【出産、育児、万が一の時etc.】結婚したら「保険」って入るべきなんですか?

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社会人になったり、結婚が決まっ

社会人になったり、結婚が決まったりするとふと思う「保険って入らなくていいの?」。親世代は常識だった保険加入、私たちも必要?選択肢がありすぎて迷うからこそフラットな立場で教えてくれる識者に、読者の疑問をぶつけてきました。

独身、もしくは子どものいない夫婦が急いで保険に入る必要はありません

『保険に入るよりその前にすべきことがある』

まず保険に対する、基本的な考え方を。可能性が低かったとしても、その事柄が起きた時の経済的損失がすごく大きいものについては、ちゃんと保険に入っておいたほうがいいと言えます。

たとえば、マイホーム買ったけど火事で全焼とか、専業主婦世帯で子どもが小さいときに、父親が亡くなるケースなど。このような場合は、確率は低いけれど保険に入っていたほうがいいかもしれません。ただ、その場合も遺族年金などがあるから、路頭に迷うことはあまりないのですが。

逆に、起こる確率が高くても、損害額が大きくなければ、入らなくていいと思います。病気とか怪我で入院した時のリスクに備えたい、みたいなことがそう。仮に1カ月入院しても健康保険には高額療養費制度もあるから、そこまで負担はないんですよ。入院は個室じゃなきゃ嫌だとかなら、差額ベッド代が高くなるけど、相部屋でいい、小さくてもいいなら、1カ月入院したからといって、自己負担は何万円か。貯金で賄える程度のことであれば、保険で準備する必要はありません。

がん保険も一緒です。がんは自己負担が高額になると保険会社は言うけれど、高度先進医療を受け、自己負担が何百万もかかった人も含めて平均を出すから高くなる。でもそもそも高度先進医療が健康保険の対象になっていない理由は、そもそもその効果がまだ確実とは言えないから。がんになってもみんなが使うかどうかはわかりません。

ただ、エモーショナルな観点からすると、病気、がんで入院した時にせっかく貯金したものを崩したいかどうか。そのショックを和らげたいという意味合いであれば、保険に入ってもいいかもしれません。20代30代の独身なら、基本的には保険より貯金や積立投資のほうがいい。NISA、iDeCoやってますか?まずはそこから、です。

私たちの悩み、ヒッシー先生に聞きました

こんな場合はどうしたらいい?女性ならではのリスクは?…読者のリアルな悩みにヒッシー先生がアンサー。これで悩みがクリアになるはず!

親から「社会人になったら保険」と言われますが...
(S.Nさん/不動産関係勤務・30歳)

金利が高かった親世代と今の世代では状況が違うと知っておく
昔は金利が高かったので、個人年金保険、養老保険、学資保険は金利が高ければそこそこお金が増えたのは事実です。たとえば、平成一桁台に加入した保険はお宝保険と言われていましたね。でも今は金利も低くなり、保険に貯蓄性を求めてはダメです。保険以外のことでもそうですが、親世代と今の世代とでは、まわりの環境ががらりと違う。親が良かれと思って言うアドバイスも、そのまま適用できるとは限らないのです。

まわりの友達や先輩の女性が女性特有のがんにかかって心配
(T.Nさん/IT関係勤務・30歳)

20代・30代は男性に比べて女性ががんにかかりやすい。心配なら掛け捨て型を
乳がんや子宮がんは、老年より若い世代がかかる可能性が高いがん。男性のがんにはその傾向は見られないので、そこに性差はあると言えます。罹患した場合も、ベーシックな健康保険で十分対応可能かと思いますが(どうしても個室がいいとか、保険適用にならない医療を希望する場合は別)それでも心配な場合は掛け捨てタイプの保険がおすすめ。

NISAをまだやっていないのでかわりに外貨建て保険に入りたい
(T.Yさん/マスコミ勤務・29歳)

保険は保険、投資は投資。シンプルに分けて考えたほうがいい
外貨建て保険は、一石二鳥に見えると思うけれど、その実手数料が高いんです。死亡した場合などの保障がほしいのであれば、外貨である必要はありませんよね。もっとシンプルに考えて、必要な保険に入ったほうがいいと思います。ネットで探せば、掛け捨ての安い保険もあります。投資を始めたいなら、今すぐNISAを!それをせずに保険に入るのは、本末転倒です。

結婚を機に住宅購入を考え中。彼といっしょに入る保険は?
(M.Iさん/広告関連勤務・27歳)

どちらかが亡くなると両方のローンがなくなる保険が最近登場しました
住宅ローンを組めば、自動的に団体信用生命保険に入るのが通常なので、それ以外の死亡保障はあまり必要ないでしょう。これまでペアローンを組むと、どちらかが亡くなるとその方の分のローンがなくなり、残されたほうのローンはそのまま残りました。が、最近登場したペアローン用の連生団信は、どちらかが亡くなると両方のローンがなくなるというもの。今からローンを組む人はこれに入るといいかもしれません。

未来の出産に備え、貯蓄にもなる保険に入ったほうがいい?
(N.Nさん/金融関係勤務・26歳)

保険はすぐには引き出せない。貯蓄は貯蓄でしておくそれが基本です
これまでの繰り返しになりますが、保険に貯蓄性を求めてしまうと不利。手数料が相対的に高めだからです。保険で貯蓄、運用は考えないほうがいいです。お子さんが生まれると結構な割合の方が入る学資保険も、ある一定の年月が経たないと解約はできるけれど、解約すると損になる。自分で貯金しておいたらいつでも引き出せるので、そのほうがいいかなと思いますね。

〈結論〉不安から出発するといくらあっても足りない。真面目に働いていれば大丈夫!

なんとなく老後が不安、なんとなく保険に入らないといけないと感じる…。それはこれまで、メディアと金融機関が商売のために、不安をあおり続けてきた結果だと思います。日本には、生きている限り受け取れる公的年金や、健康保険、介護保険などの公的な保険があります。病気になった場合も、自己負担は基本的に3割で済みますし、高額療養費制度もある。そんなに不安に思わなくて大丈夫ですよ。

教えてくれたのは...菱田雅生さん

ライフアセットコンサルティング

ライフアセットコンサルティング(株)代表取締役 菱田雅生さん
1969年生まれ。山一證券勤務を経て、独立開業。お金の知識を分かりやすく中立的に伝える“正直FP”として、数多くのメディア出演、講演実績がある。YouTube正直FPヒッシー先生の「お金の増やし方」チャンネルも開設。近著に日経BP『日経マネーと正直 FP が教える 一生迷わないお金の選択』(菱田雅生、大口克人著)がある。愛称は“ヒッシー先生”。

取材/坂本結香 編集/小林麻衣子 写真/AC 再構成/Bravoworks,Inc.