三山凌輝さん「イメージとかけ離れている役は共感することも」
W主演映画 『誰よりもつよく抱きしめて』の公開を2月に控えるなど、BE:FIRSTのRYOKIとしてだけでなく、俳優としても目覚ましい活躍をみせる三山凌輝さん。「イメージとかけ離れている」とよく言われた役柄について伺うと、意外にも「実は共感できることも多かった」とか……。
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――『誰よりもつよく抱きしめて』の主演が決まった時、どんな気持ちでしたか?
シンプルにうれしかったです。ある番組のロケで韓国に行ったときに、たまたま内田監督も滞在していたのですが、仲良くさせていただいているプロデューサーさんの紹介で一緒に食事をしました。その時、僕は赤髪の丸刈りで(笑)。そんな自分にこの役をオファー!? と思いました。でも、とてもありがたかったです。
――水島良城という役はとても難しいキャラクターだったと思いますが、どう向き合いましたか?
この役に出会えたことは役者冥利に尽きると思いました。よく“イメージとかけ離れてる役ですね”と言われるのですが、 実は共感することもたくさんありました。“僕だったらこうはしないのにな”ということももちろんありましたが、台本を読んで良城の目線で思うと自然に理解できたり。役者として役に共感して共存していく――役に近づく術として良城の気持ちに寄り添いながら、自分が人間として共感できていく部分を擦り合わせていきました。ちょうどこの撮影期間、自分でもいろいろなことを考えるような時期だったんです。そういう状況もあり、良城と感情をマッチさせやすい時期だったのもよかったと思います。自然に役に入り込めましたし、良城という役に向き合うことで自分自身の側面を見つめ直すような感覚もありました。もともときれい好きなんですけれど、撮影期間は自分自身もかなり潔癖気味になりましたね。ドアノブに触るときに、素手ではなく袖を使ったり。それだけ自分が良城に近づいていたのだと思います。
――強迫性障害による潔癖症を演じるにあたり、難しかったことなどはありますか?
症状について調べたり、動画を見たりしました。でもこの作品でフォーカスすべき部分は、病気というものもありますが、“わかってあげたいのに、わかってあげられない”という、誰しもが感じたことがある感情だと思ったので、その表現についてたくさん考えました。感情を昂らせるシーンは、“俺だったらもう少しぶちまけちゃうけど、ここまでやったら良城じゃなくなるかな”と、自分自身との違いに苦心しました。“俺だって、ジェホンさんみたいに月ちゃんを抱き締めたいよ”と言うシーンは、自分だったらもっと感情を爆発させて伝えたと思うんですが、良城は怒り慣れていないから少し情けなさが出ていたほうが彼らしいかな……と考えて演じたりしました。
――内田監督との初仕事はいかがでしたか?
監督からあまり細かく演技をつけられることはなかったですね。“作ってほしくないから、自分が思った通りにセリフを言って”と最初に言われただけで委ねてくださったので。プレッシャーは少し感じました。内田さんは“凌輝はアーティストでもあるから、全身でわかる芝居がある。それを引きで見せたい”と言ってくださって、引きのアングルを多く使われている印象がありました。
――共演者の方々とのエピソードなどはありますか?
月菜役の久保史緒里さんとのシーンが多かったんですけど、僕は久保さんとも、イ・ジェホン役のファン・チャンソンさんともそれぞれと仲良かったんです。2人が先に現場に入っていて、後から僕が現場入りしたことがあったのですが、その時見たことのない2人がいて(笑)。 お互い人見知りをして、現場が静まり返っていたんですよね。“2人ともいつもそんな感じじゃないじゃん!”という感じで僕が間に入って、打ち解けていったことがありました。チャンソンさんは笑いのツボが合って、僕が少し話すだけで“そんなに面白い?”っていうぐらいいつも笑ってくれるので、すごくうれしい気持ちになったり。アーティストになる前から役者をやっていたという経歴も同じなので、話していてとても楽しいんです。日本に来ると連絡してくれたりして、いい関係です。
――撮影期間、楽しかった思い出などはありますか?
劇中に登場する「夢の扉」というお店は、実在の絵本屋さんで撮影したんですが、本当に素敵で。重いテーマの映画でしたが、そこで過ごす時間がいい息抜きになりました。とても気に入ってしまい、最終日に7冊くらい大人買いしてしまいました。これまでは絵本に全然興味がなかったんですけど、読んだら気持ちが温かくなって。インテリアとして家に飾ってもいいんですよね。
――三山さんが特に気に入っているシーンは?
良城と月菜が、家の中で手を繋ごうとしたりするシーンが好きです。“触れたいけど触れられない、どうすればいいかわからない……”地球の中で2人だけの小さな空間で、頑張ろうとしている姿が切なくて。この作品のすべてが詰まっているシーンだと思います。
――『誰よりもつよく抱きしめて』という映画を、どんな方に届けたいですか?
今回の作品は恋愛がテーマですが、ほぼヒューマンストーリーなんです。お互いのことを理解したいんだけど、 理解度がお互いにちょっとずれていたりとか、自分のことを棚に上げてしまったり。理解し合えないもどかしさや苛立ちとかが、男女に限らず、 仕事関係などいろいろな人間関係で起こりうると思うんです。それをこの映画では恋愛にフォーカスを当てながら描いています。キレイなキラキラしたラブストーリーではなく、人の本質を捉えた、人の感情を大事にした作品になっていると思います。観終わった後、何かしら感情が残る作品だと思うので、いろんな人に観て共感してほしいです。
――BE:FIRSTが歌う主題歌『誰よりも』は、三山さんも作詞に参加しているそうですね。
歌詞はSKY-HIさんとの共作なのですが、本当に貴重な機会をいただけてとてもうれしかったです。BE:FIRST初の日本語タイトル曲というのも特別感がありました。自分が演じた作品を歌にするというのは、自分だからできることだと思いましたし、表現の引き出しがいくつもあるとこんなにも楽しいんだなと、感慨深かったです。
映画『誰よりもつよく抱きしめて』
2025年2月7日(金)公開
映画『ミッドナイトスワン』の内田英治監督が、新堂冬樹氏による同名小説(光文社文庫)を映画化。
学生時代からの恋人同士であり、鎌倉の海沿いの街で同棲する絵本作家の水島良城(三山凌輝)と書店員の桐本月菜(久保史緒里)。良城は強迫性障害による潔癖症を患い、直接物に触れられず、月菜にも触れることができない生活を送っていた。勇気を出して治療を受けた良城は、合同カウンセリングで同じ症状を抱える女性と出会い、距離を縮めていく。そんな2人の交流に思い悩む月菜へ、まっすぐに想いを向ける青年イ・ジェホン(ファン・チャンソン)。月菜も少し心が揺さぶられていく……。
Profile
みやま・りょうき 1999年4月26日生まれ。愛知県出身。俳優。BE:FIRST のメンバーRYOKIとしても活躍。近年の主な出演作に、映画『HIGH&LOW THE WORST X』(22年)、ドラマ『往生際の意味を知れ!』(23年MBS)、『生理のおじさんとその娘』(23年NHK)、『虎に翼』(24年NHK)などがある。
撮影/嶌原佑矢<UM> ヘア・メイク/西村裕司<earch> スタイリスト/朝倉 豊 取材・構成/沼田珠実
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