【続】涙がこぼれたのは、快感のせいじゃない。シングルマザーが「女風」体験した“癒し”の正体
最近、巷でよく耳にするようになった「女性用風俗」(通称:女風)。その存在に興味を持つ女性は想像以上に多く、また「使ったことがある」という声も頻繁に聞くようになりました。
この記事では、10年前に離婚を経験し、以来異性関係はまったくなかったというシングルマザーの恵さん(47歳・仮名)の体験談について、率直なお話しを伺いました。
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【実録】「ただ、癒されたかった」—47歳シングルマザーが女性用風俗を利用するまで
「触れられること」への戸惑い
恵さんが予約したセラピストは、落ち着いた雰囲気の30代半ばの男性でした。
ドアを開けた瞬間、柔らかな笑顔と「緊張されていますよね? お水、飲みますか?」という一言に親しみは感じたものの、恵さんの緊張はピークに達していたそう。
「彼が部屋に入ってきた瞬間、心臓がバクバクしていました。久しぶりに男性と二人きりになったせいか、緊張で身体がこわばってしまって」
そんな恵さんに対し、セラピストの男性はすぐに距離を詰めることはせず、まずは世間話をしながら、ゆっくりとしたペースで緊張をほぐそうとしてくれました。
「“怖くないですよ”“嫌なことがあればすぐに言ってくださいね”と優しく声をかけてくれて、その言葉に少しずつ安心できたのを覚えています」
やがて彼は、「手を握ってもいいですか?」と静かに確認し、恵さんが頷くと、そっと手を握ったそう。
「彼の手が温かくて……その瞬間、“ああ、私、こんなふうに誰かと触れたかったのかも”と、心の奥で何かがふわっとほどけるような感覚がありました」
その後もしばらく手を繋いだまま沈黙が流れ、しかし不思議と気まずさのない時間でした。
「“話さなきゃ”とか、“何かしなきゃ”って気負いがなくて。ただ手を握ってもらっているだけで、心がやわらいでいくようでした」
「肩に触れてもいいですか?」という彼の声に再び頷いたとき、恵さんはそっと肩を抱かれました。すると張り詰めていた感情が一気にあふれ、不意に涙が溢れてきたそう。
「いい歳の女が泣いてしまうなんてどうしようと焦りましたが、彼は何も言わず、ただそっと背中をさすってくれていました。だんだんと気持ちが落ち着いて、私はずっと誰にも甘えられず、気づかないうちに疲れが溜まっていたんだと思いました」
思い出した「女としての自分」
それから少しずつ身体の距離が近づいていき、唇が触れ合ったとき、恵さんの頭の中は真っ白になりました。
「びっくりしたし、正直怖さもありました。でもそれ以上に、その先に行きたいという欲望が湧きました。ずっと忘れていた性欲が、少しずつよみがえってくるようでした」
彼の手が頬に触れ、耳元で優しく囁かれるたびに、恵さんは身体がほんのりと熱を帯びていく感覚があったそう。
「最初は緊張で全身が固まっていたのに、だんだん心臓がどきどきしました。自分の中にもこんな反応する部分が残っていたんだって……。驚きと嬉しさと、恥ずかしさが入り混じっていました」
「女性として見られること」「女性として感じること」。長いこと封印していた感覚が、少しずつほどけていったそうです。
「私は母親である前に、ひとりの人間だった」
女風の体験を終えて帰宅するとき、「自分が少し軽くなったような気がした」と恵さんは言います。
「それまでずっと“母親として”“仕事人として”の顔ばかりで生きてきて、いつの間にか“自分”でいる時間を忘れていました。でも、誰かに優しく触れられるだけで、こんなにも心が癒されるんだなって。人の温かさを久しぶりに感じられた気がします」
それから恵さんは少しずつ、自分を大切にしようと思えるようになったそう。
「久しぶりに美容院に行ったり、メイクを丁寧にしたり。前は“そんなことに時間をかける余裕なんてない”とおざなりにしていましたが、今は“自分にも手をかけていい”って思うんです」
また恋愛に対しても気持ちにわずかな変化を感じるそうです。
「今までは、“もうこの歳で恋愛なんて縁がない”と思っていました。でも、もしかしたら、また誰かを好きになれるかもしれない。そう思えるようになっただけでも前向きになれた気がしています」
最後に、また利用したいかどうか伺うと、恵さんは少し照れくさそうに笑いながら答えてくれました。
「はい、次はもっと素直に楽しめる気がします。誰にも言えないし、理解されにくいと思いますが……私にとっては、必要な時間でした」
取材/山本理沙
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