歳)が「他の女優さんを羨ましく思った時期」とは